「一般廃棄物(ごみ・し尿)処理基本計画(案)を読み解く」というタイトルで原稿を執筆しました。「ごみ問題学習会・島本プロジェクト」でお世話になっている森住先生が理事をされている「NPO大阪ごみを考える会」の会報から転載させていただきます。
以下、先生の許可を得てご紹介します。合併問題とからみます。
去る2月6日(土)、森住明弘先生を講師にお招きし、「ごみ問題について学びましょう」と称する学習会を開きました(主催:平野かおる・澤嶋真紀子・戸田靖子 於:島本町ふれあいセンター)。5年ごとに見直す一般廃棄物(ごみ)および生活排水(し尿)処理基本計画の素案に対するパブリックコメント募集に先駆け、島本町のごみ問題の課題について住民とともに学ぶ機会を持ちたいと考えました。
島本町の「清掃工場の更新」と現在高槻市東上牧地区にある「衛生化学処理場の移転問題」は、既に新聞報道などでご承知のように、高槻市との合併議論を含む広域化行政の最重要課題となっています。そういったことから今回森住先生は講演のテーマを「島本町の広域化・合併問題にどう関わるかを考えよう」とされ、市民が「ごみというモノ」ではなく「お金の流れ」=「経済」に関心を持つことの重要性を説かれました。
自治体財政を厳しくチェックする立場にある議員である我々主催者も、「透明性」だけにとどまらない「効果的な財源の使い方」が提案できる活動を目指す必要があります。しかし実力は伴わず、また政治家の仕事は人々の暮らしの多様性に比例して多岐にわたっており、自らが個々の課題に専門性をもつにはなかなか厳しい現実があります。
そこで、森住先生のお力をいただき、住民の智恵を集めて、まずは基本計画案の策定作業に支払われた委託料409万円(生活排水計画を含む)に値する計画案かどうかを学習することからはじめることになりました。2月14日(日)、先の学習会の参加者10数名の中からこの日都合がつく5名(内議員2名)が集いました。
人口比率でみるとお隣の高槻市ならば10倍、約30名の市民参加があったに等しいと森住先生に励まされ、「家電リサイクル対象品に、液晶テレビ・プラズマテレビ・衣類乾燥機が加えられていない。平成21年4月1日に改正施行された『家電リサイクル法』に基づいた見直しがされていない。さらに担当課による校正もできていない」という鋭い指摘が飛び出しました。暮らしの目線で住民側から「法令の検討が不充分である」という指摘ができることに気づき、座は一気に盛り上がりをみせます。
初歩的な分析の誤りも多数見受けられ、たとえば「世帯数は減少の傾向にあります」とある同じ章の表で、平成19年以降、世帯数が増えている数字が示されています。総合計画で定めた将来の人口目標(平成31年)32,000人は現人口を約2,000人も上まわっており、世帯数減少という変化動向はこの点でも整合性がないといえます。
「収集体制は委託によって行っています」という一文に至っては、委託品目、委託条件、委託単価、現在の問題点とその対策を記述することが最低条件ではないかという指摘があり、もっともなことです。全般的に、経済面・技術面・制度面の観点からの現状分析を欠いたまま「考えられる」「思われる」等の「伝聞」に基づく「推測」が殆どであり、具体的施策が不充分で計画と呼べるに値しないと評価されてしまいました。
業務委託先のコンサルタント能力が疑われ、委託料409万円の成果品としてはあまりにも杜撰すぎました。加えて素案をチェックできていない担当課の意識が問われており、実はこの意識こそ、高槻市との広域化行政勉強会再開に際して「合併の議論を含めた」という文言を織り込まなければならなかった要因につながっているとわたしは考えています。
ひとことで言うならば 「課題解決に導く視点が抜けている」ということです。ご承知のように、ごみ処理の広域化については、ダイオキシン発生防止のために一日100t以上の処理で全連続運転を基本とし、人口規模の小さい市町村においては隣接市町村と連携して一定規模以上の全連続炉への集約化、広域化を図りなさいと国が通知しています。
循環型社会形成推進交付金の交付対象が人口5万人以上、面積400k㎡以上であることから、島本町の施設更新には交付金が適用されません。平成11年3月に定めた大阪府の「ごみ処理広域計画」でも、ごみ処理施設は日量100t以上、可能な場合は日量300t以上の全連続炉と規定されており、広域化は島本町の取り組むべき最重要課題であるにもかかわらず、このことがまったく記載されていません。ことの重さがまったく認識できていない。あるいはそういう「ふり」をしているのかもしれません。
平成19年7月、大阪府により「高槻市の前島クリーンセンターの更新計画に参加するなら今」と指導(アドバイス)を受けた後も、高槻市との実りある話しあいの実現には至っていません。「島本町衛生化学処理場」は老朽化が進んでおり、地元住民からの要望により高槻市から再三の立ち退き要請があったにもかかわらず、町内での候補地を粘り強く模索したという事実がありません。
忌避施設の設置には、すべての自治体が苦労して智恵を絞り、努力を重ねています。そのことを放棄したまま、委託による広域化を単純に望む「高槻市へのお願い」が島本側の基本姿勢である限り、「それならば合併も含めて」と高槻市は明確に述べているのです。
そもそも「広域化」には、「高槻市民のごみ・し尿の処理が島本町内の施設で行われる」という可能性が含まれています。また「合併」となれば、「かつて島本町であった高槻市の一区域」(合併により名称が変更する可能性は少ない)に、新しい基礎自治体である「高槻市の市民(現在の高槻市民&島本町住民)のごみ・し尿処理施設」が設置される可能性を含んでいるのです。
島本町の認識は、議員も含めてあまりにも甘すぎるのではないかとご指摘を受けています。
しかし、今回示された「生活排水処理基本計画」(案)の基本方針には、驚くなかれ「島本町衛生化学処理場にて処理を継続するものとします」と堂々記載されています。こういった担当課のあり方を住民側がどこまで糾せるのか、パブリックコメントはそのほんの入り口にすぎません。
一般廃棄物処理施設は、人の営みがある限りどこかでだれかが負わなければならないものです。単独で施設を設置運営できないならばまずは広域化行政に真摯に取り組むべきであり、合併にからむ問題となった場合は、住民に正しい情報を提供した上での議論が必須です。「ごみ問題学習会・島本プロジェクト」を引き続き定期的に開催し、縦横のつながりを大事にし、経済的な視点を盛り込んだ解決策を示せる活動をめざしたいと思います。
画像は一重のヤマブキ 町の花です 4月9日我が家の庭で撮影
以下、先生の許可を得てご紹介します。合併問題とからみます。
去る2月6日(土)、森住明弘先生を講師にお招きし、「ごみ問題について学びましょう」と称する学習会を開きました(主催:平野かおる・澤嶋真紀子・戸田靖子 於:島本町ふれあいセンター)。5年ごとに見直す一般廃棄物(ごみ)および生活排水(し尿)処理基本計画の素案に対するパブリックコメント募集に先駆け、島本町のごみ問題の課題について住民とともに学ぶ機会を持ちたいと考えました。
島本町の「清掃工場の更新」と現在高槻市東上牧地区にある「衛生化学処理場の移転問題」は、既に新聞報道などでご承知のように、高槻市との合併議論を含む広域化行政の最重要課題となっています。そういったことから今回森住先生は講演のテーマを「島本町の広域化・合併問題にどう関わるかを考えよう」とされ、市民が「ごみというモノ」ではなく「お金の流れ」=「経済」に関心を持つことの重要性を説かれました。
自治体財政を厳しくチェックする立場にある議員である我々主催者も、「透明性」だけにとどまらない「効果的な財源の使い方」が提案できる活動を目指す必要があります。しかし実力は伴わず、また政治家の仕事は人々の暮らしの多様性に比例して多岐にわたっており、自らが個々の課題に専門性をもつにはなかなか厳しい現実があります。
そこで、森住先生のお力をいただき、住民の智恵を集めて、まずは基本計画案の策定作業に支払われた委託料409万円(生活排水計画を含む)に値する計画案かどうかを学習することからはじめることになりました。2月14日(日)、先の学習会の参加者10数名の中からこの日都合がつく5名(内議員2名)が集いました。
人口比率でみるとお隣の高槻市ならば10倍、約30名の市民参加があったに等しいと森住先生に励まされ、「家電リサイクル対象品に、液晶テレビ・プラズマテレビ・衣類乾燥機が加えられていない。平成21年4月1日に改正施行された『家電リサイクル法』に基づいた見直しがされていない。さらに担当課による校正もできていない」という鋭い指摘が飛び出しました。暮らしの目線で住民側から「法令の検討が不充分である」という指摘ができることに気づき、座は一気に盛り上がりをみせます。
初歩的な分析の誤りも多数見受けられ、たとえば「世帯数は減少の傾向にあります」とある同じ章の表で、平成19年以降、世帯数が増えている数字が示されています。総合計画で定めた将来の人口目標(平成31年)32,000人は現人口を約2,000人も上まわっており、世帯数減少という変化動向はこの点でも整合性がないといえます。
「収集体制は委託によって行っています」という一文に至っては、委託品目、委託条件、委託単価、現在の問題点とその対策を記述することが最低条件ではないかという指摘があり、もっともなことです。全般的に、経済面・技術面・制度面の観点からの現状分析を欠いたまま「考えられる」「思われる」等の「伝聞」に基づく「推測」が殆どであり、具体的施策が不充分で計画と呼べるに値しないと評価されてしまいました。
業務委託先のコンサルタント能力が疑われ、委託料409万円の成果品としてはあまりにも杜撰すぎました。加えて素案をチェックできていない担当課の意識が問われており、実はこの意識こそ、高槻市との広域化行政勉強会再開に際して「合併の議論を含めた」という文言を織り込まなければならなかった要因につながっているとわたしは考えています。
ひとことで言うならば 「課題解決に導く視点が抜けている」ということです。ご承知のように、ごみ処理の広域化については、ダイオキシン発生防止のために一日100t以上の処理で全連続運転を基本とし、人口規模の小さい市町村においては隣接市町村と連携して一定規模以上の全連続炉への集約化、広域化を図りなさいと国が通知しています。
循環型社会形成推進交付金の交付対象が人口5万人以上、面積400k㎡以上であることから、島本町の施設更新には交付金が適用されません。平成11年3月に定めた大阪府の「ごみ処理広域計画」でも、ごみ処理施設は日量100t以上、可能な場合は日量300t以上の全連続炉と規定されており、広域化は島本町の取り組むべき最重要課題であるにもかかわらず、このことがまったく記載されていません。ことの重さがまったく認識できていない。あるいはそういう「ふり」をしているのかもしれません。
平成19年7月、大阪府により「高槻市の前島クリーンセンターの更新計画に参加するなら今」と指導(アドバイス)を受けた後も、高槻市との実りある話しあいの実現には至っていません。「島本町衛生化学処理場」は老朽化が進んでおり、地元住民からの要望により高槻市から再三の立ち退き要請があったにもかかわらず、町内での候補地を粘り強く模索したという事実がありません。
忌避施設の設置には、すべての自治体が苦労して智恵を絞り、努力を重ねています。そのことを放棄したまま、委託による広域化を単純に望む「高槻市へのお願い」が島本側の基本姿勢である限り、「それならば合併も含めて」と高槻市は明確に述べているのです。
そもそも「広域化」には、「高槻市民のごみ・し尿の処理が島本町内の施設で行われる」という可能性が含まれています。また「合併」となれば、「かつて島本町であった高槻市の一区域」(合併により名称が変更する可能性は少ない)に、新しい基礎自治体である「高槻市の市民(現在の高槻市民&島本町住民)のごみ・し尿処理施設」が設置される可能性を含んでいるのです。
島本町の認識は、議員も含めてあまりにも甘すぎるのではないかとご指摘を受けています。
しかし、今回示された「生活排水処理基本計画」(案)の基本方針には、驚くなかれ「島本町衛生化学処理場にて処理を継続するものとします」と堂々記載されています。こういった担当課のあり方を住民側がどこまで糾せるのか、パブリックコメントはそのほんの入り口にすぎません。
一般廃棄物処理施設は、人の営みがある限りどこかでだれかが負わなければならないものです。単独で施設を設置運営できないならばまずは広域化行政に真摯に取り組むべきであり、合併にからむ問題となった場合は、住民に正しい情報を提供した上での議論が必須です。「ごみ問題学習会・島本プロジェクト」を引き続き定期的に開催し、縦横のつながりを大事にし、経済的な視点を盛り込んだ解決策を示せる活動をめざしたいと思います。
画像は一重のヤマブキ 町の花です 4月9日我が家の庭で撮影