趣味で蒐集した「きっぷ」を見て考えたこと、とか…
JR直営の印刷場名は国鉄時代の印刷場名を使用します。
古紙蒐集雑記帖
JR北海道 「釧網本線の旅」入場券セット ~その2
前回エントリーでJR北海道釧路支社から発行された「釧網本線の旅」入場券セットの台紙を御紹介いたしましたので、今回は中の券を御紹介致しましょう。
5枚とも白色無地紋のB型大人・小児用券で、札幌印刷場で調製されたものです。
まずは釧路湿原駅です。
釧路湿原駅は国鉄民営化以後の昭和63年に臨時駅として開業した歴史の浅い駅で、平成8年に旅客駅に格上げされていますが、開業当初より無人駅となっています。同駅の硬券入場券をどこかで見た記憶がありますので、無人駅ですが、観光用として発売されていた可能性があります。
次は塘路駅分です。
塘路駅はもともと一般駅として開業していますが、貨物の取扱いが廃止されると運転要員のみ配置の駅となり、国鉄末期には簡易委託駅となっています。しかし、現在は簡易委託も廃止され、無人駅となっているようです。
次は摩周駅分です。
摩周駅は弟子屈(てしかが)駅として開業していますが、国鉄民営化以降の平成2年に摩周駅に改称されています。現在でも摩周湖観光の玄関駅として駅員配置の直営駅となっています。
次は緑駅分です。
緑駅は昭和6年に上札鶴(かみさっつる)駅として開業し、昭和31年に緑駅に改称されています。
国鉄末期の昭和61年に無人化されてしまっていますので、JRとなってからの硬券入場券の通常発売は無かったのではないかと思います。
「緑」の活字が「綠」と独特な字になっていますが、小児断片の「緑」は通常の文字となっています。
最後は原生花園駅分です。
原生花園駅は昭和30年代末期に原生花園仮乗降場として開業した駅ですが、昭和50年代に一旦廃止されています。しかし、国鉄民営化以後の昭和62年に、JR北海道が小清水原生花園アクセス専用駅臨時駅として再開させています。夏のシーズン中には駅員が派遣され、観光記念入場券などの販売を行っていましたが、現在は行われていないようです。
以上のように見てみますと、塘路駅と緑駅についてはJRとなってからの入場券の通常発売はされていなかった可能性があり、セット発売ならではの存在であったかもしれません。
しかし、コレクターならまだしも、一般の観光客に140円券5枚で700円というセット入場券を購入するという需要がどれだけあったかと考えますと、あまりなかったようにも思えます。