学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

茨城県陶芸美術館「人間国宝と古陶」

2010-10-13 21:02:22 | 仕事
この世に独立したアートはなし。誰しもが、過去の文物を学んで、新しい文物を創造します。文化の歴史はリレーのバトンと同じで、過去、現在、未来へとバトンをつなげてゆく流れがあるんですね。アートもしかり。

茨城県陶芸美術館では「人間国宝と古陶-対峙する眼と手」展を開催しています。人間国宝の陶芸家たちが、過去の古陶から何を吸収して、自らの陶芸に反映させていったのか、を紹介する展覧会です。まさに創造の原点をたどるもので、とても興味深く見てきました。個人的には、先日サントリー美術館で見てきた「鍋島」を再び見ることが出来たので嬉しい(笑)展示方法は、産地(有田焼、備前焼など)ごとに分けられ、まず過去の磁器、陶器が置かれます。その次に人間国宝の作品。ですから、過去と現在を比較して楽しむことができるように展示がなされています。また、後半になると日本だけでなく、中国の三彩、景徳鎮などが展示されていて、幅広く取り上げられていました。私は金城次郎氏、石黒宗麿氏らの作品がとても素朴ながら、強さがあって、過去のものをしっかり膨らませていることを感じました。過去と現在のつながりを提示した、とても良い展覧会ではないでしょうか。

展覧会を見学後、ミュージアムショップに行きましたら、なんと…人間国宝の作家たちの作品が販売されていました。欲しいなあ、とガラスケースからのぞいて見ましたが、私には値段が高くて手が出ず(苦笑)ミュージアムショップのもう1つの小さな陶芸の世界にもぜひ注目です!
コメント
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