安全問題研究会~鉄道を中心とした公共交通を通じて社会を考える~

公共交通と原発を中心に社会を幅広く考える。連帯を求めて孤立を恐れず、理想に近づくため毎日をより良く生きる。

これは真夏の夜の怪談か?~「猛暑の後には大地震が来る」説について

2013-08-17 23:40:50 | 気象・地震
当エントリで記載する内容を信じるか信じないかは読者諸氏にお任せする。科学的根拠を持つものとは言えず、単なる統計学上の大まかな傾向に過ぎないからである。それでも当ブログがこうした不確実な話を取り上げるのは、第1には、いざその時が来てから「やっぱり事前に警告しておけばよかった」と後悔することがないようにしたいから。第2には、科学とか科学者を標榜する人たちが3.11以降市民の信任を失って「何が本当の科学か」が不透明になってきており、従来の「科学的立場」からは笑い飛ばされそうだったこの手の話の価値が増していると考えるからである。

確証が持てないが警告の意味でこの話題を取り上げているものと理解していただきたい。もし、この話が信じるに足りないと考える方は、「真夏の夜の怪談」と受け取っていただいてかまわない。

四万十、4日連続40度以上…国内初(読売新聞) - goo ニュース

高知県四万十市(西土佐江川崎)で8月10~13日まで4日間連続で最高気温40度超えとなったことは、すでに各メディアで報じられた。この夏の異常猛暑は、統計史上110年間で「最暑」と言われた2010年夏をも上回る勢いとなっているが、このところ各個人ブログなどで話題になり始めているのが「猛暑と大地震の関係」だ。

1923年夏 記録的猛暑→1923年9月 1日 関東大震災
1994年夏 記録的猛暑→1995年1月17日 兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)
2010年夏 記録的猛暑→2011年3月11日 東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)

ここではいちいち紹介しないが、この猛暑と大地震の関係に触れている個人ブログは検索すれば比較的簡単に見つかる。ネット民には、こうした法則性を見つけるのが得意な人が多い(その理由も想像がつくが、当エントリの主題ではないので割愛する)。

にわかには信じがたい「法則性」だが、実際に調べてみると、1923年8月6日、徳島県板野郡撫養町(現・鳴門市)で42.5度という当時ではあり得ないほどの極端な最高気温が観測されていた(出典:ここ)。この気温が正式記録ではなく参考記録とされているのは、ここの観測点が中央気象台(気象庁の前身)の正式観測点でなく委託観測所だったことによるもので、温度計の精度が不足していたからではないことに注意を要する。

また、この年、東京でも35.1度という当時としては常識外れの気温が記録された、と記載している個人ブログもある。出典は明記されていないが、気象庁のデータベースを見ると、関東大震災が起きる直前の東京の8月の「月平均気温の平均値」は1922年(震災前年)が27.3度、1923年(震災の年)が27.2度。その前後の年と比べて突出して高くなっている。例えば1921年は25.3度、1924年は26.2度。それ以外の年もおおむね同様で、1922~23年が異常なのだ。

次に1994年を見よう。同じ気象庁のデータで、8月の東京の「月平均気温の平均値」は28.9度。1978年と並んで、この時点での戦後タイ記録となった。驚くことに、この記録は翌95年(阪神大震災発生直後)にあっさり破られ29.4度を記録。この95年の記録が破られるのは、…なんと2010年(29.6度)である。

ちなみに、1978年は、6月に宮城県沖地震(M7.4、最大震度5)が発生している。95年とあわせて考えると、「大地震は発生直前も暑いが、発生直後も暑い」といえそうである。

こうしてみると「猛暑の後に大地震」は荒唐無稽な説ではなく、統計的にはじゅうぶん検討に値すると思う。ただ、これ以外にも記録的猛暑だった年はあり、「猛暑の後に必ず大地震」ではないことに注意が必要だ。「後で振り返ってみれば、あのときもそうだった」的な後知恵の域を出ないが、戦後の代表的な大地震の前後の年に平均気温が高温で推移していることは興味深い。「国内各地で次々と最高気温の記録が塗り替えられるような年があった場合は、念のためその後1年程度は大地震に注意すべき」程度のことは言ってもかまわないと思われる。

数学の世界では、「aであるときは、bである」という命題が真であるとき、aをbであるための「十分条件」、bをaであるための「必要条件」と呼ぶことになっているが、「夏が記録的猛暑だと、大地震が起きる」という命題を立てたとき、これが真であるとは言えないから(猛暑の後、「必ず」大地震が来るとは限らないため)、猛暑は大地震発生の十分条件とは言えない。しかし、「必要条件」に該当する可能性はあるかもしれない(上記以外の地震についてもう少し精査が必要。もし、上記以外の地震についても同じことが言えるなら、その時は必要条件と言える)。

難しいのは、1923年夏に桁外れの気温が観測されたのが高知県鳴門市であるにもかかわらず、その後大地震に見舞われたのが東京であったように、この説から地震の発生場所を事前に推定することは不可能であることだ。これができるようになれば、地震予知に1歩近づけると思うのだが…。

いずれにせよ、今年の異常猛暑が「大地震の警告」の可能性はじゅうぶんある。当エントリを信じる方は、向こう半年から1年程度、大地震に念のため警戒してほしい。
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