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参院選の不在者投票を初体験

2013-07-15 18:29:44 | 選挙関連
参院選の不在者投票に行ってきた。誤解のないように繰り返しておくが、期日前投票ではなく不在者投票だ。

北海道に引っ越して3ヶ月。私はてっきり北海道選挙区で投票できるものと思っていた。しかし、3月まで居住していた福島県内某村からの通知で、不在者投票となることを知った。

どのような場合に不在者投票になるかは、公職選挙法でその要件が決まっている。こちらに詳しく解説されているが、地方自治体は、常に選挙人名簿(有権者名簿のこと)を備え、3月、6月、9月、12月に内容を更新するほか、選挙が行われる際に臨時更新も行われる。選挙人名簿は「その自治体の住民のうち誰に選挙権があるか」を示す最も基本的な台帳で、公選法が適用されるすべての選挙の基礎になる(地域によっては、農業委員会委員(公選)、海区漁業調整委員会委員(公選)などの選挙で有権者資格を持つ農民、漁民もいるが、これらの選挙は公選法を便宜的に「準用」して行われるものなので異なる要件がある)。もちろん、この名簿に載っていない人が投票できるということは決してない。

選挙人名簿への登録は、住民基本台帳に引き続き3ヶ月以上登録されている人を対象に自治体が職権で行うもので、住民がいちいち届け出る必要はない。定期更新は3月、6月、9月、12月の2日、臨時更新は告示日の前日が基準とのこと。

今回の参議院選挙は7月4日に告示されたから、慣例通りなら基準日は7月3日。この時点で3ヶ月以上現在の自治体に住民票があれば、現在の住所地で投票ができる。期間の計算方法は、通常、民法143条の例(暦に従って計算し、初日は算入しないが、事実の発生が午前0時であるときは初日を算入)によるので、今回の参院選の場合、現住所に住民票を置いてから基準日時点で3ヶ月を経過しているためには、4月3日までに現住所に転入していなければならないということになる。思い出せば、私が現住所に転入したのは4月4日だった。北海道への転入があと1日早ければ、こちらで投票できたと思うと、なんとも惜しい。

現住所に住民票を置いてからの期間が3ヶ月に満たない場合、現在の住所地では投票ができないが、国政選挙に関しては転出した市町村の選挙人名簿には転出後4ヶ月間は残ったままになっているので、転出した自治体で投票できる。既に住所でなくなってしまった場所が投票対象選挙区になるというのは、一見するとおかしく感じるが、現住所地で投票できない以上、どこかで投票権を認めなければ憲法で認められた投票権の侵害になってしまうから、あくまで便宜上の措置だろう。それに、よく考えてみると、引っ越してきたばかりで事情がわからない土地よりも、既に転出してしまったとはいえ「ついこの前まで住んでいて事情を熟知している場所」で自分たちの代表者を選ぶ方が選びやすいはずだから、その意味では合理的なやり方ともいえる(当然ながら、地方選挙は別)。

選挙は民主主義の基本中の基本であり、投票できるべき人ができなかったことに伴う裁判はこれまで数多く行われてきた。一時的に海外派遣中の日本人が(国内に生活の基礎がないという理由で)比例区しか投票できないのはおかしいと国を訴え勝訴、選挙区でも投票できるよう公選法が改正された例がある。最近では、成年被後見人に対し一律に選挙編を剥奪している公選法の規定が違憲とされ、今回の選挙から成年被後見人が投票できるようになったことは記憶に新しい(総務省の法令データ検索サービスで公選法を検索すると、今日現在、公選法11条(選挙権及び被選挙権を有しない者)の1項に「成年被後見人」が残ったままになっているが、法改正を反映させる作業が追いついていないのだろう。後日、おそらく反映されると思う)。

2003年に現在の期日前投票制度ができるまでは、投票当日に投票所に行けない人は、不在者投票によるしかなかった。不在者投票では、まず不在者投票したい旨を自治体に連絡し、所定の方法で宣誓書に記載した上で投票用紙を事前に取り寄せる。投票用紙が届いたら現住所地の投票所で投票するという2段階の手続が必要だった。しかも、宣誓書には当日投票できない理由を書かなければならないが、旧不在者投票の時代には「レジャー・買い物」等の曖昧な理由は認められなかった。旧不在者投票のハードルが高いといわれるゆえんであり、そのため期日前投票制度がない時代には、当日投票所に行けない人が棄権してしまうことも多かった。これに対し、期日前投票制度は「レジャー・買い物」等の理由でも認められるため、投票率を上げる効果をもたらした。

一方、不在者投票も、住所地の自治体を長期にわたって離れる人や、転居後間もないため新住所地で投票できない人など、やむを得ない人のための制度として残ったが、依然として多くの問題がある。転勤のため、正式に住所を移して引っ越した私のような人には、転居前の自治体から請求しなくても不在者投票の案内が届き、自分がその対象だと知ることができる。しかし、住所を移さず引っ越した人は自分から請求しなければ不在者投票を利用することは困難だろう。住所を移さないまま親元を離れて下宿している学生のように同情の余地があまりないケースがある一方、原発避難者、DV(ドメスティック・バイオレンス)からの避難で現住所地を秘密にする必要があるなどのやむを得ないケースもある。こうした人たちにとってあまりにも不便すぎる不在者投票制度はさらに改善の必要があるが、それがなかなか進まないのは(うがった見方をすれば)政府・与党に不利だからではないか。そのような社会的弱者がどう考えても与党に投票するとは思えないからだ。

私が福島で投票するのは最後になると思うので、補足しておこう。参院福島選挙区は、今回の選挙から定数が削減され4→2となる(非改選含む。改選議席でいえば2→1)。興味深いのは主要政党(自民・民主・共産・社民)の候補者が全員女性であることだ。こんな選挙区はおそらく全国でも福島だけだろう。原発事故以降、福島では長く抑圧されていた女性が「原発いらない福島の女たち」などの形で闘いの先頭に立った。一方、長く惰眠をむさぼってきた男性はこの重大局面でもほとんど役に立たなかった。全員がそうだと言うつもりはないが、多くの男性が行動せず、知恵もカネも出さず、出すのは口だけ。こんな醜態を見せつけられれば、どんな政党であれこんな男性たちを公認などしたいとは決して思わないだろう。その意味では、主要政党の候補者が全員女性になったのは必然の成り行きだったような気がする。もし、このブログを見ている福島の男性がいたら、私ごときに言われたことに対し憤慨する前に、知恵と行動力を見せてほしい。

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