京阪神急行電鉄 北千里から5区間ゆき片道乗車券

1968(昭和43)年9月に京阪神急行電鉄(現・阪急電鉄)千里線の北千里駅で発行された5区間ゆきの片道乗車券です。


   


若草色京阪神急行電鉄自社地紋のB型区間式大人専用券で、半硬券のような厚みの券紙が使用されています。
この券は日本初の自動改札機に適応した様式で、珍しい硬券式の自動改札対応券です。


   


京阪神急行電鉄の自社地紋を拡大してみました。社紋を囲むようにして「けいはんしんきゅうこうでんてつ」と書かれた帯が回されています。


   


裏面です。
茶色いストライプが磁気情報部分で、現在のように裏面全体が磁気となっているものとは異なっています。



京阪神急行電鉄は、千里ニュータウンの開発に伴い、1967(昭和42)年3月1日に千里線の南千里~北千里間を延伸開業し、1967(昭和43)年3月、終着の北千里駅には世界初の自動改札機10台が設備されています。

当時の自動改札機は、パンチカード方式による定期券用自動改札機と磁気(バーコード)方式の普通乗車券用自動改札機の2種類が設置され、世界最初の自動改札システムとして営業運用が開始されています。その後、日本鉄道サイバネティクス協議会による磁気記録方式が標準規格化されたことを契機に、サイバネ規格に準じた磁気カード式定期券自動改札機が開発され、1972(昭和47)年に2種類の自動改札機は定期券と普通乗車券共用の磁気方式の自動改札機に変更されています。

この自動改札システムは、アメリカに本部のある世界最大の電気・電子技術者による学会「IEEE」より、社会に貢献した重要な歴史的偉業として「IEEEマイルストーン」に認定され、同学会から贈られた銘板が北千里駅に展示されています。
この認定は、自動改札機の基本的な機能である定期券を高速で処理する判定理論の研究から、現在の鉄道駅においても多数利用されている磁気式の乗車券・定期券併用自動改札機の実用化に至る1965年~1971年の間の取り組みが高く評価されたことによるもので、オムロン・大阪大学・阪急電鉄・近畿日本鉄道の4者が認定されています。


阪急電鉄では、自動改札機実用化と南千里~北千里間延伸開業50年を記念し、2017(平成29)年3月に記念イベントが開催され、会場では記念入場券の発売も行われたようです。


   


発売された記念入場券です。入場券3枚とレプリカ乗車券がセットになっています。

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