語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【原発】弱者切り捨ての嵐の中で ~福島の障害者~

2012年09月27日 | 震災・原発事故
 (1)先日、甲状腺第二次検査で細胞診をした14人のうち1人に甲状腺癌が見つかった。
 福島県民、そして福島県の子どもたちは、これから否応なく低線量被曝の環境の中で生きていくことになった。

 (2)健康問題、被曝に関連する疾病や障害を予防し、被害を最小化するために、さまざまな市民の努力が重ねられてきた。
 その一方で、疾病や障がいに対する忌避感が高まり、差別が助長されるのではないか、という懸念がある。

 (3)鈴木絹江(福島県田村市)は、障害者の自立支援活動家。自分にも障害がある。3・11後、いのち・生活の危機に瀬する障害者や難病を持つ人々の生活を支えるため、さまざまな困難と闘い続けてきた。自分も被曝によって体調を崩し、仕事を辞めなければならない瀬戸際に立つ。
 彼女は、総理大臣、厚生労働省、復興庁に宛てて要望書を出した。
 その要望書を読めば、3・11から今までに、障がい者や要援護者に何が起きたかを知ることができる。
 要望は3つ。

  (a)障害や難病を抱える人や要援護者が生き延びられるような緊急避難計画。
  (b)これらの人々を子ども同様、原発事故におけるハイリスクグループとした支援救済計画の実施。
  (c)誰もが安心して暮らせるための脱原発。

 (4)個々に具体的な要望事項がたくさんある。
 緊急時には、手話通訳士の確保、1日24時間の介護支給、車いすごと載せられる車両の確保、避難先で薬などが入手できる体制、等。
 どれも生死に直結する。
 どの教訓も、実際の被害、犠牲の上に得られたものだ。
 支援救済策としては、避難先や仮設住宅が障害者に対応していない問題、人工透析の水の安全性確保などがある。

 (5)要望書を読むと、この原発事故がどれだけ苛酷なものであったかが分かる。
 放射能がいのちに対して大きな負荷となっていることも感じ取れる。

 (6)生のために真剣に戦い続けてきた障害を持つ人々が、今、被曝と弱者切り捨ての嵐の中で闘っている。
 それは、福島県民、福島県の子どもたちの、未来の人々の闘いでもある。

 以上、うえのさえこ(「ハイロアクション福島原発40年実行委員会」委員長)「弱者切り捨ての嵐の中で ~福島から遠く離れて第11回~」(「週刊金曜日」2012年9月21日号)に拠る。     ↓クリック、プリーズ。↓
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