2010/12/19up全ページ目次 |
中学国語指導案・再話作文見本・祖母の遺した言葉 |
hyoko:
「さっちゃん」の前にまずこれを書いてみました。
「さっちゃん」同様、名前を除きすべて事実です。
「さっちゃん」同様、暗い話です。
しかし僕にとって大切な話です。
多くの人・生徒にとっても普遍的な話ではないでしょうか。
万が一授業の機会があれば再話作文に使うつもりです。
再話見本作文・祖母の遺した言葉
三年一組二十五番 ○○ ○○○
祖母が危篤だと電話がかかってきたのは夜
遅い時間でした。ぼくはすぐに病院に行きま
した。病室の前の廊下には親戚が十人ほど集
まっていました。
母が働いていたのでぼくは祖母の家に預け
られていました。だから早く亡くなった母よ
り祖母と一緒にいた時間のほうが長かったか
もしれません。
親戚はひとりずつ順番に祖母の顔を見に行
きました。そして、ぼくの番になりました。
九十歳を過ぎた祖母の顔は、肉がなくなって
がい骨そのままの形になっていました。目を
つぶった祖母にぼくは、太郎ですと言いまし
た。何かを期待していました。じっと見てい
ると祖母はもぞもぞと口を動かしました。
「ヒロ子は」
ヒロ子は祖母の娘、ぼくの伯母の名です。
ぼくはうつむき静かに病室を出ていきました。