弟子屈駅発行 南弟子屈・美留和ゆき片道乗車券

1986(昭和61)年9月に釧網本線弟子屈(てしかが。現・摩周)駅で発行された、南弟子屈駅(廃止駅)および美留和駅ゆきの片道乗車券です。


   


桃色こくてつ地紋のB型(両)矢印式大人・小児用券で、札幌印刷場で調製されたものです。
札幌印刷場で調製された矢印式券は明朝体の活字を組んだ様式となっており、国鉄の他の印刷場のものとは趣きが異なります。

発行駅である弟子屈駅は、かつては「難読駅名」として知られていましたが、1990(平成2)年11月、同駅は摩周湖観光の玄関駅であるため、観光振興を理由に摩周駅に改称されています。しかしながら、同駅から摩周湖までは15kmほど離れており、阿寒バスが運行する路線バスで25分、車で約20分くらいの距離になります。


   


裏面です。
やはり明朝体の活字で組まれております。


国鉄の近距離乗車券については金額式が主流の時代ではありますが、当時の北海道の小規模駅で敢えて金額式とせずに矢印式とした背景には、着駅が無人駅であるために往復での発券に対応できることと、一般式では2口座設備しなければならないところを1口座にまとめることができるためであったものと推測されます。
ちなみに、着駅である南弟子屈駅および美留和駅はどちらも無人駅で、美留和駅は1日の平均乗車人員は約3名、南弟子屈駅に至っては約1名という状態であり、発売実績が多いものではなかったと思われます。

確か、この券が発券された月の9月1日に国鉄の運賃改定が行われており、この券はそれ以降に設備されたものと思われますので、券番が0026ということは、仮にこの券が運賃改定当日に設備されたとして1日あたり2~3枚程度の需要であり、また、管理人のようにコレクションで購入されたものも存在しますので、一般の利用者が購入して本当に列車に乗車したものはそれより少なかったということになります。


着駅である南弟子屈駅は、利用者減少によるコスト削減を理由に先日3月14日のJR北海道のダイヤ改正によって廃止されてしまっております。
ただし、3月10日からの降雨と気温上昇に伴う融雪による線路冠水・土砂流入・路盤流出等の影響により、JR北海道では釧網線の釧路~知床斜里間は終日運転を見合わせており、また、運転見合わせ区間のバス代行輸送は行なわれていないため、実質的な営業最終日は2020年3月10日ということになってしまっています。
しかしながら、書類上の営業最終日である3月13日まで、マルスでの乗車券の発売は行なわれていました。

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