語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【佐藤優】訳・解説『貧乏物語 現代語訳』の目次

2016年09月05日 | ●佐藤優
 
(1)はじめに 『貧乏物語』と現代(佐藤優)
  ①「パナマ文書」は何を語るか--資本主義は格差を生む
  ②トランプ、サンダース旋風の正体
  ③教育の右肩下がりの時代
  ④いくら働いても貧乏から脱出できない
  ⑤貧富の格差が拡大した100年前と現代
  ⑥河上の思考実験を引き継ぐ

(2)『貧乏物語』
 序(弘文堂版)
 上編 いかに多数の人が貧乏しているか
  第1章 「貧乏線」を生きる人びと
  第2章 豊かな先進国の多くの貧乏人
  第3章 イギリス児童食事事情
  第4章 貧乏との大戦争

 中編 何ゆえに多数の人が貧乏しているか
  第5章 なぜ人間社会は発達したか
  第6章 機械の発明という衝撃
  第7章 贅沢品と生活必需品

 下編 どうすれば貧乏を根治できるか
  第8章 貧乏をなくす三つの方法
  第9章 アダム・スミスの間違い
  第10章 経済体制の改造か個人の改善か
  第11章 経済問題は究極の社会問題
  第12章 贅沢廃止論
  第13章 経済学と倫理学

 付録 ロイド・ジョージ  

(3)おわりに 貧困と資本主義(佐藤優)
  ①性悪説のピケティと性善説の河上肇
  ②働いても貧乏から脱出できない--『貧乏物語』(上編)解説
  ③貧乏の原因は何か--『貧乏物語』(中編)解説
  ④貧乏をなくす三つの方法--『貧乏物語』(下編)解説
  ⑤善意の帝国主義者--ロイド・ジョージ論
  ⑥ふたたび貧困は社会問題になった
  ⑦教育の無償化という貧困対策
  ⑧人間関係の商品化
  ⑨資本主義の矛盾を解決する二つの方法

□河上肇/佐藤優・訳解説『貧乏物語 現代語訳』(講談社現代新書、2016)
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 【参考】
【佐藤優】「イスラム国」をつくった米大統領、強制収容所文学、「空気」による支配を脱構築
【佐藤優】トランプの対外観、米国のインターネット戦略、中国流の華夷秩序
【佐藤優】元モサド長官回想録、舌禍の原因、灘高生との対話
【佐藤優】孤立主義の米国外交、少子化対策における産まない自由、健康食品のウソ・ホント
【佐藤優】アフリカを収奪する中国、二種類の組織者、日本的ナルシシズムの成熟
【佐藤優】キリスト教徒として読む資本論 ~宇野弘蔵『経済原論』~
【佐藤優】未来の選択肢二つ、優れた文章作法の指南書、人間が変化させた生態系
【佐藤優】+宮家邦彦 世界史の大転換/常識が通じない時代の読み方
【佐藤優】人びとの認識を操作する法 ~ゴルバチョフに会いに行く~
【佐藤優】ハイブリッド外交官の仕事術、トランプ現象は大衆の反逆、戦争を選んだ日本人
【佐藤優】ペリー来航で草の根レベルの交流、沖縄差別の横行、美味なソースの秘密
【佐藤優】原油暴落の謎解き、沖縄を代表する詩人、安倍晋三のリアリズム
【佐藤優】18歳からの格差論、大川周明の洞察、米国の影響力低下
【佐藤優】天皇制を作った後醍醐、天皇制と無縁な沖縄 ~網野善彦『異形の王権』~
【佐藤優】新しい帝国主義時代、地図の「四色問題」、ベストセラー候補の研究書
【佐藤優】ねこはすごい、アゼルバイジャン、クンデラの官僚を描く小説
【佐藤優】外交官の論理力、安倍政権と共産党、研究不正が起きるシステム
【佐藤優】遅読家のための読書術、電気の構造、本屋大賞
【佐藤優】外山滋比古/思考の整理学
【佐藤優】何が個性で、何が障害か
【佐藤優】大宅壮一ノンフィクション賞選評 ~『原爆供養塔』ほか~
【佐藤優】英才教育という神話
【佐藤優】資本主義の内在的論理
【佐藤優】米国の戦略策定、『資本論』をめぐる知的格闘、格差・貧困問題の起源
【佐藤優】偉くない「私」が一番自由、備中高梁の新島襄、コーヒーの科学
【佐藤優】フードバンク活動、内外情勢分析、正真正銘の「地方創生」
佐藤優】日本の政治エリートと「天佑」、宇宙の生命体、10代が読むべき本
【佐藤優】組織成功の鍵となる人事、ユダヤ人の歴史、リーダーシップ論
【佐藤優】第三次世界大戦の可能性、現代東欧文学、世界連鎖暴落
【佐藤優】司馬遼太郎の語られざる本音、深層対話、米政府による暗殺
【佐藤優】著名神学者のもう一つの顔 ~パウル・ティリヒ~
【佐藤優】総理が靖国参拝する理由、NPO活動の哲学やノウハウ、テロ対策の必読書
【佐藤優】今後、起こりうる財政破綻 ~対応策を学ぶ~
【佐藤優】社会の価値観、退行する社会
【佐藤優】夫婦の微妙な関係、安倍政権の内在的論理、警察捜査の正体
【佐藤優】情緒ではなく合理と実証で ~社会の再構築~
【佐藤優】中曽根康弘、21世紀の資本主義分析、北樺太の石油開発
【佐藤優】日本人の思考の鋳型、死刑問題、キリスト教と政治
【佐藤優】中国株式市場の怪しさ、イノベーションの障害、ホラー映画の心理学
【佐藤優】普天間基地移設問題の本質、外務省犯罪黒書、老後に快走!
【佐藤優】シリア難民が日本へ ~ハナ・アーレント『全体主義の起源』~
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【櫻井よしこ】大きな可能性を内在するアフリカ外交 ~対中国戦略でも高まる重要性~

2016年09月05日 | 社会
 (1)日本およびアフリカ54ヵ国の首脳が集うアフリカ開発会議(TICAD)が8月27、28日にケニアのナイロビで開かれた。日本主導の同会議は、5年に1回だったのが、これからは3年に1回となる。安倍晋三・首相がナイロビを訪れた。日本国首相として、15年ぶりのアフリカ訪問だ。
 多くの問題はあっても、非常に大きな可能性を内在しているアフリカの将来は豊穣な大地のようだ。資本と知恵を投入し、きっかけを与えれば豊かな果実を生み出す。
 年来の日本外交ではアフリカ大陸は必ずしも重視されてきたとはいえなかったが、このたび送ったメッセージは、①アフリカの掲げる大計画(アジェンダ2063)を日本は支援し、②2023年までにアフリカから国連安全保障理事会の常任理事国を誕生させる国連改革も全面的に支持する、というものだ。
 日本のアフリカ貢献の大きな柱の一つが人材育成だ。向こう3年で5万人の青年たちに職業訓練を提供し、同時に100万人の人づくりを支援することになった。
 発展途上国にとっては人づくりこそ、最重要だ。人を育て、技術を移転することに関して、日本はどの国にも負けない実績があり、それは中国との大きな相違として評価されてきた。

 (2)だが、現実は甘くない。
 「今回、多くの課題を話し合ったわけです。全般的に、日本と各国は非常に良い関係にあり、絆は深まりました。しかし、南シナ海をはじめ国際社会の共有財である海、その航行の自由について安倍首相が語ったとき、各国首脳からの反応がないのです」【萩生田光一・官房副長官】
 日本による人材育成プログラムは(1)のように中国とは全く異なるアプローチであり、アフリカ諸国の首脳から大歓迎されている。だが、南シナ海の一件になると、反応がなくなるというのだ。
 「それで首相がもう一度、同じ趣旨の話題を持ち出すのですが、それでも全く反応がないのです。いかに中国が南シナ海や東シナ海の案件を気にして、十分な根回しをしているかが見えてきた一例です」【萩生田氏】
 
 (3)中国は南シナ海での暴挙が世界に受け入れられないことを、フィリピンとの争いの中で痛感したはずだ。それでも、傷を最小限にとどめ、あわよくば南シナ海のほぼ全てを自国領とする主張を世界に認めさせたい、少なくとも、世界が国連を舞台にして中国非難決議をする場面などは絶対に阻止したいということであろう。
 国連安保理での中国非難決議は、彼ら自身の拒否権行使で回避できる。しかし、彼らに国際法を守らせたいと考える日本などが取り得るもう一つの手、国連総会での非難決議はそうはいかない。総会決議に関しては常任理事国にも拒否権はなく、出席国の過半数の賛成で成立する。
 アフリカ大陸の50を超える国々に対し、中国非難決議に関して反対の立場を取らせれば、決議を阻止することができる。国連加盟諸国200のうち、約4分の1をしめるアフリカを押さえることは、国際政治において大きな力を得ることなのだ。

 (4)国際政治を動かす力としてのアフリカ、また資源供給源としての重要性を念頭に、中国は早くからアフリカ外交を進めてきた。中国の戦略の有効性を踏まえて、中国に劣らぬ外交を日本は展開しなければなるまい。
 その気になれば、日本は中国よりもはるかに真にアフリカに貢献する外交や人材育成を実施することができる。

□櫻井よしこ「対中国戦略でも高まる重要性/大きな可能性を内在するアフリカ外交 ~オピニオン縦横無尽No.1148~」(「週刊ダイヤモンド」2016年9月10日号)
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 【参考】
【櫻井よしこ】隙あらば侵略の機会うかがう中国/冷静かつ力に基づく戦略を取る日本
【櫻井よしこ】容易に匿名報道に走るメディアの問題 ~相模原の障害者施設殺害事件~
*【櫻井よしこ】南シナ海問題で国際法無視の中国 ~
【櫻井よしこ】中国、裁定直後フィリピンを恫喝 ~強める軍事的色彩~
【櫻井よしこ】南シナ海問題で完敗でも拒否する中国 常軌を逸した習近平体制の暴走
【櫻井よしこ】米でも絶賛の中国の要人が豹変 ~永遠なのは国益~
【櫻井よしこ】西側は自国第一主義を深め、中国は民主主義の限界に自信を深める ~英国のEU離脱~
【読書余滴】櫻井よしこ『異形の大国 中国』(2) ~商売上手な中国、政治主導の経済~
【読書余滴】櫻井よしこ『異形の大国 中国』(1) ~踏んだり蹴ったり~
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