趣味で蒐集した「きっぷ」を見て考えたこと、とか…
JR直営の印刷場名は国鉄時代の印刷場名を使用します。
古紙蒐集雑記帖
静岡鉄道 新清水駅発行 草薙ゆき片道乗車券
1986(昭和61)年10月に静岡鉄道の新清水駅で発行された、草薙ゆきの片道乗車券です。
若草色静岡鉄道自社地紋のB型一般式大人・小児用千切り式券で、シンコー印刷で調製されたものと思われます。
前回エントリーで御紹介いたしました草薙駅の硬券と同じ日に利用したもので、硬券では無く、千切り式の半硬券になります。
草薙駅同様、券売機が設備されていましたが、窓口でお願いすれば半硬券の乗車券を購入することができました。
裏面です。着駅である草薙駅で記念に持ち帰りたい旨を申し出て、無効印を捺した上で頂いてきたものです。
どうやら、同社の無効印には駅名は無く、ただ「無効」とだけの印が使用されているようです。
静岡鉄道 草薙駅発行 新静岡ゆき片道乗車券
1986(昭和61)年10月に、静岡鉄道草薙駅で発行された、新静岡ゆきの片道乗車券です。
若草色静岡鉄道自社地紋のB型一般式大人・小児用券で、シンコー印刷で調製されたものと思われます。
同時、同社の各駅には券売機が導入されておりましたが、駅によっては窓口でお願いすれば硬券の乗車券を発売して戴くことができました。しかし、御紹介のような硬券は草薙駅くらいしか設備されておらず、他の駅では千切り式の半硬券が設備されていました。
裏面です。新静岡駅で記念に持ち帰りたい旨を申し出て頂いた際に捺された無効印がありますが、券番以外の印刷はありません。
熱海駅発行 小田急電鉄新宿ゆき 片道連絡乗車券
1983(昭和58)年7月に東海道本線の熱海駅で発行された、小田急電鉄新宿ゆきの片道連絡乗車券です。
青色こくてつ地紋のA型一般式大人・小児用券で、東京印刷場で調製されたものです。
一見すると熱海から新宿までの国鉄線の乗車券のように見えますが、この券は小田急電鉄への連絡乗車券になります。
乗車経路は、熱海~(東海道本線)~小田原~(小田急小田原線)~新宿という経路になります。
経由欄に「小田原・足柄経由」とあり、足柄駅が小田急電鉄小田原線の駅であることから、それと分かります。
しかし、足柄駅は小田急線の1駅目ではあるものの、国鉄御殿場線にも同名の駅があり、同駅が熱海・小田原地区に近いことで少々紛らわしくなることを考えると、他にも小田急線の駅がたくさんある中で、なぜ敢えて主要駅ではない、御殿場線の駅と区別の付きづらい足柄駅が選択されたのか不明です。
飯田橋駅発行 普通入場券
今から38年前の1983(昭和58)年11月3日に、中央東線飯田橋駅で発行された普通入場券です。
白色無地紋のB型大人・小児用券で、東京印刷場で調製されたものです。
この日は祝日でしたので、現在の都区内パスの前身である国電フリー乗車券を購入し、1駅ずつ下車して入場券を買い集めた中の1枚です。
当時はまだ都内の駅でも硬券の普通入場券を発売している駅も多く、また、御紹介の券のように菅沼式のダッチングマシンが置かれている窓口もありました。窓口が複数ある場合には、菅沼式や天虎式のダッチングマシンが窓口ごとに違っていた駅もあり、そのような場合には菅沼式が置かれている窓口を選んで並ぶこともありました。
JR東日本 松本駅精算所発行 復路専用乗車券
1996(平成8)年10月に、JR東日本篠ノ井線松本駅の精算所で発行された、松本から塩尻ゆきの復路専用乗車券です。
青色JRE地紋のA型矢印式大人・小児用千切り式券となっています。
この復路専用乗車券は、精算所で塩尻~松本間の旅客運賃を精算した旅客が所用を済ませて塩尻へ戻る場合、予め復路分の松本~塩尻間の運賃も収受して乗車券を発行するもので、普通乗車券のようではありますが、正式には「別途往復乗車券」という改札補充券になります。そのため、当時の同区間の片道旅客運賃は230円のところ460円を収受することから、券面には「往路分の230円もいただいています。」という文言があります。
松本駅の精算所に復路専用乗車券が設備されていた背景は、同駅の位置に関係します。
JR東日本の路線図を見るとわかりやすいかと思いますが、同駅は塩尻駅で合流する中央東線および中央西線の列車が直通して乗り入れる場所にあり、篠ノ井線の他、大糸線とアルピコ交通上高地線の始発駅になっており、松本市の中心駅になります。松本市は経済規模では長野市に次いで2番目の規模の長野県内の中核都市です。
このような位置関係により、中央東線と中央西線を乗り継ぐ旅客の中には、途中松本へ寄り道する需要が多く、その中でも中央東線と中央西線を通しで乗車券を購入する長距離旅客は塩尻~松本間の乗車券を所持していないため、松本駅で下車するために精算所で精算をするケースが多く、復路専用乗車券が設備されたようです。
同駅の復路専用乗車券は国鉄時代から引き継がれ、平成10年頃まで設備されていたようですが、敢えてこのような券を設備しなくても、精算所で往路分の片道運賃だけを収受し、復路分については自動券売機で塩尻駅までの乗車券を購入して乗車すれば良いだけであるため、現在は設備されていないようです。
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