●今日の一枚 161●
渋谷毅 & 森山威男
See - Saw (しーそー)
今日の二枚目。たまには日本のジャズもいい。渋谷毅(p) & 森山威男(ds)の2001年録音盤『しーそー』、ピアノとドラムスという異色のデュオ作品だ。
帯の宣伝文句に「懐かしいけど刺激的」とあるとおりの作品だ。曲目にはスタンダード・ナンバーあるいは日本の懐かしの曲が並び、原曲のイメージを大切にした演奏が展開される。それでも退屈しないのは、森山威男の意表をついたドラミングである。渋谷は作編曲家らしく、原曲の雰囲気を損なうことなく、美しく、懐かしい旋律を奏でていく。そのピアノに森山のドラムがちょっかいをだしていくという展開だ。森山のドラムはもはやリズム楽器ではなく、それ自体が芸術的な表現の手段であるかのように旋律に割り込んでいく。それは時に渋谷を挑発し、時に絶妙のアクセントをつける。あるいは時にピアノの前に立ちはだかり、そして時にピアノと合流して溶け合う。渋谷のピアノは、森山を受け止めながらも、まるでそのちょっかいを気にしていないかのように自然にあくまで自然に流れ続ける。まったく、不思議な演奏である。
ドラムという楽器の、あるいは表現手段としての打楽器の《 力 》 を見せつけられたような一枚である。
[追記]
近々、私の住む街の小さなジャズ喫茶に渋谷毅が来るらしい。5/13(日)とのことだ。時間があったら是非いってみたいものだ。何と入場料は、たったの2,000円だ。