語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【原発】国会事故調報告書を読んでいない東電幹部 ~新生東電の実態~

2012年09月25日 | 震災・原発事故
 (1)下河邊和彦・東京電力会長および廣瀬直己・同社長は、9月11日の会見で、原子力改革に向けた新体制を発表した。
 新体制は次のようなもので、「原子力ムラと呼ばれる体質から脱却し、苛酷事故は二度と起こさない」と下河邊会長はあいさつした。
  (a)取締役会の諮問機関として「原子力改革監視委員会」が、対策を提言する。同委員会は、下河邊会長、米原子力規制委員会の元委員長、櫻井正史・元国会事故調委員などで構成される。
  (b)「調査検証プロジェクトチーム」が、4つの事故調を踏まえて、(a)と一体で事故を検証する。同チームは、社内外の実務家・専門家から構成される。
  (c)結果と提言を受けて、「原子力改革特別タスクフォース」が実行する。同タスクフォースは、廣瀬社長を長とする。

 (2)質疑で、
  (a)(1)-(c)の目的を問われると、
    ①安全意識の向上のため、会社上層部のリーダーシップが不足していたことなどへの対策。
    ②(1)-(b)の仕事となる(丸投げ)。【廣瀬社長】
  (b)国会事故調では原子力ムラを象徴する電気事業連合会が規制庁に働きかけて規制逃れを諮ったことを「人災」だと呼んだ点に関する質問に対しては、
    ①そうした「誤解」が生じることのないようにしたい。【廣瀬社長】
    ②過去のそのような疑念をクリアできるようにした。【下河邊会長】
  (c)苛酷事故を前提に、無用な被曝を避けるフィルターをベント弁につける海外の知見を既存施設に導入せず、規制逃れをしたことについて、国会事故調では「人災」と認定した過程を見ていなかったのか、という追撃質問には、
    ①全然、つつがなくは見てない。【廣瀬社長】
    ②諸々、時間的な制約もあって、フォローしていない。【下河邊会長】

 (3)「調査検証プロジェクトチーム」に仕事を丸投げする「原子力改革特別タスクフォース」。
 かつての東電が行った規制逃れを「誤解」と呼ぶ廣瀬社長。
 国会事故調の追及から目を逸らしている廣瀬社長および下河邊会長。
 これが、6月に始まった「新生東電」の実態だ。

 以上、まさのあつこ(ジャーナリスト)「報告書を読んでない新幹部 ~東電が原子力改革新体制を発表~」(「週刊金曜日」2012年9月21日号)に拠る。
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