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20070121開設/中学高校国語授業指導案/中学校学級経営案/発達症対応/生活指導/行事委員会指導

発達障害の基礎1・ADHD特徴と褒める事

2010-09-08 04:12:32 | 普通教室に特別支援を
2010/9/8up全ページ目次
発達障害の基礎1・ADHD特徴と褒める事

ADHDの講習に行きました。
だいぶ古い資料ですのでもしかすると現在では異なる解釈が存在するかもしれません。
ご了解ください。
また、出張扱いにして頂き校内職員に還元した内容なので
ブログアップしても良いと判断しました。
もし、公開に問題がある場合はご指摘ください。

■向山洋一氏■
 ① 30~50パーセントが、大人になってもADHDの傾向をもつ。
 ② だが、そのすべてが「生活に支障をきたす」とは限らない。
 ③ ただし、ADHDは生物学的な病気だから、完治することはない。
 ④ 教員に、子どもがADHDかどうかを判断するのは、まず不可能。
 ⑤ ただし、チェックリストによってスクリーニングは可能。
 ⑥ 教員にできることは
   「具体的な子どもの行動の記録。時・場所・行為」
 ⑦ 教員にできることは
   「校内にシステムを作ること」=◆校長の仕事◆
   「システム」とは、
   <1>事件(たとえばいじめ・暴力・器物破損)があったら
      24時間以内に会議を持つ。
   <2>対策を考える。
   <3>一週間たって解決しない場合、再度会議。
   <4>それでも続く場合誰か担当が観察しつづける。
 ⑧ 本人が、医者からADHDの診断を受けていない限り、
   教師は本人にADHDだ
   など決して言ってはならない

   ア.教師はADHDかどうかを判断してはいけない。
   イ.まずは、職場全体・またはグループでの学習が必要。
     ADHDについての知識を持て。
   ウ.どんな障害を持った子にも、できるようになる可能性がある。
     させられないのは、教師の力がないから。
   エ.しかし、個人ではだめ。
     学校全体にシステムを作らない限り、治療(教育)はできない。
   オ.「学校は楽しい。人生はすばらしい。」
     そう思わせるのが教員の仕事。   

■横山浩之氏■
(当時:東北大学医学部付属病院・小児科/2010年現在山形大学教授)

「ADHD・LDと教育」

(1)ADHDの主症状
 ① 注意欠陥(ttention eficit)
 ② 多動(yperactivity)

(2)併存障害
 ① 反抗挑戦性障害(ADHDのうち55パーセントはこうなる
 ② 学習障害
 ③ 反応性うつ(20~40パーセント)
    →併存障害が起こらないうちに手を打て!

(3)心理療法の原則
 ★「親と教師が子どもからの信頼と尊敬を取り戻すこと」
 ★ADHDの子どもは、いつも叱られている。特に学校の先生からは。
 ★そのために、まずすることは。

 ① 学級運営をしっかりすること。
    →クラスがめちゃくちゃで、その子が直るわけがない。
    →個別対応に手を出すのは、学級をまとめてから。
    →「集団統制」を優先せよ。
    →教室にルールを作れ。
    →その子どもに個別に対応するのはそのあと。
 ② ほめる形でチェックする。
    →返事した子に  
     「すばらしい!」

    →あいさつできた人に
     「拍手!」

    →いいことをした子だけに
     「すごい」「よくできた」「いいぞ」

    →だめな子には注意しないでいい。 
    →望ましくない行動は無視する。
     
    ◆ということに効果があると知っていてやるのと、
     知らないで無視するのとでは大違い。


  ★その上で、社会生活に必要なルールを教え込むこと。
  ★最終目標は、本人の社会的自立である。

(4)バークレイの児童のための12の原則
 ① 重要な情報を、明確に示す。
 ② 時間の遅れをなくす。あるいは、減らす。
 ③ 時間を、明確に示す。(タイマーの使用)
 ④ 動機付けを、明確に示す。(何のためにするのか)
 ⑤ すぐその場で、頻繁に、的確なフィードバック。(すぐほめる)
 ⑥ 計画を立てさせる。(未来を現在に引っぱる)
 ⑦ 否定的な考え方でなく、肯定的な考え方を。
 ⑧ 説明するより、行動で示す。(調子を合わせて)
 ⑨ 常に障害を見据える。
 ⑩ ひとときを大事にする。(一期一会を大切に)
 ⑪ 許すことを覚える。
   親が子どもを。
   子どもが周りを。
   教師が無力な自分自身を。
   =「今日はだめだった。でも明日がんばればいい。」
 ⑫ ありのままを受容する。

(5)ADHDの学習を進めるためには
 ① ADHDの子には「ワーキングメモリー」がない。
 ② 一つ次のことをすると、前のことは忘れる。
    ×「15ページ開いて、3番の問題を、1分でやりなさい。」
    →「何ページ?」
     「どこやんの?」

      とすぐに聞きかえす。
    =同時に二つ以上のことを覚えていることができない。
 ③ ○「15ページを開きなさい。できたね。」
   ○「3番だけやりなさい。いいね。」
   ○「一分でやりますよ。」
 ④ 授業中に、ADHDの子にべったりついているのは、
   その子がバカだと周りに言っているのと同じこと。
   してはいけない。
 ⑤ 良いことと、悪いことをはっきりと示せ。
   そして、意図的にほめろ。
   (できたことを見つける)
 ⑥ その行動が「良いか悪いか」は明示しろ。
   あとは、放っておけ。
 ⑦ 話を短く!
 ⑧ 短いパーツで授業を組み立てろ。

(6)LDの評価と学校教育
 「知能検査をしろ」
  その結果により、たとえば、小学二年の子に
 『一年生の国語の教科書の視写』 

  を、
 『一日10分間』

  やらせることによって改善した。

  要するに、知能検査なしに教育しようとするのは、無謀以外の何物でもない。
  
  「ADHDの児童が、社会人になれるか、障害者になるかは、教育次第である。」
  
  「両親、あるいは片親がADHDであり、
   自分が最終的に大丈夫であったからという漠然とした期待を抱いて、
   治療から教育から脱落していくのが現状。」


(7)家庭での対応について
 ◆まずは、ご両親は、本当に大丈夫ですか?
   ADHD/LDというと、
   すぐに、心理的対応や学校への対応を思い浮かぶご両親も少なくない。
   子供は、家庭の鏡。
   両親がはぐくむ家庭の状態をしっかりと反映します。
   権利ばかり主張して、義務がわからない両親に育てられた子供は、
   同じことをします。
   ご両親の仲違いを子供に見せてはいませんか?
   学校への不満を子供の目の前で披露してはいませんか?
   そのような状況を把握した子供がどういう行動をとるか、わかりますか?
   わからなかったら、まずは、子育ての勉強をしましょう。

   (参考書:
    『立ち止まれ、その子育て』大島清・主婦の友社
    『心を育てる家庭学習法』向山洋一・主婦の友社)

 ◆ADHD/LDの症状はしかたがないけれど…
   ADHD/LDの子供をしつけにくいのは理解できます。
   しかし、ADHD/LDという診断が着いたからと言って、
   社会のルールを破ってよいというお墨付きがついたわけではありません。
   ADHD/LDの症状そのものを叱り飛ばすのは可哀想ですが、
   社会のルールを覚えさせるのは、親の義務です。
   やって良いこと、悪いことをきちんと教えてありますか。
   家庭は、いちばん小さな社会です。
   家庭の中で、ルールが守れないぐらいなら、
   社会の中でうまくいくはずはありません。
   家庭の中のルールは守れますか?

■ブログ内発達症対応リンク■
発達障害の基礎 定義・授業対応等①
ADHD児を叱っても無駄
発達障害・掲示物を黒板周りに貼ってはならない
発達障害の基礎 発達障害研修会感想2006年度
発達障害の基礎1・ADHD特徴と褒める事
発達障害の基礎2・ADHD低い自己評価と不安
●発達障害中学(1)ほめられたことがない
(2)一度に一つのことしか覚えられない
(3)筆箱の中には必要なものだけを
(4)筆箱は定期的にチェック
(5)片付けるってどうすること

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