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JR羽越線事故で列車司令員ら3人送検

2009-12-21 23:48:10 | 鉄道・公共交通/安全問題
JR東の3人を書類送検 羽越本線いなほ脱線転覆事故(山形新聞)

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 乗客ら38人が死傷した2005年12月のJR羽越本線特急いなほ脱線転覆事故で、県警の捜査本部は21日、列車運行管理を担当していたJR東日本新潟支社の当時の運輸部輸送課指令室長(54)、指令室副課長(52)、指令室主席(47)の3人を業務上過失致死傷容疑で書類送検した。

 3人の送検容疑は、事故当時、庄内地方に暴風雪波浪警報などが発令されたことから、強風が発生する可能性を予測し、運転の一時中止などの措置を講じる注意義務があったにもかかわらず、気象状況などを把握せず、いなほ14号の運転を継続させたため、同列車を脱線、転覆させて38人を死傷させた疑い。

 国土交通省航空・鉄道事故調査委員会(現・運輸安全委員会)の事故調査報告書などによると、事故当時、いなほ14号は秋田県内で強風による速度規制を取ったほか、現場付近の別路線で強風被害が出ていた。さらに、酒田駅周辺などで雷の発生が多数目撃されていたことなどから、県警の捜査本部は、羽越本線の運行管理に当たっていた輸送指令室幹部らが脱線、転覆の原因となった「局所的な突風」を含む「強風」の可能性を予想できたと判断。いなほ14号が速度規制などを取ることで、事故を回避できたとみている。

 事故調委は08年4月、「局所的な突風」を原因とする事故調査報告書を公表。事故当時、JR東日本が突風を予測することは困難で、JR側の運行判断に「問題はない」との見解を示している。
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この書類送検に関しては、当ブログ管理人が別サイトに発表した「見解」を転載する。

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1.2005年12月25日、JR羽越本線砂越~北余目間において、強風により列車が脱線・転覆し、乗客5名が死亡した事故について、2009年12月21日、山形県警庄内警察署捜査本部は、安全運行のための措置を講じなかったとして、事故当時のJR東日本新潟支社運輸部輸送課指令室長、指令室副課長、指令室主席の3名を業務上過失致死傷罪で山形地検に書類送検した。当ブログは、専門性が極めて高く、一自治体警察の手に余りがちな鉄道事故の捜査を粘り強く続け、事故から4周年となる今月25日を前に書類送検にこぎ着けた捜査当局の熱意と勇気に謝意を表明する。

2.「事故当時、山形県庄内地方に暴風雪波浪警報などが発令されており、強風が発生する可能性が高く、JR東日本は運転の一時中止などの措置を講じる注意義務があったにもかかわらず、『いなほ14号』の運転を継続させたため、列車が脱線、転覆することになった。羽越本線の運行管理に当たっていた輸送指令室幹部らが、事故原因となった強風を予測することは可能であり、事故を回避できた」とする捜査当局の見方は正しい。2002年6月から事故発生日までの3年6ヶ月間に徐行や運転中止などの運行規制回数は98回に上っており、JR東日本自身がその事実を事故直後に記者会見で公表していたからである。同社が強風による事故を予測できなかったとは考えられない。

3.それにもかかわらず、国土交通省航空・鉄道事故調査委員会(現・運輸安全委員会) は、この事故に関して2008年4月に公表した報告書で「局所的な突風をJR東日本が予測することは困難である」として、JR東日本を免罪した。しかし、尼崎事故を巡る調査報告書の漏えい問題により、事故調査委員とJRとの癒着はすでに明らかになっている。当ブログは、事故調査委員とJR各社との癒着構造の中でJR東日本を免罪する結論が導き出されたと考えており、羽越線事故の報告書についても、これまでの経過を踏まえた再検証が必要である。

4.当ブログ管理人が2007年11月に現地を訪れて行った事故調査の結果、事故当時、現場に風速計が1カ所しかなかったこと、強風が吹き抜けやすい開床式橋梁を採用しながら速度規制が行われていなかったこと、列車本数が多いにもかかわらず施設があまりに貧弱であること等の事実が確認された。これらは、JR東日本の安全対策の不備を示す証拠であり、会社ぐるみの安全軽視が事故を引き起こしたことの表れである。

5.その意味で、今回の書類送検が現場の運転指令室員ら3名のみにとどまり、JR東日本の経営幹部が含まれなかったことに、当ブログは強い不満を表明する。安全対策の不備を放置し、利益優先のエキナカビジネスに狂奔したJR東日本幹部こそ事故の最も重い責任を引き受けなければならない。また、これらの安全軽視の企業体質を見逃していた国土交通省の責任も問われなければならない。

6.当ブログは、まもなく事故から4周年となるこの時期に、改めて犠牲者のご遺族に哀悼の意を表するとともに、今なお治療過程にある負傷者の方に対しても、お見舞いを申し上げるとともに1日も早いご快癒をお祈りする。そして、遺族・被害者と連携し、この事故の真相究明に今後も全力を尽くす決意である。

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