東北楽天イーグルスの田中選手入団発表に因んで仙台市内から東京都区内ゆきの片道乗車券を御紹介いたしましたが、こんどは東京都区内エリアから仙台までのちょっと変わった乗車券を御紹介致しましょう。
1970(昭和45)年2月に西武鉄道池袋線の練馬駅で発行された、仙台ゆきの片道連絡乗車券です。
青色せいぶてつどう自社地紋のA型一般式大人・小児用券です。当時の西武鉄道では国鉄への連絡運輸の範囲が広く、需要のある大規模な駅ゆきの連絡乗車券は、主要駅には御紹介のような常備券が設備されており、急行の停まらないような駅にも準常備券が設備されているところもありました。
乗車経路は、練馬~(西武池袋線)~池袋~(山手線・東北本線)~仙台というものを想定しているものと思われますが、経由表記が「池袋・名取経由」となっていますので、常磐線の利用可否については読み取れません。しかし、日暮里・田端または赤羽以遠(上野・駒込または十条方面)の各駅と岩沼以遠(名取方面)の各駅との運賃計算は、常磐線経由の場合でも東北本線経由のキロ数で計算することになっていますので、常磐線の利用も可能であると判断されます。
いままで御紹介致してまいりました券については着駅である仙台駅は「仙台市内」と表記されておりましたが、この券については「仙台」となっています。この券の場合、国鉄の発駅が東京都区内の池袋駅となりますので仙台市内ゆきになると考えてしまいますが、「仙台市内」という特定都区市内制度はこの券が発行された2年後の1972(昭和47)年から開始されていますので、この時代ではまだ仙台市内ゆきの乗車券というものは存在しなかったため、仙台ゆきとなっています。
現在では西武鉄道で発売可能な連絡運輸区域の範囲はかなり縮小され、東北本線は宇都宮駅まで、常磐線は水戸までとなっており、仙台市内などといった長距離の連絡乗車券の発売をすることは出来なくなっています。