学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

評論をふたつ

2010-10-27 21:06:48 | 読書感想
秋を飛ばして、一気に冬が来たようです。朝は特に冷え込みました。明日は今日よりも冷え込んで、しかも雨になるとか。あの夏の暑さが懐かしいですね。

今、評論をふたつ読んでいます。佐藤進一著『足利義満』(平凡社ライブラリー)、池内紀著『カフカのかなたへ』(講談社学術文庫)です。

ふとしたことから、私は室町時代に興味・関心が沸いて、本を読み出すようになりました。書店で見つけたのが『足利義満』です。室町幕府三代将軍の足利義満を中心としながらも、その前後の歴史についても触れられていますので、義満がどういう時代背景のなかに居たのかがよくわかります。また、著者の佐藤進一氏の文章がとても読みやすく、まさに歴史を小説のように読めるほど。

もう1冊はドイツ文学者の池内紀氏のカフカ論。フランツ・カフカは、19世紀後半にプラハで生まれた小説家。代表作には『変身』、『城』などがあります。著書の池内紀氏はカフカ全集の翻訳を手がけたほどですから、その評論となるととても面白い。カフカの一見、不条理な世界にも、メッセージがある。池内氏はカフカ本人と直接会って話をしたことがあるかのように、またあるときは小説の登場人物であるかのように、カフカの世界から我々に語りかけてくれます。カフカの小説をそのまま読んでも楽しめますが、池内氏の評論を読んでから小説を読むと、また新しい楽しみ方が生まれそう。

本との新しい出会い。今夜もふたつの評論を枕のそばに置いて眠ります。