JR東日本 松本駅精算所発行 復路専用乗車券

1996(平成8)年10月に、JR東日本篠ノ井線松本駅の精算所で発行された、松本から塩尻ゆきの復路専用乗車券です。


   

青色JRE地紋のA型矢印式大人・小児用千切り式券となっています。
この復路専用乗車券は、精算所で塩尻~松本間の旅客運賃を精算した旅客が所用を済ませて塩尻へ戻る場合、予め復路分の松本~塩尻間の運賃も収受して乗車券を発行するもので、普通乗車券のようではありますが、正式には「別途往復乗車券」という改札補充券になります。そのため、当時の同区間の片道旅客運賃は230円のところ460円を収受することから、券面には「往路分の230円もいただいています。」という文言があります。

松本駅の精算所に復路専用乗車券が設備されていた背景は、同駅の位置に関係します。
JR東日本の路線図を見るとわかりやすいかと思いますが、同駅は塩尻駅で合流する中央東線および中央西線の列車が直通して乗り入れる場所にあり、篠ノ井線の他、大糸線とアルピコ交通上高地線の始発駅になっており、松本市の中心駅になります。松本市は経済規模では長野市に次いで2番目の規模の長野県内の中核都市です。
このような位置関係により、中央東線と中央西線を乗り継ぐ旅客の中には、途中松本へ寄り道する需要が多く、その中でも中央東線と中央西線を通しで乗車券を購入する長距離旅客は塩尻~松本間の乗車券を所持していないため、松本駅で下車するために精算所で精算をするケースが多く、復路専用乗車券が設備されたようです。


同駅の復路専用乗車券は国鉄時代から引き継がれ、平成10年頃まで設備されていたようですが、敢えてこのような券を設備しなくても、精算所で往路分の片道運賃だけを収受し、復路分については自動券売機で塩尻駅までの乗車券を購入して乗車すれば良いだけであるため、現在は設備されていないようです。

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