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偽装請負を巡る訴訟で元社員逆転敗訴

2009-12-19 16:44:14 | その他社会・時事
偽装請負、最高裁「雇用関係ない」 パナソニック子会社(朝日新聞)

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 請負会社からパナソニック子会社に派遣され、違法な「偽装請負」の状態のもとで働かされていた吉岡力(つとむ)さん(35)が、同社との間に雇用関係があるかどうかを争った訴訟の上告審判決で、最高裁第二小法廷(中川了滋裁判長)は18日、雇用関係はないとの判断を示し、この点について吉岡さんの敗訴とした。

 訴訟はパナソニックプラズマディスプレイ(旧松下プラズマディスプレイ、大阪府茨木市)を相手に吉岡さんが提訴。偽装請負状態で働かされた人と派遣先の雇用関係について司法がどのように位置づけるか注目されていた。

 吉岡さんは「形の上は請負会社に雇われていたが、実際にはプラズマ社と使用従属関係にあった」と主張し、雇用関係があることの確認を求めた。二審・大阪高裁判決は請負会社が吉岡さんと結んだような契約は公序良俗に違反して無効としたうえで、プラズマ社と吉岡さんの間には「黙示の雇用契約」があり、有効な雇用関係が続いていると判断した。

 これに対し、第二小法廷は、プラズマ社が労働者派遣法に違反した状態で吉岡さんを働かせていたと認めたうえで、「仮に違法な労働者派遣でも、そのことだけで労働者と派遣元の間の雇用契約が無効になることはない」と判断。プラズマ社側が吉岡さんの採用に関与したり、給与の額を事実上決定したりしていた事情がなく、黙示の雇用契約も成立していないと結論づけ、二審判決を破棄した。

 吉岡さんの代理人によると、同種訴訟は全国で60以上ある。今回の最高裁の判断に沿えば、「違法な労働者派遣」というだけでは派遣先との直接の雇用関係が認められないことになる。

 判決などによると、吉岡さんは2004年1月からプラズマ社の工場で働いていたが、05年5月に大阪労働局に偽装請負を内部告発し、これを受けて同労働局が是正指導をした。第二小法廷は、内部告発への報復として、プラズマ社が従来と異なる業務を命じたことなどを理由に、計90万円の賠償を命じた二審判決の判断は支持。この部分については、吉岡さんの勝訴が確定した。(中井大助)
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日々の運営経費を捻出するだけでも青息吐息の零細企業ならともかく、パナソニックに対する賠償がたったの90万円ではお話にもならない。「こんなはした金で労働者を解雇できるなら安い安い」とパナソニックは思っているだろう。これでは全面敗訴と同じであり、あまりに悔しい。

この最高裁判決の判決文を私も入手したが、読み返してみてはっきりしたことがある。それは、労働者派遣法が存在する限り、非正規労働者はなにをもってしても会社に解雇撤回を要求できない、ということだ。何より最高裁自身が、「労働者派遣法に基づく派遣契約は職業安定法が禁止する労働者供給事業に当たらない」と断言しているのだから。労働者派遣法がある限り、指揮命令している企業は責任を逃れる一方、賃金をピンハネされ続けている労働者は文明国以下の生活を強いられ続ける。そして、少しでも文句を言ったり自己主張をした者は、契約打ち切りを宣告される。

労働者供給事業を禁止し、文明国にふさわしい労働契約を保障した職業安定法と労働者派遣法の矛盾は非和解的なものである。この2つの法律は、お互いがお互いの首を絞め合い、どちらが先に倒れるかの関係にある。職業安定法と労働者派遣法の矛盾は、どちらかがどちらかを打倒することによってしか解決されないのである。

この問題は、職業安定法が労働者派遣法を打倒する形で解決されなければならないと、当ブログは考える。契約なくして労働なし、賃金なくして労働なしは当然ではないか。最高裁は、「非正規労働者には権利なし。のたれ死ぬか年越し派遣村に行くかはどうぞご自由に」とでもいうのだろうか。

当ブログは、およそ文明国に値しない今回の判決に強く抗議する。最高裁ならぬ最低裁は恥を知れ。



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