コピー式券売機券

昭和46年2月に新宿駅で発行された、30円区間ゆき券売機券です。



    



40代後半以上の方には懐かしい、サーマル印字になる前の券売機券ですが、この黄色っぽい券は少々特殊なものでした。



    



こちらが当時の一般的な券で、桃色連続地紋のロール紙に、発売都度ゴム印で券面がポンと捺されてから裁断されて発行されていました。


黒いインクを券紙に捺印していたためにスミインク式といわれており、ゴム印式の券売機では一番初期のモデルでした。



インクが黒く、時間の経過に伴って変色や退色することない万能選手のように見受けられますが、インクがどっぷり付いてしまうと乾ききっていない場合が多く、インクが手に付いてしまったり、最悪の場合は服に付いてしまったりで、国鉄にはかなりの苦情が寄せられたそうです。
実際、御紹介の券も、発行駅名の「新」の上の四角枠の辺りが擦れており、インクが手についてしまった時の名残が残っています。



国鉄は多くの苦情に対応すべく、従来のスミインク式に替わるものとして、ジアゾコピー式券売機を開発しました。1枚目の券がそのコピー式券です。



コピー式券は、ジアゾ紙と呼ばれる感光紙に印面を密着させ、機械内で紫外線を照射させて感光紙上にあるジアゾ化合物を分解させることによって印影を形成させる方式でした。小生が小学生くらいの時、大人たちはコピー機のことを「リコピー」と呼び、「湿式」「乾式」と「青焼き」「白焼き」という言葉があったことが思い出されます。



コピー式券は黄色っぽい券紙に黄色い地紋が特徴で、一般的な券と比べればすぐにわかります。
昭和45年1月ごろより新宿駅の他に東京駅や上野駅などのターミナル駅に設備されたようですが、コストが高かったためにあまり現実的ではなかったようで、3年くらいで姿を消してしまっているようです。

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )