安全問題研究会(旧・人生チャレンジ20000km)~鉄道を中心とした公共交通を通じて社会を考える~

公共交通と原発を中心に社会を幅広く考える。連帯を求めて孤立を恐れず、理想に近づくため毎日をより良く生きる。

隠し続けられてきた「原発奴隷」

2011-04-09 10:59:45 | 原発問題/一般
(この記事は、当サイト管理人が月刊発行の会報編集部より依頼を受け執筆した原稿をそのまま掲載したものです。)

 東日本大震災に伴って起こった福島原発事故によって、原発で奴隷的労働に従事していた作業員が大量被ばくさせられている。原発労働者の多くが下請けや派遣などの非正規労働者であることや、その非人間的な労働実態はこれまでひた隠しにされてきた。

 近づくのも困難な水準の強い放射能が漏れ続けているさなかにも、インターネットには福島原発作業員の求人広告が掲載されたままになっている。仕事内容は「原子力発電所内の定期検査・機械・電気・鍛冶溶接及び足場作業」、給与は日給で9,000~11,000円、応募資格、スキル・経験は不問。雇用形態は「正社員以外」とある。強い放射線を常時浴び続ける仕事なのに、日給だから休めば給与は1円も出ない。病気になればゴミのようにポイ捨てだ。これが奴隷でないならいったい何なのだろう。

 政府・電力資本に手なずけられ、権力へのチェックという役目をすっかり忘れて長い惰眠をむさぼり続ける日本メディアに代わって、海外メディアは優れた報道を残している。やや古いが「日本の原発奴隷」と題したスペインの新聞「エル・ムンド」(2003年6月8日付け)によれば、「失うものを何も持たない者達の仕事」として福島原発作業員の仕事がホームレスたちにあっせんされ、そして彼らは正社員が決して入ることのない、最も危険な業務へと送り込まれる。放射線測定器が振り切れているのに、彼らは計器の故障だとみずからに言い聞かせ、危険な作業を続けるのだ。

 原発作業員に最下層の人たちをあっせんする慣習は30年以上にわたって続けられ、現在に至っている。権力と電力資本に魂を売り渡さなかった数少ない原子力学者のひとり、藤田祐幸氏の調査によれば、その間に700人から1000人の下請け労働者が亡くなり、さらに何千人もがガンにかかったという。

 大量の労働者を破滅的な健康障害に追い込むことで初めて成り立ってきた科学技術が、今度は地域住民を大量被ばくに追い込んでいる。原発が人類を殺すのと、人類が原発を殺すのとどちらが先か突きつけられている。私たちはこの闘いに勝たねばならない。
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