安全問題研究会~鉄道を中心とした公共交通を通じて社会を考える~

公共交通と原発を中心に社会を幅広く考える。連帯を求めて孤立を恐れず、理想に近づくため毎日をより良く生きる。

能登半島での地震について

2024-01-01 21:30:04 | 気象・地震
管理人から新年のご挨拶を申し上げます・・という記事も書かないうちから、元日早々、能登半島で巨大地震が発生してしまった。地震の規模は、すでに1995年1月の阪神・淡路大震災を超えており、共通点もみられることから、いくつかこの地震について書いておくことにしたい。なお、正月気分なんてこれで吹き飛んでしまったので、新年あいさつの記事は取りやめる。

<1.地震全般について>

令和6年1月1日16時10分頃の石川県能登地方の地震について(気象庁報道発表)

大津波警報(高さ3m以上が発表基準)の発表は、2011年の東日本大震災以来になると思う。この記事の投稿時点で、大津波警報の地域はなくなり津波警報(高さ1m以上~3m未満が発表基準)に切り替えられたが、それでも警報が発表中であることに変わりない。海岸線に近づく行為は、たとえ人命救助など必要なものであったとしても、自身が巻き込まれるなどの二次災害となる恐れもある。発表中の警報が解除されるまでは厳に慎んでほしい。

報道発表を見ると、地震規模はM7.6(速報値)で、1995年1月17日未明に起きた阪神・淡路大震災のM7.3を上回った。マグニチュードは、2違うと地震のエネルギーが千倍違うので、今回の地震のエネルギーは阪神・淡路大震災をやや上回る一方、M9.0だった東日本大震災と比べれば約1000分の1である。今後、より大きな規模の「本震」の発生がなければ、被害は東日本大震災より少ない範囲にとどまると思う。ただし、今後の推移によっては阪神・淡路大震災に匹敵する規模になるかもしれない。

発震機構解(地震のメカニズム)は、北西―南東方向に圧力軸を持つ逆断層型(速報)。昨年5月5日にも今回の震源からわずかに南側で最大震度6強の地震が発生している(気象庁報道発表)が、これとまったく同じである(下の画像は、昨年5月5日の地震の解説記事を書いた際に作成したもので、震央の位置は5月5日とほぼ同じ)。震源深さは昨年5月5日が12㎞、今回の地震が16㎞とこれもほぼ同じ(気象庁報道発表(第3報))。ここ数年、能登半島沖で起きていた群発地震と関連がないと考えるほうが難しい。



<2.北陸電力志賀原発について>

今回の地震では、石川県志賀町で震度7を記録したが、この観測地点は北陸電力志賀原発のほぼ直下である。東日本大震災発生以降、この原発は新規制基準に適合するかどうかの審査が続けられていたため稼働はしておらず、停止中なのは不幸中の幸いだった。とはいえ、福島第1原発4号機のように、停止中の原発でも使用済み燃料プールの損壊が起きれば、稼働中の原発以上に深刻な事故が起きる可能性は否定できない。

今回の地震でも、早速、「志賀原発で使用済み燃料プールの冷却水の一部があふれ出るが冷却に問題なし モニタリングポストにも異常なし 原子力規制庁」(FNN)という記事が配信されている。記事を読む限り、一部が漏れ出たものの、燃料棒よりも冷却水の水位が高い状態で維持されているため冷却が継続できているものと判断するが、今後、震度5弱~5強クラスの地震でも、何度も続けば大規損な損壊が起きる可能性がある。私としては引き続き状況を注視したい。

志賀原発に関しては、原子力規制委員会が2016年4月、1号機の直下を通る断層が活断層に当たるとした評価書の案を決定した。新規制基準では、重要施設は活断層の上に建ててはならないため、志賀原発はこのまま廃炉になる可能性が高いと報じられた(参考記事:石川・志賀原発、活断層で廃炉か 規制委が評価書受理、確定(2016年4月27日付け千葉日報))。しかし、岸田政権が原発回帰へ向け圧力を強める中で、2023年3月、「活断層ではない」とする北陸電力の主張を丸のみし、2016年の評価書の内容を180度覆す不当決定を行った(参考記事:志賀原発「活断層なし」 規制委、評価妥当と判断 8年越し、再稼働へ前進(2023年3月4日付北國新聞)。

だが、今回の地震が志賀原発の真下で起きたことは、2016年4月の評価書が科学的であり、正しかったことを証明した。規制委は、2023年3月のでたらめだらけの決定を取り消し、2016年の評価書に立ち戻り、志賀原発の廃炉を決めるべきだと思う。

<3.猛暑と地震の関係について>

「猛暑の後には大地震が来る」という説があり、オカルト界隈では根強い支持がある。当ブログでも過去に一度、この説について取り上げている(2013年8月17日付記事「これは真夏の夜の怪談か?~「猛暑の後には大地震が来る」説について」)。10年半も前に書いたものだが、猛暑が史上最悪レベルと騒がれ始めた昨年8月ごろからこの記事へのアクセスが急増した。

当ブログには、毎日、「前日に最もよく読まれた記事」のランキングをPC版表示では5位まで、スマホ・タブレット版表示では10位まで表示する機能があるが、この記事が昨年7月下旬ごろからたびたびランキング入りし始め、8月は2~3日に1回はランキング入りする人気ぶり。秋以降も、気温が平年を大幅に上回るたびにランキング入りした。間違いなく「2023年、当ブログで最もよく読まれた記事」になると思う。

思えば1995年の阪神・淡路大震災の前年(94年)も、2011年の東日本大震災の前年(2010年)も記録的猛暑と言われた。昨年も史上最高の猛暑となり、この正月も、帰省先の実家では暖房も要らないほどの異常な温かさが続いている。この年末も「本当に異常な温かさだね。阪神大震災が起きた95年1月も、神戸で真冬なのに19度を記録したりして異常な温かさだったので、この冬も大地震が来るかもしれないね」と妻にだけこっそり話したくらいなのだ。

まさか、本当に来るとは思いもしなかった。しかも元日から・・

「猛暑の後には大地震が来る」説、オカルト界隈のお遊び的言説だと笑い飛ばしていたが、どうやら本気で研究しなければならないようだ。

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