JR直営の印刷場名は国鉄時代の印刷場名を使用します。
10年以上前に御紹介した券も再度御紹介しようかと思います。
古紙蒐集雑記帖
近畿日本鉄道 白子駅発行 東京都区内駅ゆき片道連絡乗車券
1980(昭和55)年8月に、近畿日本鉄道(近鉄)名古屋線の白子駅で発行された、東京都区内ゆきの片道連絡乗車券です。
ねずみ色近鉄自社地紋のB型一般式大人・小児用券となっています。
乗車経路は、白子~(近鉄名古屋線)~近鉄名古屋/名古屋~(東海道本線)~東京都区内というルートで、乗車経路としては一般的なルートであり、当時の近鉄線内の特急が停車するような駅には東京都区内ゆきといった長距離用の連絡乗車券の常備券が設備されている駅もありました。
同社の硬券は長距離であってもB型券が使用されており、この法則は連絡乗車券についても当てはまっており、有効期間が4日に跨がるような長距離券であってもB型券というのは、全国的にもここだけのような気がします。B型券ですと入鋏(パンチ)を入れた際に印刷内容が欠落しますので、入鋏を入れる位置によっては有効期間等の大切な内容が見えなくなってしまう可能性があり、入鋏するにはある程度、入鋏する場所を考えなければならないようです。
また、着駅の表記に特徴があり、「東京都区内ゆき」ではなく、「東京都区内駅ゆき」という表記になっています。
ただし、天理駅で発行された券のように、「東京都区内ゆき」となっているものも存在しており、2種類の表記の券があったことになります。
裏面です。裏面には券番と発行駅名の他、「表記着区間の国鉄線各駅 下車随意但し前途無効」という文言が印刷されています。
現在では長距離用の常備乗車券はおろか、普通旅客の連絡運輸そのものが廃止されてしまっている民営鉄道が多いですが、同社では近鉄名古屋駅で接続するJR東海との普通旅客の連絡運輸として、東京・新横浜・小田原・熱海・清水・静岡・浜松・豊橋~名古屋駅を除く名古屋市内各駅~岐阜間・中津川・恵那・瑞浪~勝川間の各駅を着駅とする取り扱いが現在でも残されています。
一方、社線側の発駅としては、名古屋線久居~高田本山間・豊津上野・磯山~白子間・伊勢若松・楠~海山道間・近鉄四日市・阿倉川・近鉄富田~桑名間・近鉄弥富・近鉄蟹江・近鉄八田の各駅、山田線松阪・伊勢市・宇治山田および鳥羽線鳥羽の各駅が設定されており、発売する際には券売機や乗車券印刷発行機の範囲外の駅の場合は補充券(補片)での発売となるようです。
しかし、該当駅であっても窓口にはこのような乗車券を発売している旨の案内はなく、購入の申し込みをした際にすんなりと発売されるかどうかは疑問であり、JRの乗車券は名古屋駅で購入するように案内されるような気がします。