趣味で蒐集した「きっぷ」を見て考えたこと、とか…
JR直営の印刷場名は国鉄時代の印刷場名を使用します。
古紙蒐集雑記帖
青函連絡船旅客名簿
拙ブログ前回エントリーの「青函連絡船の出札補充券」の記事のコメントに、(4-タ)さまより、
>最も、船というのは乗船人員のチェックを確実にしなければならない性質上、…
というコメントを戴きましたので、今回はこれに関連しての記事にしました。
当時、上野方面からの列車が青森に近づくころや札幌方面からの列車が函館に近づくころ、車掌さんが青函連絡船に乗継ぐ乗客に「青函連絡船旅客名簿」なる用紙を配っていました。
これを受け取った乗客は住所・氏名・年齢・性別を記入し、乗船口の回収箱に投函してから乗船しました。
これは、乗船人員のチェックをするのが目的ですが、1,200名弱の乗員・乗客の命が奪われた洞爺丸事故のような万一の時に乗船していた旅客の身元を明らかにするためのものであり、臆病者の私は「沈没したらどうしよう…」と複雑な気持ちになって箱へ投函したものです。
一般用は普通列車および快速列車の車内で配布されるものと、乗継客でない旅客のために乗船口に置かれているものがありました。
普通の上質紙に「リソグラフ」のようなもので印刷して裁断したもので、写真のもののように曲がっていたり、下がちょん切れていたりと、あまり体裁の良いものではありませんでした。
特別列車用は右上に「○特」の表記がありました。これは、乗船前の乗継列車が特急・急行などの優等列車の車内で配布されるもので、乗船口には置かれていませんでした。
この名簿を持っている旅客には優先乗船権があり、普通船室は全席自由席であったため、一般の旅客名簿を持っている乗客より先に乗船することができました。
この用紙も上質紙で一般用と大きさはほぼ同じですが、なぜか印刷場できちんと印刷されていました。
みどり色のグリーン船室用はグリーン船室に乗船する旅客用で、乗継列車車内や乗船口など、すべての場所で配布されていました。
これらの旅客名簿は乗船口で回収された後、毎航海ごとに乗船人員を集計する資料(といっても枚数を勘定するだけ)とされたようです。