(1)「値上げは権利だ」と西沢俊夫・前東京電力社長はうそぶいた。
東京電力は、9月から家庭向け電気料金を平均8.46%値上げを実施した。
続いて関西電力が、家庭向け電気料金を15%程度値上げに踏み切る、と目される。
九州電力でも値上げの動きがある。
(2)電気料金は、発送電コストに報酬を上乗せして算出する(総括原価方式)。電力会社が損をしない仕組みだ。
東電の値上げをめぐる議論において、「原価」に含まれる保養所の維持管理費など福利厚生費、電力会社OBの天下り団体「電力中央研究所」への寄付金など非常識な費目が批判された。
値上げの動きが全国に広まる中、また非常識な「原価」が発覚した。
(3)原子力発電専業の卸電気事業者「日本原子力発電」は、東電や関電など電力会社が主要株主に名をつらねる。浜田康男・社長は、元関電副社長、さらに勝俣恒久・元東電会長が非常勤取締役に天下っている。
その日本原電は、東海第2原発(5月21日から停止)、敦賀原発1号機(1月26日から停止)、2号機(5月7日から停止)を保有する。しかし、いま、まったく発電していない。
ところが、東電が値上げした電気料金には、日本原電への支払い分が含まれているのだ。
東電は、2011年度に「購入電力料」として日本原電に464億7,400万円を支払っている。そして2012年度も、売る電力がない日本原電に、昨年度とほの同じ400億円程度支払うことになっている。
日本原電は、2011年度の発電量は10億kW時で、前年比93.8%減と大幅に落ち込んだ。しかし、電力収入は、2009年度(1,441億円)とほぼ同額の1,443億円だった。東電以外にも、2011年度は関電との取引額が340億円、中部電力307億円、東北電力116億円だった。要するに、発電していようがいまいが、電力各社から確実にカネが入る仕組みなのだ。
そして、東電や関電などが日本原電へ支払うカネは、電気料金に転嫁される。
(4)河野太郎・衆議院議員/「原発ゼロの会」のメンバーが、2011年度の日本原電の発電量で試算したところ、発電コストは83円/kW時程度になる。
発電量が激減していたための価格だが、消費者は知らない間に「超高値」の電力を買わされていたことになる。
この問題は、有識者会議ではほとんど話題にならなかった。経産省から注意喚起されていれば議論したが、説明はなかった。議論の俎上にのせなかった経産省の意図はわからない。【経産省の有識者会議の有力委員】
東電の政府提出資料によれば、日本原電と東北電力の2社に対する「購入電力料」として原価に織り込んだ額は、1,003億円だ。固定費全体では、実に3,489億円だ。さらに、東電によれば、来年度から3年間は、年平均5,520億円まで跳ね上がる。これも「原価」に織り込まれている。
この政府資料は、日本原電との長期契約について、こう記す。<基本契約の中では電力受給の終期や料金について明確な記載をしていませんが。(中略)お互いが認識・合意していることから、日本原電との間では期間の定めのない永続的な契約関係にあります>
要するに、停止した原発維持のコストは「永続的」に消費者に転嫁される仕組みだ。これが、「原子力ムラ」の「互い」が「認識・合意している」常識らしい。
電気料金の「原価」は、再度精査しなければならない。
以上、徳丸威一郎(本誌)「東電値上げの「不実と非常識」」(「サンデー毎日」2012年11月18日号)に拠る。
【参考】
「【原発】東電電気料金値上げの根拠となる計算法は疑問だらけ」
↓クリック、プリーズ。↓
東京電力は、9月から家庭向け電気料金を平均8.46%値上げを実施した。
続いて関西電力が、家庭向け電気料金を15%程度値上げに踏み切る、と目される。
九州電力でも値上げの動きがある。
(2)電気料金は、発送電コストに報酬を上乗せして算出する(総括原価方式)。電力会社が損をしない仕組みだ。
東電の値上げをめぐる議論において、「原価」に含まれる保養所の維持管理費など福利厚生費、電力会社OBの天下り団体「電力中央研究所」への寄付金など非常識な費目が批判された。
値上げの動きが全国に広まる中、また非常識な「原価」が発覚した。
(3)原子力発電専業の卸電気事業者「日本原子力発電」は、東電や関電など電力会社が主要株主に名をつらねる。浜田康男・社長は、元関電副社長、さらに勝俣恒久・元東電会長が非常勤取締役に天下っている。
その日本原電は、東海第2原発(5月21日から停止)、敦賀原発1号機(1月26日から停止)、2号機(5月7日から停止)を保有する。しかし、いま、まったく発電していない。
ところが、東電が値上げした電気料金には、日本原電への支払い分が含まれているのだ。
東電は、2011年度に「購入電力料」として日本原電に464億7,400万円を支払っている。そして2012年度も、売る電力がない日本原電に、昨年度とほの同じ400億円程度支払うことになっている。
日本原電は、2011年度の発電量は10億kW時で、前年比93.8%減と大幅に落ち込んだ。しかし、電力収入は、2009年度(1,441億円)とほぼ同額の1,443億円だった。東電以外にも、2011年度は関電との取引額が340億円、中部電力307億円、東北電力116億円だった。要するに、発電していようがいまいが、電力各社から確実にカネが入る仕組みなのだ。
そして、東電や関電などが日本原電へ支払うカネは、電気料金に転嫁される。
(4)河野太郎・衆議院議員/「原発ゼロの会」のメンバーが、2011年度の日本原電の発電量で試算したところ、発電コストは83円/kW時程度になる。
発電量が激減していたための価格だが、消費者は知らない間に「超高値」の電力を買わされていたことになる。
この問題は、有識者会議ではほとんど話題にならなかった。経産省から注意喚起されていれば議論したが、説明はなかった。議論の俎上にのせなかった経産省の意図はわからない。【経産省の有識者会議の有力委員】
東電の政府提出資料によれば、日本原電と東北電力の2社に対する「購入電力料」として原価に織り込んだ額は、1,003億円だ。固定費全体では、実に3,489億円だ。さらに、東電によれば、来年度から3年間は、年平均5,520億円まで跳ね上がる。これも「原価」に織り込まれている。
この政府資料は、日本原電との長期契約について、こう記す。<基本契約の中では電力受給の終期や料金について明確な記載をしていませんが。(中略)お互いが認識・合意していることから、日本原電との間では期間の定めのない永続的な契約関係にあります>
要するに、停止した原発維持のコストは「永続的」に消費者に転嫁される仕組みだ。これが、「原子力ムラ」の「互い」が「認識・合意している」常識らしい。
電気料金の「原価」は、再度精査しなければならない。
以上、徳丸威一郎(本誌)「東電値上げの「不実と非常識」」(「サンデー毎日」2012年11月18日号)に拠る。
【参考】
「【原発】東電電気料金値上げの根拠となる計算法は疑問だらけ」
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