語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【保健】茶カテキンは絶対避けるべきサプリ成分 ~米国消費者団体~

2016年09月24日 | 医療・保健・福祉・介護
 (1)健康食品やサプリメントは、特定の成分を通常食事で摂る量の何倍もの量を長期間にわたって摂り続けさせる。この場合、逆に健康への悪影響が起こるのではないか?
 日本ではあまり問題にされていないが、海外でこうした健康影響が懸念されている成分の一つとして、高濃度茶カテキン(緑茶抽出物)が注目されている。ノルウェー政府がサプリメントとしての上限値を設定した【注】が、これに続き米国最大の消費者団体機関紙「コンシューマーレポート」が、7月28日ウェブ版でサプリメント成分で「常に避けるべき15成分」を発表。その中に「緑茶抽出物」が入っていた。
 これら15成分は、専門家の意見をもとに、市販のサプリメントの成分の中で、肝臓、腎臓、心臓などの臓器障害に係る発癌性が指摘されている、死亡例が報告されている、などのチェックリストにより選定された。
 15成分の中には日本では、医薬品の成分としてしか使えないもの(トリカブト、フキタンポポ、カバ、ロベリアソウ、ヨヒンベなど)、健康被害が報告され販売禁止措置が採られたもの(コンフリーなど)がある。そうした有害成分と一緒に「緑茶抽出物」が重要視されている。

 (2)それならば、緑茶を毎日のように消費している日本で健康被害が起こらないのはおかしい、という意見も出てくる。
 たしかに緑茶抽出物を使ったサプリメントでは、散発的に肝臓障害などの健康被害事例が報告されているが、そのすべては海外での事例。日本国内での症例はまだ報告されていない。
 その理由として、緑茶として飲む場合と違い、サプリメントは一度に大量摂取することが原因だとも推定されている。動物実験では、空腹時に大量に摂取し続けた場合、食事などと一緒に飲んだ場合に比べて肝臓への毒性が10倍になることがわかっているからだ。
 新たな情報として、緑茶抽出物を使った34件の臨床試験の結果を再評価(システマティックレビュー)論文(2016年発表)では、発生率は患者総数1,405人中7人(0.5%/200人に1人)だという。その結果、「緑茶抽出物による肝臓障害は稀な事例である」と記述されている。
 しかし、200人に1人という発生率は、2万人とすれば100人。サプリメントとして広く利用されることを前提とすれば、決して稀なケースとして済ませてよい発生率ではない。

 (3)日本人間ドック学会発行の「人間ドックの現況」では肝機能異常が近年増加傾向にあり、2014年には受診者の33.7%だ。肥満、高血圧、高コレステロールなどの他の生活習慣病を抑え、トップになっている。肝機能異常の原因はアルコールや肥満などの他の要因の方が大きいだろうが、サプリメント成分による肝障害も否定できない。伝統的な飲食経験のある緑茶はよいとして、高濃度に加工した飲料やサプリメントのような商品には要注意だ。

 【注】「【保健】茶カテキンによる肝障害でノルウェーがサプリメント含有量規制へ

□植田武智「茶カテキンは「絶対避けるべきサプリ成分」とアメリカの消費者団体が指摘」(「週刊金曜日」2016年9月2日号)
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