JR直営の印刷場名は国鉄時代の印刷場名を使用します。
10年以上前に御紹介した券も再度御紹介しようかと思います。
古紙蒐集雑記帖
帝都高速度交通営団 大手町駅発行 国鉄事故対応の振替乗車票
入手した時期は不鮮明ですが、昭和50年代後半ごろ、帝都高速度交通営団(営団地下鉄。現・東京メトロ)の大手町駅で発行された振替乗車票です。
若草色JPRてつどう地紋のB型券で、帝都交通印刷で調製されたものと思われます。
振替乗車票の発行方法は関東地方と関西(中部)地方では異なっており、関西(中部)方面では振替輸送を実施する事業者が予め区間を定めた振替乗車票を発行するのに対し、関東地方では振替輸送を依頼する事業者が、区間を定めない振替乗車票を発行するようになっています。
この券は国鉄(JR)が障害によって運転見合わせの際に発行されたもので、関東の方式とは異なる、振替輸送を実施する側である交通営団側が発行しています。これは、大手町駅のように国鉄駅(ここでは東京駅でしょうか)と距離がある駅では有効で、わざわざ国鉄駅まで足を運ばずに振替乗車票が入手できるよう、便宜を図っていたものと思われます。
これは交通営団が民間の地下鉄のような感じではあっても、その組織実態としては国の外郭団体である公団や公社と似通ったものとなっていた性格によるものであったものと思われます。
あまり不鮮明ではありませんが、予め「国鉄事故」というゴム印が捺印されており、交通営団が国鉄から依頼されて発行されたものと明確に区分していたようです。
JR東日本 姉ヶ崎駅発行 普通列車グリーン券100kmまで
1990(平成2)年3月にJR東日本内房線の姉ヶ崎駅で発行された、100kmまでの普通列車グリーン券です。
若草色JRE地紋のA型大人専用券で、東京印刷場で調製されたものです。
現在の普通列車用のグリーン券は利用区間の記載がされていますが、当時は急行券類と同様にキロ程表記となっていました。
この券は1989(平成元)年4月1日に消費税3%が施行された後の券で、それまでグリーン料金に10%の通行税が内包されていたために、料金の近くに「通行税1割を含む」とか「税1割共」や「税共」などと記載されていましたが、この券には記載されていません。
そもそも通行税は「ぜいたく税」で税率も高く設定されていましたが、通行税が廃止された代わり、今度は消費税3%が内包されたため、実質的にグリーン料金は値下げされたことになります。
この券を購入した頃はまだ、駅によっては硬券での普通列車グリーン券が発売されており、普通列車のグリーン車を利用するときは、駅窓口で硬券のグリーン券があるかどうか確認してから利用したものでした。たまに、窓口氏によっては親切心から「混んでいると座れないから乗ってから車内で買った方がいいですよ」と言われたこともありましたが、硬券をコレクションしているので窓口で購入したい旨を申し上げると「それでは」という感じで出て来ました。
〇自 東京駅発行 ドリーム1号指定券
1982(昭和57)年7月に、〇自 東京駅で発行された、国鉄バスの夜行高速自動車便のドリーム1号大阪ゆき指定券です。
若草色こくてつ地紋のA型大人専用券で、東京印刷場で調製されたものです。
当時の東名高速バスドリーム号はみどりの窓口の他、東京駅の自動車線駅である「〇自」東京駅などで発売されており、〇自 東京駅では常備の硬券が設備されていました。
国鉄高速バスでは、乗車時にバスの入口で改札を受け、降車時に乗務員が回収する方法が採られており、国鉄バスは下車時の集札が厳格で、かなりの確率で貴重な硬券の乗車券や指定券が回収されてしまい、殆ど手元に残っていませんが、たまに乗務員氏によっては「内緒」で使用済の券を戴くことが出来ました。
樽見線 (簡委)美濃本巣から130円区間ゆき片道乗車券
1984(昭和59)年10月に国鉄樽見線(廃止。現・樽見鉄道)美濃本巣(現・本巣)駅で発行された、130円区間ゆきの片道乗車券です。
桃色こくてつ地紋のB型金額式大人専用券で、名古屋印刷場で調製されたものです。
この様式は簡易委託駅用のもので、受託者との精算を簡易化するためでしょうか、小児断片の無い大人専用券となっています。
名古屋印刷場管内の近距離乗車券は、他の印刷場が金額式となっても一般式や矢印式などの券が多く設備されていましたが、昭和59年4月の運賃改定以後は金額式に統一されたようで、この様式はその時に出現した様式になります。しかし、樽見線はその年の10月には樽見鉄道に転換されてしまっておりますので、この様式が設備されたのは1年に満たない期間だけであったように記憶しています。
同駅は、国鉄樽見線が開業した1956(昭和31)年に美濃本巣駅として開業し、近隣にある磐城セメント(現・住友セメント)岐阜工場への側線を有する貨物取扱駅でしたが、1984(昭和59)年に樽見線は第三セクターの樽見鉄道に転換されると樽見鉄道の本巣駅になり、同社の本社および車庫を有する駅となっています。
当時の美濃本巣駅は貨物取扱駅ではありましたが、昭和40年代には出改札業務が行われなくなり、駅員配置駅ではありましたが、運転取扱のみとなっており、出札業務は簡易委託化されていました。
東京急行電鉄 定期券購入票
日付の記載がありませんが、2019(平成31)年3月に、東京急行電鉄世田谷線の世田谷線管区乗務員が発行した定期券購入票です。
白色無地紋のB型券半硬券となっています。
この券は世田谷線の定期券を購入する旅客が、上町を除く途中停留場から窓口のある三軒茶屋駅もしくは下高井戸駅に行く際に発行されるものです。
世田谷線は全線均一運賃のため、窓口のある駅ではホームに入場する際に改札掛員に運賃を支払い、途中停留場では乗車時に乗務員に運賃を支払うシステムになっておりますが、定期券は窓口のある上町・三軒茶屋駅および下高井戸駅でしか発売していないため、いずれかの駅もしくは鉄道線三軒茶屋駅で購入することになります。
このような時、電車に乗車した時に乗務員に定期券を購入する旨を告げて運賃を現金で支払うと「定期券購入票」が交付され、定期券を購入する時に本票を窓口に差し出すと、支払った運賃が全額払い戻しされるしくみになっています。
この処理は、運賃相当額を一旦預かって払戻しすることになるためだと思いますが、現金のみの扱いとなり、IC乗車券は使用できません。
この券は実際に定期券を購入する時に交付を受けたもので、手元に残したかったため、払い戻しを放棄してしまったものです。
同和鉱業小坂鉄道 小坂から東京都区内ゆき片道連絡乗車券
廃札券ですが、同和鉱業小坂鉄道の小坂駅から東京都区内ゆきの片道連絡乗車券です。
青色JPRてつどう地紋のA型一般式大人・小児用券で、山口証券印刷で調製されたものです。
同線は1994(平成6)年10月に旅客営業を廃止しておりますが、この券が廃止まで設備されていたものかは不明です。
同駅には東京都区内までの片道乗車券の他に常備の往復乗車券も設備されておりましたが、値段が高かったために購入はしておりませんでした。
裏面です。
東京都区内下車前途無効とだけ書かれています。
敢えて東京都区内までの片道および往復券を設備していた理由は不明ですが、同和鉱業は現在DOWAホールディングスに社名が変わっておりますが、小坂鉄道が旅客営業をしていた当時も本社機能が東京都内にありました(当時は東京駅八重洲口)ので、本社への出張のための需要が多かったため、国鉄運賃分の手数料収入を見込んで設備されていたのかも知れません。
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