JR直営の印刷場名は国鉄時代の印刷場名を使用します。
10年以上前に御紹介した券も再度御紹介しようかと思います。
古紙蒐集雑記帖
上諏訪駅発行 東京都区内ゆき乗車券・急行券連綴券
前回エントリーで上諏訪駅発行の乗車券・自由席特急券連綴券を御紹介いたしましたが、同駅には乗車券と急行券の連綴券もありました。
昭和58年10月に発行された、乗車券・急行券の連綴券です。青色こくてつ地紋のD型券で、新潟印刷場で調製されたものです。乗車券部分は一般式となっており、経由表記は「中野経由」となっています。
ここでひとつ気づいたことがあるのですが、前回エントリーの乗車券・自由席特急券の連綴券と発行時期がほぼ同じであるものの、経由表記に違いがありました。
こちらは前回エントリーの際に御紹介した券です。今回御紹介の急行券とは発売時期に8か月の差がありますが、同じ昭和57年4月の運賃改定時の券であり、しかも発行された窓口も同じ③番窓口となっていますが、乗車券部分の経由表記は「三鷹経由」となっています。
経由表記が統一されていない背景には、印刷場に券を請求する際の担当職員が記載した請求票の内容如何であったものと思われます。
実際、当時としてはどちらの駅も特急列車や急行列車の停車駅ではなかったことから、すべての旅客が通過駅である双方の駅を知っているということではないわけで、三鷹経由であろうと中野経由であろうと、特段問題はなかったものと思われます。
上諏訪駅発行 東京都区内ゆき乗車券・自由席特急券連綴券
昭和58年2月に中央本線上諏訪駅で発行された、東京都区内ゆきの乗車券と200kmまでの自由席特急券の連綴券です。
青色こくてつ地紋のD型券で、新潟印刷場で調製されたものです。
同駅は諏訪湖の最寄り駅であり、他に上諏訪温泉や霧ヶ峰などの観光資源の多い駅で、東京都区内までの需要があることから、連綴券の設備があるものと思われます。
連綴券は2種類の乗車券類を1枚にまとめたものですが、乗車券と自由席特急券の境目には切り取り点線が入れられており、あくまでも乗車券と自由席特急券が繋がっているだけの物という考えなのか、日付や入鋏、検札鋏痕すべてが2つづつ入れられており、1つで済ませないよう現場では徹底されていたものと思われます。
江ノ島鎌倉観光 稲村ケ崎駅から東京山手線内ゆき片道乗車券
昭和50年8月に江ノ島鎌倉観光(現・江ノ島電鉄)稲村ケ崎駅で発行された、東京山手線内ゆきの片道乗車券です。
青色PJRてつどう地紋のB型相互式券で、山口証券印刷で調製されたものと思われます。
東京駅までの営業キロが54.2kmという区間ですが、当時は東京駅から営業キロが50kmを超える区間については東京山手線内発着の乗車券として発売されていました。
一般式とせずに相互式券とした背景は往復需要に対応するためであったことが考えられますが、当時の国鉄の券が相互式であったことから、それに合わせたからかもしれません。稲村ケ崎と東京山手線内で10文字であり、かつ、大人・小児用券であるために小児断片のスペースが必要ですから、文字の小さく窮屈な感じがする券です。
しばしば「路面電車である」とか「長大踏切がある」と誤解される私鉄中小の江ノ電ではありますが、東京山手線内までの乗車券を設備していたというところは、東京都内からの観光客需要が重要な収入源である同社ならではのものかもしれません。
千葉駅発行 360円区間ゆき金額式乗車券
昭和54年2月に千葉駅で発行された360円区間ゆきの金額式乗車券です。
桃色こくてつ地紋のB型金額式大人専用券で、東京印刷場で調製されたものです。
当時の千葉駅には既に券売機が導入されていて、近距離乗車券については券売機で購入することが一般的な時代ではありましたが、出札窓口には硬券の近距離乗車券も設備されており、特に断られることもなく発売してもらえました。
当時の360円区間と言いますと営業キロ36~40km帯で、総武本線東京方面では両国~御茶ノ水間、銚子方面は成東、内房線方面は木更津、外房線方面は八積とそこそこの需要が見込まれる運賃帯であるためか、券売機が対応する区間であるにも拘わらず、大人専用券で設備されていたようです。
津軽鉄道 津軽中里から毘沙門ゆき片道乗車券
平成元年3月に津軽鉄道津軽中里駅で発券された、毘沙門ゆきの片道乗車券です。
桃色津軽鉄道自社地紋のB型一般式券で、日本交通印刷で調製されたものと思われます。
平成になってから発券されたものですが変更前の運賃は「3等55円」となっており、かなり長期間在庫されていた券であるということがわかります。3等車は昭和35年5月31日まで存在していたもので、少なくとも設備されてから29年以上が経過していることになります。
表記されている運賃は55円ですが、確か550円くらいだったと記憶しています。同駅窓口の硬券刺しに一際古そうな券があることに気づき、見せてもらったところ即購入しました。
裏面です。券番は1869番で、単純計算すると29年間の在庫として年間64枚・月間5枚程度の需要ということで、ざっと週に1枚程度の発売実績があったことになります。
(信)加茂駅発行 乗車券・急行券連綴券
昭和52年9月に信越本線加茂駅で発行された、東京都区内ゆきの乗車券と201Km以上までの急行券の連綴券です。
青色こくてつ地紋のD型連綴券で、新潟印刷儒で調製されたものです。
当時、特急や急行が停車する駅には需要のある区間については乗車券と特急券や急行券が1枚にまとめられた連綴券が設備されていました。加茂駅は急行「佐渡」号や「よねやま」「うおの」「とがくし」「天の川」などの列車が停車しており、このうち乗車券の着駅である東京都区内まで行く列車は「佐渡」と「天の川」だけでしたが、「天の川」は座席車を連結しない寝台急行列車でしたので、「佐渡」号を対象として設備されたものと思われます。
お察しの方も居られるかと思いますが、この券は磐越西線五泉駅から蒲原鉄道を乗車して帰京する際に乗車したもので、この時はすでに蒐集済でありました蒲原鉄道からの連絡乗車券ではなく、この連綴券目的で加茂駅にて乗車券を購入した次第です。
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