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お目当ての植物や野菜の種を蒔いたり植えたりして育てているうちに、
きっと確かに、周りから草が生えてきます。

その場所によって生えてくる草も変わり、例えば日当たりがよいとねこじゃらし、
日蔭氣味ではツユクサとか。
そして、せっかく育てているのに、雑草に生えられたら養分も奪われて
本命が衰えてしまう!って、たいてい引っこ抜くでしょう。

しかし、それによって、かえってメインの植物や野菜が弱ることもあります。

・引っこ抜いた部分の土が剥き出しとなり、乾き、風で舞い飛んで土が減る。
・自然に生えてくる草は水やりを必要とせず、むしろ露を呼び、土を隠して保湿に貢献する。
・小虫やそれを食べる天敵の住みかとなり、一種の虫が極端に増えることがなくなる。

・一年草はほとんど肥料を食わない。冬に枯れて、土に残った根っ子も分解されると、
 そこが空気や水の通り道となって、水はけや通気性のよい土をつくる。
・草による保湿と、枯れ草の層が微生物の棲みかとなる。
 そこに、虫の糞や死骸の窒素が加わると、微生物が酵素を出して分解し、
 育てている植物の栄養におすそわけされる。
・枯れ草の層と小虫の死骸は、酸性雨もある程度中和し、養分抽出役の微生物を守る。

・雨で根元の土が流される。
・草の根や枯れ草の層がないと水はけが悪くなり、腐敗菌が湧いて植物の病気を生む。

こういうわけで、根から引き抜いて退治されちゃう厄介者のいわゆる雑草は、
抜いちゃあならない大切な役割を担っています。

かといって放置すると、育てている植物や野菜は見えなくなるほど覆われて、
暗闇の中で衰退してしまう。
侵掠(しんりゃく)すること火のごとき多年草(ヨモギ、バジル、ミント、フキなど)は
土の中で根の縄張り争いを生む可能性があるため、根ごと抜くのは仕方ありませんが、
一般的に雑草とされるのは一年草が多く、養分を奪い合うようなことはありません。
お日さまをさえぎる部分だけ、髪のようにハサミでちょんちょん調えたらよいのです。
あとは、かえって共生することによる利点の方が大きく、本命も佳く育つでしょう。

ハサミで刈りづらいところは鎌でもよいですが、雑草は本命の重要なサポーターですから、
日をさえぎらない程度にして、刈りすぎないことが大事。
すると、夏場なんてあっという間に伸びるので、3日とか、週に1度くらいはハサミ片手
(キッチンバサミが便利)に自然観察すると、多くの感動的発見を得るでしょう。

畑を耕すのが主流であるから、本来自然界には無い、剥き出しの乾いた土に
違和感を覚える人の少ない昨今ですが、それは、他から肥料や農薬、
除草剤を添加することで成り立っている畑。
大自然の生態系を生かすならば、草むしりは基本的に引っこ抜かずに上を刈るのみで、
土を掘り返したり、乾かさないようにしたいもの。

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