安全問題研究会(旧・人生チャレンジ20000km)~鉄道を中心とした公共交通を通じて社会を考える~

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安全問題研究会が国土交通省へ要請行動を実施(その2;船舶の安全問題/海事局)

2023-02-25 22:50:34 | 鉄道・公共交通/安全問題
安全問題研究会は、昨日掲載したJRローカル線問題に続き、2月24日、船舶の安全問題についても国土交通省に要請行動を行った。こちらもアポ取りはできなかったが、「担当者の都合がつかずどうしても設定できない。請願書には後日、文書回答する」との連絡があった。鉄道局とはまったく異なる対応であり、後日の文書回答を求めることとしたい。

なお、こちらも印刷に適したPDF版を安全問題研究会ホームページに掲載している。

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                       2023年2月24日

国土交通大臣 斉藤 鉄夫 様

           平和と民主主義をめざす全国交歓会(ZENKO)
           安全問題研究会

   船舶の安全問題に関する請願書

 2022年4月23日に発生した知床遊覧船「KAZU I」沈没事故から10か月となります。これまでに、乗客・乗員26人のうち20人の死亡が確認され、6人が行方不明のままとなっています。

 この事故は、船体の不備を放置し、記録簿を整備せず、船舶無線も故障したまま、地上と遊覧船との連絡手段に趣味用のアマチュア無線や携帯電話を使用していた等、数多くのずさんな実態が明らかになっています。これらは運行会社に最大の責任がありますが、同時に、こうした状況を見逃したまま定期検査に合格させた日本小型船舶検査機構及びその監督機関である国土交通省の責任も大きいと考えます。

 このような事態を踏まえ、死亡した20名の乗客・乗員の無念に応える上でも本請願が不可欠と判断しました。貴職におかれましては、本請願の趣旨をご理解の上、文書により回答を行われるよう要望いたします。



《請願内容》
1.船体重量20t未満の船舶に対し、日本小型船舶検査機構が行う検査の体制に関する問題を洗い出すとともに、抜本的に見直すこと。

2.船舶安全法及び海上運送法に違反した場合の罰則が軽すぎて実効あるものとなっていないことから、両法律を改正し、罰則を1億円に引き上げること。

【説明】

 船舶安全法により、船体重量20t未満の船舶については、国土交通省所属の船舶検査官による直接検査を受けず、これに代わるものとして、同法に基づいて設立された日本小型船舶検査機構(JCI)が定期または臨時の検査を行うよう定められています。今回、沈没した「KAZU I」は船体重量19tであり、国交省の直接検査を逃れるための設計であったことは明らかです。

 「KAZU I」に関しては、①経験豊富な船長を解雇し操船未経験者を後任にしたこと、②船体の亀裂をきちんと修理しないまま2022年シーズンの運行に入っていたこと、③波高を測定せず毎日同じ数値を記載していたこと、④故障した船舶無線を修理せずアマチュア無線や携帯電話を連絡手段としていたこと―等々のずさんな実態が明らかになっています。

 このうち①は、船長の要件を操船経験3年以上とした海上運送法に違反するほか、④は「無線電信等ノ施設ヲ要スル船舶ヲ其ノ施設ナクシテ航行ノ用ニ供シタルトキ」は違法(船舶安全法第18条1項6号)とされており、これに該当する疑いがあります。また、アマチュア無線の用途を趣味用に限定、人命救助の場合を除いて業務上の使用を禁じた電波法にも違反しています。こうした実態がありながら、毎年の検査で見逃していたJCIは検査機関としての役割を果たしていないと言わざるを得ません。

 JCIは、国土交通省に設置された知床遊覧船事故対策検討委員会において、2022年7月に行われた中間取りまとめを受け、「合理的な理由なく国と異なる方法で行われているものを総点検で洗い出し、全て変更又は廃止する」ことを2022年9月30日付で公表しています。検査基準の見直しは当然行われるべきものですが、ずさんな実態がありながら見逃していたJCIの検査体制のあり方についても抜本的見直しが必要です。

 また、事故当時のJCIの理事長及び理事1名は国土交通省出身者であり、斉藤英明理事は事故後も2023年2月2日付で理事に再任されています。検査機関への国土交通省出身者による天下りは市民の不信を招くもので中止すべきと考えます。また、こうした人事に関し、国土交通省として責任を感じないのか、その見解を求めます。

 現在、船舶所有者や運行事業者に対し、法律の規定に違反した場合に科せられる罰金の上限は、船舶安全法が50万円、海上運送法が100万円です。このような罰則では「船体の維持や修理に高い経費をかけるより、検査で発覚したときだけ罰金を払った方が安い」と考える遵法精神の低い事業者の出現を防止することは困難です。

 高速ツアーバスに関しても、道路運送法に違反した場合の罰金の上限は当初、100万円でしたが、2010年代に相次いだ事故を受け、罰金上限を1億円に引き上げるとともに、運行会社の代表者に懲役刑を併科できる法改正が2016年に行われた結果、事故は大幅に減少しました。一度の事故で会社が倒産するという危機感を経営者に持たせてこそ、罰則は実効あるものとなります。高速バスの例に倣い、船舶の分野に関しても、船舶安全法、海上運送法に違反した事業者に対する罰金上限を1億円に引き上げるよう求めます。

(以  上)

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