JR直営の印刷場名は国鉄時代の印刷場名を使用します。
10年以上前に御紹介した券も再度御紹介しようかと思います。
古紙蒐集雑記帖
武蔵野鉄道 豊島駅発行 池袋駅ゆき片道乗車券
明日の2023年6月16日金曜日に、西武池袋線豊島園駅に隣接していた「としまえん」の跡地に「ワーナー ブラザース スタジオツアー東京‐メイキング・オブ・ハリー・ポッター」がオープンします。ここはハリー・ポッターの映画の世界の舞台裏や魔法ワールドの秘密が発見できるエンターテイメント施設で、アジア初のワーナー ブラザース スタジオツアー東京は、ハリー・ポッターの屋内型施設としては世界最大の規模になるのだそうです。
今回はワーナー ブラザース スタジオツアー東京がオープンする豊島園駅に関連する乗車券を御紹介いたしましょう。
実家の納戸から見つかったものですが、1927(昭和2)年11月に、現在の西武鉄道池袋線系統の前身になります、武蔵野鉄道の豊島駅で発行された、池袋駅ゆきの片道乗車券です。桃色てつだう地紋のA型一般式大人・小児用券になっています。
通用期間は2日間で、1回だけ途中下車をすることができたようです。
地紋部分を拡大してみました。車輪のようなものの周りに「てつだう」の文字が入っているもので、当時、東京横浜電鉄(現・東急)の乗車券にも採用されていましたので、鉄道会社の独自のものではなく、印刷会社が提供した地紋であったものと思われます。
裏面です。券番の他、発行駅名が印刷されています。
武蔵野鉄道の豊島駅はこの券が発売された一ヶ月と少し前の1927(昭和2)年10月15日に開業し、1933(昭和8)年3月に豊島園駅に改称されています。そのため、開業時の豊島駅として営業されたのでわずか5年半程度であったことになります。
その後、武蔵野鉄道は現在の多摩湖線の前身である多摩湖鉄道と合併したのち、1945(昭和20)年9月に旧西武鉄道系列と合併をして西武農業鉄道となり、翌年の1946(昭和21)年11月に現在の西武鉄道の駅になっています。
豊島園駅への駅名改称は、かつて豊島氏が治めていた練馬城趾に造成された庭園である豊島園(としまえん)に隣接していることによって行われていますが、西武鉄道は2020(令和2)年にとしまえんが閉園になった後も駅名を改称することなく「豊島園駅」として営業しており、現在も駅名を改称する予定はないとしています。