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尼崎事故報告書の検証作業、始まる

2009-12-08 21:32:50 | 鉄道・公共交通/安全問題
JR西漏洩 検証チーム初会合で遺族の不信感あらわ(産経新聞)

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 「報告書を作り直すつもりで検証していきたい」。JR福知山線脱線事故の報告書の漏洩(ろうえい)問題をめぐり、7日開かれた検証チームの初会合。遺族や負傷者らは、国土交通省航空・鉄道事故調査委員会(事故調、現運輸安全委員会)がまとめた調査報告書に不信感をあらわにした。国鉄OBの事故調委員がJR西日本側に報告書のコピーを公表前に渡すなど、双方の癒着が報告書をゆがめていなかったのか-。被害者を交えた異例の検証作業が始まった。

 「事故調査に対する信頼が損なわれたことは誠に遺憾で残念。必要な対策を講じなくてはならず、検証で信頼を回復したい」。東京・霞が関の運輸安全委員会の会議室で開かれた初会合の冒頭、後藤昇弘委員長が一連の漏洩問題について謝罪した。

 初会合では、関西大学の安部誠治教授が座長に選出。メンバーが1人ずつ意見を述べたが、多くの被害者が事故調の報告書の信ぴょう性に疑問を投げかけた。

 妻と妹を亡くした浅野弥三一さん(67)=兵庫県宝塚市=は「(検証作業では)疑念があるという前提でかからないと、何の真相も出てこない。私は報告書を書きかえるというスタンスで臨むべきだと思う」と強い口調で語った。

 負傷者の小椋聡さん(40)=同県西宮市=は「JR西はありとあらゆる疑念を与える会社と思わないといけない。事故から4年半たっても安全を構築できていない」とJR西を非難。「事実がどうだったのかを検証し、報告書に反映されていないところを突きつけないといけない」と話した。

 初会合は約2時間にわたって行われ、漏洩した原因や背景を究明することや、事故調の報告書に歪められた事実があれば、書き直しを求めることで一致した。

 こうした検証作業に遺族ら被害者が加わることは異例。このため、参加者から事故調査の今後を考える場が被害者も交えて設置された点については評価する意見が出た。

 メンバーの作家、柳田邦男さん(73)は会合後、「事故調査の問題を40年見続けてきたが、事故の捜査と調査のあり方が議論されるのは初めてだ」と振り返り、「日本の行政には被害者はいない存在だった。被害者の声を聞くという点では米国には20年遅れているが、被害者が公の場で話せるようになったのは歴史的な意味を持つ」と話した。

 さらに、今後の検証作業で、JR西の山崎正夫前社長のほか、JR西のコンプライアンス特別委員会で、ワンマンな経営体質が問われた井手正敬元相談役にもヒアリングを行いたいとの意向を示した。
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被害者も参加した報告書の再検証作業が始まった。しかし、被害者のJR西日本に対する不信感は、かくも根強い。

報告書の書き換えが必要かどうかは今後の推移を見る必要があると思うが、少なくとも報告書が国の責任にまったく言及していないことは事実だ。その点の再検証は必要だし、運輸安全委員会を国土交通省から分離することも真剣に考えるべきだろう。

97年、東西線開通に伴って線路が付け替えられた際に、事故現場となった半径300メートルの急カーブができた。この時、なぜ速照ATS未整備を知りながら国がこの急カーブを許可したのかについても検証が行われなければならない。

この他、報告書が被害者より先にマスコミに公開されている現状(外国では、まず被害者に公開されることが多い)や、運輸安全委員会の事故調査よりも警察の捜査が優先するため、証拠品が押収された後の事故調査に支障が生じている現状なども改めなければならない。

柳田邦男氏が言うように、事故調査に被害者が入るのは異例のことであり、画期的なことでもある。上述した問題は、被害者参加によって一気に解決へ向かうほど簡単なものとは考えられないが、そのための新たな地平が切り開かれたことは間違いない。この絶好のチャンスを生かし、検証チームは事故原因の究明を阻む要因をひとつでも多く取り除くよう努めてほしい。

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