WATERCOLORS ~非哲学的断章~

ジャズ・ロック・時評・追憶

彼女はカリオカ

2007年05月16日 | 今日の一枚(I-J)

●今日の一枚 165●

Joao Gilberto

Ela E' Carioca

Watercolors_14  先日Liveでボサノヴァを聴いて以来、ボサノヴァがマイブームである。5月も中旬、わが東北地方もだいぶ陽気がよくなってきた。ボサノヴァ日和である。

 というわけで、今日の一枚は、ボサノヴァのオリジネイター、ジョアン・ジルベルトがメキシコ滞在中の1970年に録音した『彼女はカリオカ』である。心にしみる美しい作品だ。耳の側でささやくようなジョアンの声がたまらない。鳥肌が立つ。

 Bossa Novaはポルトガル語で「新しい感覚」、「新しい傾向」といった意味らしく、1950年代後半に、リオ・デ・ジャネイロの海岸地区に住む中産階級の学生やミュージシャンたちによって生み出された音楽だ。ボサノヴァの創始には、作曲家のアントニオ・カルロス・ジョビンや作詞家のヴィニシウス・ヂ・モライス、そして歌とギターのジョアン・ジルベルトの功績が大きい。特にジョアンは、、「ボサノヴァの神様」と呼ばれることもあり、バスルームに一日中閉じこもって、クラシックギターを弾きながら歌を歌い続け、サンバのリズムをギターだけで表現する独特の「ボッサ・ギター」の技法を発明したという伝説をもつ男だ。

 ボサノヴァのサウンドからはいつも涼しげな風が吹いてくるように感じる。だから私は、夏が近づくといつもボサノヴァを聴く。陽気のせいか、先日のLiveのせいか、今年はいつもより早くボサノヴァのシーズンがやってきたようだ。

[過去の記事] ジョアン・ジルベルト 『声とギター』