趣味で蒐集した「きっぷ」を見て考えたこと、とか…
JR直営の印刷場名は国鉄時代の印刷場名を使用します。
古紙蒐集雑記帖
深川駅発行 白石・札幌・手稲間ゆき 「障がいのある方」用の片道乗車券
明日2021年8月23日から東京2020パラリンピック大会が始まります。
パラリンピックは、障がいのあるトップアスリートが出場できるスポーツの祭典で、4年に一度、オリンピック競技大会の終了後に同じ場所で開催されています。今回の東京2020大会の場合、新型コロナの関係でオリンピック大会が1年延期となった関係で、パラリンピック大会もそれに倣って1年延期となっています。
今回は明日から始まる東京2020パラリンピック大会にちなみ、障がいのある方(ここでは身障者などのことばは使用致しません)が旅行する際に発売される乗車券をご紹介したいと思います。
1984(昭和59)年2月に深川駅で発行された、深川駅発行 白石・札幌・手稲間ゆき、障がいのある方用の片道乗車券です。
青色こくてつ地紋のA型一般式大人・小児用券で、障がいのある方用であることを示す「身」の赤影文字があります。調整された印刷場は札幌印刷場になります。
この乗車券は誰でも購入できるものではなく、障がいのある方が身体障害者手帳を呈示し、単独で旅行するために乗車券類の購入を申し出た際に発売されるもので、手帳の記載事項を確認のうえ発行されます。
この取り扱いの場合は通常運賃の5割(自動車線定期乗車券は3割。小児定期乗車券については割引をしない。)での発売となり、乗車券の発売の際は、常備用大人・小児用券を使用する場合には旅客運賃の訂正はせず、甲片(乗車券部分)から小児断線を切断し、切断した断片(乙片)を乗車券簿に添付して審査課長へ提出する方法がとられています。そして、甲乙両片に「身/81」という印章で表示を行うことになっています。
大抵の場合、このような形での発行となりますが、同駅ではこの取り扱いによる札幌駅までの発売実績が多かったようで、専用の乗車券が設備されていました。全国の国鉄駅でどのくらい専用の乗車券が設備されていたかは存じ上げませんが、珍しい存在であったかと思われます。
ご紹介の券は、実際に手帳を呈示して購入されたものですが、使用しないまま、払い戻しされずに残されていたものです。
裏面です。裏面には券番のほか、券を使用する旅客が使用資格者であることの証明書類(ここでは身体障害者手帳)の携帯を必要とするものであるため、証明書の番号を記載する欄として「身証第 号」という印刷があります。ただし、ご紹介の券の場合もそうですが、出札現場では省略されることも多く、記載されないまま発行されている例が散見されます。