安全問題研究会(旧・人生チャレンジ20000km)~鉄道を中心とした公共交通を通じて社会を考える~

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市民を二分する論議の中、福島で市民診療所が開業へ

2012-11-28 22:52:48 | 原発問題/一般
<原発事故>福島に募金診療所が開院へ 住民の不安に応え(毎日)

この診療所の建設を巡っては、福島県民、市民を二分するほどの激しい論争があった。いや、今なお続いていると言ってもいいだろう。「そもそもなぜ市民が寄付まで集めてこのようなことをしなければならないのか」という建設そのものの是非に加え、建設委員会のあり方、どのような診療所を目指すのか、という疑問も提起された(診療所建設委員会のあり方に関しては、私は当事者ではないのでコメントする立場にないが…)。

記事中にも登場する呼びかけ人の方は私も知らないわけではないが、「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」代表と診療所建設の呼びかけ人を兼務することを巡っても、大きな論争が今なお続いている。

「そもそもなぜ市民が寄付まで集めてこのようなことをしなければならないのか」という疑問に答えることは、そのまま福島県の今の医療のあり方を問うことにつながる。本当は、こんなことをしなくて済むならそれに超したことはなかったのだ。

「私は子どもを病院に連れて行っただけで、まだ何も言わないうちから“放射能は関係ないからね”と言われた」

「避難よりも、親子が離ればなれになるストレスのほうが身体に悪いですよ、と言われた」

「そんなに(放射能のことが)心配なら、心理カウンセラーを紹介しましょうか、と言われて絶望した」

「子どもが鼻血を出し、いつまでも止まらないので病院に連れて行ったら花粉症と言われた。『鼻血を出す花粉症がどこにあるんですか!』と言ったら『花粉症です!』と怒鳴られた」

これらはすべて、放射能の健康への影響を心配する人たち(その多くが女性や母親)が福島県の病院で経験したことだ。信じられないかもしれないがすべて実話である。福島県のほぼすべて(1人残らず、に近い)の医者が放射能の健康被害を心配する人たちを冷笑し蔑視してきた。3人目に紹介した人は、長野県に避難してしまった。健康被害が出なくても、福島のこうした「人に冷たい医療体制」に絶望して避難を決意した人は多いのだ。私はこうした医療従事者の姿勢を、福島の子どもを持つ母親に対する二次加害行為、「セカンドレイプ」だとすら思っている。福島の医療関係者はもはや若者、子供を持つ母親からは全く信頼されていない。

驚くことに、彼らのこの姿勢は県民健康管理調査検討委員会という公式の場で甲状腺がんが公表された後も全く変わっていない。彼らは県当局と一緒になって県民の健康被害を隠ぺいし否定する犯罪者、加害者だ。福島県医師会の幹部は数十年後、県とともに傷害罪(今後の展開によっては殺人罪)で断罪されるであろう。

市民が自分たちの手で、数千万円もの寄付を集めて診療所を建てなければならなかった背景にこうした理由がある。たとえ町医者に毛の生えた程度の貧弱な診療施設であっても、建設委員会にいかなる毀誉褒貶があっても、もはやこうでもしない限り、福島の子どもたちを健康被害から守ることはできないのである。

この診療所が福島県民から支持を獲得できるか、どの程度獲得できるかはまだわからない。しかし、一定程度の患者は獲得するのではないかと当ブログは見ている(本当はこんなところに診療を受けに来る暇があるなら避難すべきなのだが)。この診療所が、お先真っ暗の福島の医療に風穴を開ける灯台になってくれればいいと思っている。

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