語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【原発】政府、線量を低く表示するモニタリングポストを改修工事

2012年11月18日 | 震災・原発事故
 (1)「市民と科学者の内部被曝問題研究会」は、10月5日、福島県の空間線量を計測しているM/Pの値を検証する独自調査の結果を発表した【注】。
  (a)同研究会は、今年9月以降、文科省が福島県相馬市、南相馬市、飯舘村などに設置しているM/Pのうち約100ヵ所を網羅的に測定したところ、わずかな例外を除き、公表されているM/Pの値よりも1.1~1.3倍程度高い値が出た。
  (b)M/P周辺の除染されていない地域でも計測したところ、1.5~2.5倍程度高い値が出た。

 (2)グリーンピース・ジャパンは、10月16日から19日まで、福島県福島市(315ヵ所)および飯舘村(95ヵ所)で、13回目の放射能調査を行った。場所は、福島県福島市(315ヵ所)および飯舘村(95ヵ所)。
  福島市については、「市民と科学者の内部被曝問題研究会」が(1)の計測結果から「文部科学省のM/Pは意図的に低線量を提示か」と問いかけたのに応じたもの。
  (a)M/Pから0m、5m、10mの各地点を計測した。その結果は、計測した40ヵ所のM/Pの7割以上で、設置地点より周辺のほうが高い数値が得た。
  (b)①明らかにM/Pのごく周辺のみを除染しているところ、②鉄板やコンクリートを「台」にしてある例がある。
  (c)(b)が原因でM/Pの数値が低く出る(可能性)。
  (d)実態より低いM/Pの数値は、住民に誤った安心感を与える。

 (3)グリーンピース・ジャパンは、10月23日、記者会見を開き、(2)の結果を踏まえて政府にM/Pの再評価を求めた。
 政府は、11月7日、M/Pの表示線量が低いのは装置脇の鉛バッテリーが原因だ、として、675台について改修工事する、と発表した。
 しかし、
   (a)「そこだけ除染」
   (b)「他の遮蔽物」
については検証されていない。しかも、表示線量が低くなるM/Pを設置した意図は明らかにされていない。

 (4)放射線防護の基本は、汚染源から離れることだ。本来、こうした地域では、避難・移住がサポートされるべきだ。
 「賠償額が増えてしまうので、避難する人々の増加を防ぎたい。だから、汚染を過小評価したい」という意図が政府になかったか。この問いを政府にぶつけるべきだ。

 【注】「【原発】文科省、意図的に低い放射線量を公表か ~福島~

 以上、鈴木かずえ(グリーンピース・ジャパン エネルギー・核問題担当)「数値が低く出た原因は鉛? ~政府がモニタリングポスト675台を改修工事~」(「週刊金曜日」2012年11月16日号)に拠る。

 【参考】
【原発】ホットスポットが残る郡山市の学校 ~除染の限界~
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