JR直営の印刷場名は国鉄時代の印刷場名を使用します。
10年以上前に御紹介した券も再度御紹介しようかと思います。
古紙蒐集雑記帖
JR東海 ナゴヤ球場正門前駅発行 140円区間ゆき 片道乗車券
JR民営化間もない、1987(昭和62)年8月に、JR東海東海道本線のナゴヤ球場正門前駅で発行された、同駅から140円区間ゆきの片道乗車券です。
桃色こくてつ過渡期地紋のB型金額式大人・小児用券で、名古屋印刷場で調製されたものです。
一般的な名古屋印刷場の金額式券は発駅名が隅(角)の丸めの四角で囲まれていましたが、文字数が多かったからでしょうか、四角の囲みが無い様式になっています。
ナゴヤ球場正門前駅はナゴヤ球場の近くを通る、東海道本線の支線にあたる名古屋港線内に設けられた臨時駅で、野球開催日のみ営業していた臨時駅です。ナゴヤ球場の野球観戦者の便を図って設置されていた臨時駅で、新幹線の高架脇にありました。ホームは新幹線高架に接する側に片面のみ、鉄パイプとベニヤで組まれた簡素な駅で、6両編成の列車まで停車することのできる駅でした。
出札口も工事現場にあるようなレンタル小屋が使用されており、臨時駅感が満載の駅でした。
それでも、名古屋鉄道(名鉄)のナゴヤ球場前(現・山王)駅の方がナゴヤ球場から遠かったため、利便性は名鉄よりもが遙かに良く、JR東海ではナゴヤ球場前駅の利用客の数%の旅客が同駅に流れるものと算段していたようですが、実際には球場の目の前にあるという便利さから、営業初日はもの珍しさもあり、名鉄利用客の10%程度が流れるほど利用率は高かったと言われています。
しかし、貨物線上の臨時駅という性格から電化がされておらず、高山本線用の気動車が使用されており、あまりスマートなものではありませんでした。
同駅は常設駅にする要望があったようですが、貨物線上の臨時駅であるということがネックになり、1994(平成6)年10月のシーズン終了に伴って8シーズンの営業を以て廃駅になり、その代わりとして、1995(平成7)年3月に東海道本線上に尾頭橋駅が開業しています。