●今日の一枚 77●
Johnny Smith Moonlight In Vermont
書斎の天窓から月が見える。半月に近い月だ。日曜日の夜ぐらい、しっとりとした雰囲気で月を眺めたいと思い、取り出したのが、最近買ったCD、ジョニー・スミスの1952年録音盤『ヴァーモントの月』だ。もちろん、ビールを飲みながらだ。
ずっと昔の本だが(1986年刊、今でもでているのだろうか)、油井正一『ジャズ ベスト・レコード・コレクション』(新潮文庫) の中で片岡義男がエッセイで紹介したのがこのアルバムだ。エッセイ自体は、気取った、意味のない、つまらないものだったが、レコードはなんとなく気になっていた。今回、「ジャズ決定盤1500」シリーズから廉価で発売されたので購入してみたわけだ。
いかにも、1950年代のサウンドという感じだ。刺激的ではないが、悪くはない。解説を読むと、ジョニー・スミスという人は、繊細で正確なテクニック、美しい音色、技術的なアイデアの幅の広さ、といった点では超一流で、人気も他のギタリストたちより数倍上だったようだが、「セッションの醍醐味」というものが希薄で、次世代のジャズ・ギタリストに与えた影響が少なかったらしく、現在では「聴かれないギタリスト」になってしまったとのことだ。
まだ、2度しか聴いていないのでよくわからないが、生活にしっとりとしたメローな雰囲気をもたらしてくれる音楽としては悪くない。できれば、アナログ・レコードで聴いてみたい一枚である。