語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【保健】広告・宣伝による騙し方 ~健康食品・サプリ~

2012年11月21日 | 医療・保健・福祉・介護
 (1)「週刊ダイヤモンド」今週号の特集は、「健康食品・サプリのウソ・ホント」。
   Prologue 2兆円市場の「真実」
   Part1 健康食品・サプリの誤解
   Part2 消費者だましのテクニック
   Epilogue 健康食品と正しく付き合う
 「Part1 健康食品・サプリの誤解」には、人気商品が効能、成分・製品別に具体的に分析されていて、健康食品・サプリを実際に利用しているか、これから購入しようとする気になった者には、本章が一番資料的価値が高い。
 ここでは「Part2 消費者だましのテクニック」を取り上げる。騙すテクニック総論に対する各論「健康食品・サプリ編」として読むことができる。

 (2)価格1,000円の健康食品があるとすれば、その価格の内訳は次のようなものだ。
  (a)原料費+加工費 100円
  (b)宣伝広告費+販売即品費 100円(発売当初は500円に上ることも)
  (c)メーカーの取り分+卸 150円+150円(直接販売すればメーカーの取り分は300円)
  (d)小売店の取り分 300円(ただし、販売経費などを含む)
  (e)値引き 200円(たいていの場合2割程度値引きして販売される) 

 (3)健康食品を規制する法規に、(a)健康増進法、(b)食品衛生法、(c)景品表示法、(d)薬事法がある。
  (a)著しく事実に相違するとダメ。著しく人を誤認させるような広告その他の表示はダメ。
  (b)特定保健用食品および栄養機能食品以外の食品には、栄養成分の機能および特定の保健の目的が期待できる旨の表示をしてはダメ。
  (c)商品等の内容や取引条件について、実際のもの、または競争事業者に係るものよりも著しく優良または有利であると誤認させる表示はダメ。
  (d)厚生労働大臣の承認を受けていない医薬品は、その名称、製造方法、効能、効果または性能に関する広告をしてはダメ。

 (4)規制の隙間を衝くメーカー側のテクニックは、まず消費者が抱える悩みを挙げて問題提起する。その上で、体験談を紹介し、あたかも効くような印象を植えつけた上で、商品をPRする。最後に「今ならこんなにお得!」と価格訴求を行う・・・・というパターンだ。
 だが、この体験談がクセモノだ。
  (a)出演する芸能人には、当然、高いギャラが支払われている。一般の使用者の中には、エキストラが多数含まれている。しかも、効果は、食生活や生活環境、運動の有無などによって大きく違う。万人に効くとは限らない。
  (b)「レモン100個分のビタミンC][他の商品の2倍のコンドロイチン」などと含有量の多さをうたう商品も多いが、体内には一定量しか吸収されない。量が多ければ効く、というものではない。

 (5)高学歴、高収入の消費者ほど、こうした健康食品を購入している、というデータがある。そうした人は、情報収集の手段としてインターネットを使うことが当たり前になっているからだ。特に、健康にまつわる情報に関しては、他の情報より信じやすい傾向がある。
 即効性のある健康食品はない、という基本を抑え、広告を見破る目を養うしかない。

 (6)広告による騙し方 ~一例~
  (a)「CMでもおなじみ!」・・・・CM=人気商品ではない。CMが多く流れているのは人気だからとは限らない。
  (b)「厚生労働省承認済み」・・・・厚生労働省が承認や許可を行っている健康食品はない。
  (c)「天然ビタミンも配合」・・・・「天然」が安全ではない。「天然」でも副作用が発生するものは多く、特定の成分を濃縮したことにより危険性が高まることもあるので要注意。
  (d)「4年連続売上げNo.1」・・・・人気ぶりは信用するな。根拠に乏しいものが多く、疑うべき。
  (e)「臨床試験結果」・・・・臨床試験は信頼できない。サンプル数が極端に少ない自社データや、有利な実験データを抜粋し、グラフ化しているものが多く、信頼性に乏しい。
  (f)「フリーダイヤルで今すぐ! 0120-×××-××」・・・・相談室の連絡先がないものは要注意。万が一、健康被害に遭った場合、相談する窓口がなければ対処してもらえないケースもある。
  (g)「翌日びっくり!!」・・・・過度な期待は禁物。薬ではないので即効性はない。こうした表現があれば、疑うべき。
  (h)「こんな悩みはありませんか? 階段が辛い/正座できなくなった/外出を避けるようになった」・・・・悩みに付け込む手法に気をつけろ。広告の手法として、悩みに付け込むパターンがほとんど。
  (i)「驚くべき体験談も続々!」・・・・体験談や専門家のお墨付きを信じるな。体験者の健康状態や生活環境によって効果は千差万別で、万人に効果が出るとは限らない。専門家も業者から謝礼を受け取っている場合がほとんどで、信頼できない。

 以上、田島靖久/津本朋子/松本裕樹/脇田まや(本誌)「健康食品サプリのウソ・ホント」(「週刊ダイヤモンド」2012年11月24日号)に拠る。

 【参考】
【保健】2兆円市場の「真実」 ~健康食品・サプリ~
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