今朝から孫の運動会、昼食の終わる頃に降りだした雨に
驚き、これを契機に私達は帰宅しましたが、ポツリ程度で
最後まで運動会を終えることが出来たとのメール。
走り踊りし運動場を駆け回って大きくなったものです。
よかった風を引かないでね。
特別展「柳沢淇園ー文雅の士・新奇の画家ー」展が
10月7日~11月12日迄で開催中の大和文華館
季節が戻ったかのような暑さから一転して雨の中、
多数来館されており、こんな天気で平日なのに・・・
遠来のお客様MIHO MUSEUMさんからで、
この特別展に作品を三点貸し出されているからでしょうか
解説していただけたのは、宮崎もも学芸部係長
時間内で、きっちりとした解説で解かりやすいお話しでした。
始まりは『柳沢淇園(やなぎさわ きえん1703~1758)』とは、
甲府藩主柳沢吉保の筆頭家老の次男として生まれた上級武士、
次の藩主吉里の大和郡山転封後、「里恭」と改名しており、
狩野派の絵はすきでなく、中国の文化を黄檗僧より
積極的に吸収し、新しい知と美を探求したようで、
40歳を過ぎ上級武士として藩を盛り立てつつ、好きなものを
濃彩で精緻に描く道釈人物図や花卉図、指で描く墨竹図など、
新奇な魅力に満ちた絵画や洗練された書を残しておられ、
江戸中期、胎動期であった文人画に光彩を放ち、その後の
池大雅など多くの文人の尊敬を集めたが、明治以降なぜか
その名も忘れ去られてしまい、この展覧会は約50年ぶりで
日本の文人画の先駆者「淇園」の生き様に迫る内容でした。
八部構成で、前後期と作品の入れ替えがあります。
Ⅰ.【淇園の境遇ー主家と生家】
欽考御本掛 1704年 郡山城史跡・柳沢文庫保存会蔵
「里恭(さととも)」と記載され、26歳で処分されたとも
楽只堂年録 1703年 郡山城史跡・柳沢文庫保存会蔵
Ⅱ.【淇園の関心 ー黄檗美術と古画ー】
黄檗僧の逸然系の描き方を勉強しています。
達磨図 逸然性融筆 17世紀 神戸市立博物館蔵
群仙星祭図 蘭渓若芝筆 1669年 東京国立博物館蔵
仙人は8人が16人描かれております。
関羽図粉本 伝渡辺鶴洲筆 1806年 神戸市立博物館蔵
よく似た構図を淇園は描き、見本としたのでは
梅花小禽図 上野若元筆 1711年 個人蔵
枝先が同じように描かれる
臥遊千里図画冊 明末~清時代 唐招提寺
陶淵明?睡童子の画材に
Ⅲ.【淇園の人物図】
羅漢図 柳沢淇園筆 1738-1740年 恵林寺蔵
くまどりとコントラストの強さ
関羽図 柳沢淇園筆 1745-1748年 東京国立博物館蔵
日本で最初?の関羽図で背景はグレーで服に龍の絵が
遠近法的な描き方を意図的にしていない
関羽図
関羽図 柳沢淇園筆 個人蔵
ややあっさりと描き、図形の均一化
関羽図
寒山拾徳図 柳沢淇園筆 18世紀 個人蔵
エキゾチックで奇怪さも
睡童子図 柳沢淇園筆 18世紀 個人蔵
細密な描き方、嵌入のある花瓶に瓶花を(中国文化)
睡童子図
布袋図 柳沢淇園筆 18世紀 個人蔵
大黒天図 柳沢淇園筆 MIHO MUSEUM蔵
米俵の上で小槌を振る大黒さんの原型で
蓮の葉で手は印を、口の歯も一本づつ描く
大黒天図
Ⅳ.【淇園の花果図・花鳥図】
果物籠図 柳沢淇園筆 18世紀 頴川美術館蔵
果物籠図
蘭花果実図 柳沢淇園筆 18世紀 個人蔵
瓶花と吉祥の果物で、無のつぶつぶや青磁の嵌入も
蘭花果実図
蘭石図 柳沢淇園筆 静嘉堂文庫美術館蔵
雪中梅花小禽図 柳沢淇園筆 個人蔵
枝ぶりが並行的な構図、胡粉で雪を、
黄鳥のピンク色の足も細かいですね。
Ⅴ.【淇園の墨戯】
指墨竹図 柳沢淇園筆 18世紀 個人蔵
中国から伝わり、日本で初めてで池大雅に教えたか?
指の腹を上手に使い、墨の濃淡で葉を表す。
指墨竹図
墨竹図 柳沢淇園筆 18世紀 個人蔵
墨蘭図 柳沢淇園筆 18世紀 個人蔵
金箔を絹の表面だけでは無く、絹の裏側に張り付けた
裏箔の技法で月の光を表す。
Ⅵ.【淇園の墨跡・書簡】
なかなか良い字で、一行書が秀逸で、
お手紙の書き方も五段で斜めに線を引いてあり、
公的な書との使い分けもされ、藩の借金のお願いも
五言律詩三行書 柳沢淇園筆 個人蔵
香弁上人宛書簡 柳沢淇園筆 大阪府立中之島図書館蔵
Ⅶ.【淇園の著作・版本】
『ひとりね』写本 天理大学附属天理図書館蔵
20歳台で書かかれ、多才で教養の高さを表す
『日記』 柳沢淇園筆 宇賀志屋文庫蔵
Ⅷ.【淇園周辺の新潮流 ー南蘋風と文人画ー】
唐絵から、濃厚な画風は南蘋そして若冲に繋がるが、
複雑な若冲に対し淇園は綿密な描き方になります。
海棠黄鳥図 鶴亭筆・柳沢淇園賛 長崎歴史文化博物館蔵
牡丹錦鶏図 柳沢信鴻筆 1765年 柳沢文庫保存会蔵
御殿様も上手に書かれています。
山水図 池大雅筆・柳沢淇園賛 個人蔵
墨竹図 木村蒹葭堂筆 個人蔵
淇園の墨竹図と比較して濃淡だけで奥行きを表す
文人画の主流の柔らかな筆を用いた「南宋様式」とは違い
濃彩で精緻に描く淇園の画風を十分味わえました。
驚き、これを契機に私達は帰宅しましたが、ポツリ程度で
最後まで運動会を終えることが出来たとのメール。
走り踊りし運動場を駆け回って大きくなったものです。
よかった風を引かないでね。
特別展「柳沢淇園ー文雅の士・新奇の画家ー」展が
10月7日~11月12日迄で開催中の大和文華館
季節が戻ったかのような暑さから一転して雨の中、
多数来館されており、こんな天気で平日なのに・・・
遠来のお客様MIHO MUSEUMさんからで、
この特別展に作品を三点貸し出されているからでしょうか
解説していただけたのは、宮崎もも学芸部係長
時間内で、きっちりとした解説で解かりやすいお話しでした。
始まりは『柳沢淇園(やなぎさわ きえん1703~1758)』とは、
甲府藩主柳沢吉保の筆頭家老の次男として生まれた上級武士、
次の藩主吉里の大和郡山転封後、「里恭」と改名しており、
狩野派の絵はすきでなく、中国の文化を黄檗僧より
積極的に吸収し、新しい知と美を探求したようで、
40歳を過ぎ上級武士として藩を盛り立てつつ、好きなものを
濃彩で精緻に描く道釈人物図や花卉図、指で描く墨竹図など、
新奇な魅力に満ちた絵画や洗練された書を残しておられ、
江戸中期、胎動期であった文人画に光彩を放ち、その後の
池大雅など多くの文人の尊敬を集めたが、明治以降なぜか
その名も忘れ去られてしまい、この展覧会は約50年ぶりで
日本の文人画の先駆者「淇園」の生き様に迫る内容でした。
八部構成で、前後期と作品の入れ替えがあります。
Ⅰ.【淇園の境遇ー主家と生家】
欽考御本掛 1704年 郡山城史跡・柳沢文庫保存会蔵
「里恭(さととも)」と記載され、26歳で処分されたとも
楽只堂年録 1703年 郡山城史跡・柳沢文庫保存会蔵
Ⅱ.【淇園の関心 ー黄檗美術と古画ー】
黄檗僧の逸然系の描き方を勉強しています。
達磨図 逸然性融筆 17世紀 神戸市立博物館蔵
群仙星祭図 蘭渓若芝筆 1669年 東京国立博物館蔵
仙人は8人が16人描かれております。
関羽図粉本 伝渡辺鶴洲筆 1806年 神戸市立博物館蔵
よく似た構図を淇園は描き、見本としたのでは
梅花小禽図 上野若元筆 1711年 個人蔵
枝先が同じように描かれる
臥遊千里図画冊 明末~清時代 唐招提寺
陶淵明?睡童子の画材に
Ⅲ.【淇園の人物図】
羅漢図 柳沢淇園筆 1738-1740年 恵林寺蔵
くまどりとコントラストの強さ
関羽図 柳沢淇園筆 1745-1748年 東京国立博物館蔵
日本で最初?の関羽図で背景はグレーで服に龍の絵が
遠近法的な描き方を意図的にしていない
関羽図
関羽図 柳沢淇園筆 個人蔵
ややあっさりと描き、図形の均一化
関羽図
寒山拾徳図 柳沢淇園筆 18世紀 個人蔵
エキゾチックで奇怪さも
睡童子図 柳沢淇園筆 18世紀 個人蔵
細密な描き方、嵌入のある花瓶に瓶花を(中国文化)
睡童子図
布袋図 柳沢淇園筆 18世紀 個人蔵
大黒天図 柳沢淇園筆 MIHO MUSEUM蔵
米俵の上で小槌を振る大黒さんの原型で
蓮の葉で手は印を、口の歯も一本づつ描く
大黒天図
Ⅳ.【淇園の花果図・花鳥図】
果物籠図 柳沢淇園筆 18世紀 頴川美術館蔵
果物籠図
蘭花果実図 柳沢淇園筆 18世紀 個人蔵
瓶花と吉祥の果物で、無のつぶつぶや青磁の嵌入も
蘭花果実図
蘭石図 柳沢淇園筆 静嘉堂文庫美術館蔵
雪中梅花小禽図 柳沢淇園筆 個人蔵
枝ぶりが並行的な構図、胡粉で雪を、
黄鳥のピンク色の足も細かいですね。
Ⅴ.【淇園の墨戯】
指墨竹図 柳沢淇園筆 18世紀 個人蔵
中国から伝わり、日本で初めてで池大雅に教えたか?
指の腹を上手に使い、墨の濃淡で葉を表す。
指墨竹図
墨竹図 柳沢淇園筆 18世紀 個人蔵
墨蘭図 柳沢淇園筆 18世紀 個人蔵
金箔を絹の表面だけでは無く、絹の裏側に張り付けた
裏箔の技法で月の光を表す。
Ⅵ.【淇園の墨跡・書簡】
なかなか良い字で、一行書が秀逸で、
お手紙の書き方も五段で斜めに線を引いてあり、
公的な書との使い分けもされ、藩の借金のお願いも
五言律詩三行書 柳沢淇園筆 個人蔵
香弁上人宛書簡 柳沢淇園筆 大阪府立中之島図書館蔵
Ⅶ.【淇園の著作・版本】
『ひとりね』写本 天理大学附属天理図書館蔵
20歳台で書かかれ、多才で教養の高さを表す
『日記』 柳沢淇園筆 宇賀志屋文庫蔵
Ⅷ.【淇園周辺の新潮流 ー南蘋風と文人画ー】
唐絵から、濃厚な画風は南蘋そして若冲に繋がるが、
複雑な若冲に対し淇園は綿密な描き方になります。
海棠黄鳥図 鶴亭筆・柳沢淇園賛 長崎歴史文化博物館蔵
牡丹錦鶏図 柳沢信鴻筆 1765年 柳沢文庫保存会蔵
御殿様も上手に書かれています。
山水図 池大雅筆・柳沢淇園賛 個人蔵
墨竹図 木村蒹葭堂筆 個人蔵
淇園の墨竹図と比較して濃淡だけで奥行きを表す
文人画の主流の柔らかな筆を用いた「南宋様式」とは違い
濃彩で精緻に描く淇園の画風を十分味わえました。