学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

わたしの文体

2010-10-20 23:16:58 | その他
仕事柄、私は文章を書く機会がたくさんあります。展覧会カタログを1つとってみても、巻頭のあいさつ文、数十点の作品・資料紹介、調査・研究の論文など…。学芸員は文章をパッと書けて、しかも構成する力が必要であることをいつも実感します。

人にはそれぞれ文体があります。文章のクセとでもいうのでしょうか。私の場合、そのときに読んでいる作家の文体から非常に影響を受けます。

まずは夏目漱石。私にとって漱石の文章はしっくりときて書きやすいんですね。特にブログのなかで顕著にみられます(笑)漱石の小説はときどき読みますが、読むとすぐに漱石みたような文章になる。次は丸谷才一さん。丸谷さんの著書『思考のレッスン』から学んだ文体や文章の書き方はとても参考になりました。他人と対話するように文章を構成していくやり方、語尾の使い方に注意をする書き方、論文でも生かすように心がけています。また、ちょっと変わったところでは、私が先日書いた論文は司馬遼太郎の文体から影響を受けました。例えば語尾を「○○であるであろう」と書く。他の作家さんはなかなか使わない独特の言い回しですよね。

逆に文体をなかなか吸収しにくい小説家もいます。村上春樹さんです。村上さんの文体は外国語の翻訳から影響を受けているようですが、私は何べん読んでも村上さんのような文体にはならないのです。村上さんの言い回しはごくシンプルですけれども、それをいざ私が同じように書こうとするとやたら難しい。それがなぜなのか、私にもよくわかりません。

私の文体は極めて定まらないもの。私のように文章を書く機会が多い仕事に従事している場合、文体を変えすぎることはあまり良くないことなのかもしれません。どうも自信がなくフラフラしているようで。私も早いところ、自分の文体を確立する必要性を感じます。将来、私の文体がどうなるか。…やっぱり最もしっくり来る夏目漱石風になる気がします(笑)