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アイヌ実名中傷動画を拡散 自民・杉田水脈氏、民族差別助長

2023-12-04 | アイヌ民族関連

共同通信2023年12月3日 16時15分 

 自民党の杉田水脈衆院議員は3日までに、アイヌ民族の関係者を出演者が「アイヌ利権」と中傷するユーチューブ動画を自身のX(旧ツイッター)投稿文に添付した。動画は出演者がアイヌの特定の個人を名指しで「ごろつき」と侮辱する場面を含む。杉田氏は賛同する立場から動画を拡散させ、メディアは内容を報じるべきだと書き込んだ。

 差別的言動を繰り返す杉田氏による、さらなるレイシズム(人種差別主義)助長が懸念される。国会議員としての資質が疑われる行為で、自民執行部の対応が問われる。

 動画で中傷を受けたのは、杉田氏の言動を巡り、法務当局に人権救済を求めたアイヌの申立人。

https://nordot.app/1103943106317926668?c=768367547562557440


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アイヌ民族実名中傷動画を拡散 自民・杉田水脈氏、民族差別助長

2023-12-04 | アイヌ民族関連

有料記事

北海道新聞2023年12月3日 16:35(12月3日 17:01更新)

 自民党の杉田水脈衆院議員は3日までに、アイヌ民族の関係者を出演者が「アイヌ利権」と中傷するユーチューブ動画を自身のX(旧ツイッター)投稿文に添付した。動画は出演者がアイヌの特定の個人を名指しで「ごろつき」と侮辱する場面を含む。杉田氏は賛同する立場から動画を拡散させ、メディアは内容を報じるべきだと書き込んだ。

 差別的言動を繰り返す杉田氏による、さらなるレイシズム(人種差別主義)助長が懸念される。国会議員としての資質が疑われる行為で、自民執行部の対応が問われる。

 動画で中傷を受けたのは、杉田氏の「同じ空気を吸っているだけでも気分が悪くなる」などとする言動を巡り、法務当局に人権救済を求めたアイヌ民族の申立人。言動は申し立てに基づき人権侵犯と認定されている。この認定に反発した杉田氏が、申立人を攻撃する動画の拡散に乗り出した形だ。

 ・・・・・・・

https://www.hokkaido-np.co.jp/article/948338/


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アイヌ実名中傷動画を拡散 自民・杉田水脈氏、民族差別助長

2023-12-04 | アイヌ民族関連

あなたの静岡新聞2023年12月3日 

 自民党の杉田水脈衆院議員は3日までに、アイヌ民族の関係者を出演者が「アイヌ利権」と中傷するユーチューブ動画を自身のX(旧ツイッター)投稿文に添付した。動画は出演者がアイヌの特定の個人を名指しで「ごろつき」と侮辱する場面を含む。杉田氏は賛同する立場から動画を拡散させ、メディアは内容を報じるべきだと書き込んだ。

 差別的言動を繰り返す杉田氏による、さらなるレイシズム(人種差別主義)助長が懸念される。国会議員としての資質が疑われる行為で、自民執行部の対応が問われる。

 動画で中傷を受けたのは、杉田氏の「同じ空気を吸っているだけでも気分が悪くなる」などとする言動を巡り、法務当局に人権救済を求めたアイヌの申立人。言動は申し立てに基づき人権侵犯と認定されている。この認定に反発した杉田氏が、申立人を攻撃する動画の拡散に乗り出した形だ。

 杉田氏が11月28日付の投稿に添付した動画で出演者は、政府が不正経理は認められないと明言するアイヌ文化振興事業について、不正の温床だと非難。申立人を含むアイヌの人々を「詐欺まがいの連中」とおとしめた。杉田氏については「尊敬している」「国政に絶対に必要な人」と称賛した。

 投稿文で杉田氏は「動画の内容について、しっかり取材をして報道しなければ公平公正とは言えません」と主張。アイヌ側の訴えだけでなく、動画も取り上げて両論併記するよう促した。差別的言説だと批判される「アイヌ利権」論に「市民権」を与えるための世論誘導と受け取れる。批判を招きそうだ。

https://www.at-s.com/news/article/national/1368463.html


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”アイヌ工芸品”を生活で使ってほしい 札幌市の商業施設で販売会開催 食器や帽子など約200点を販売 週末にはワークショップも

2023-12-04 | アイヌ民族関連

UHB12/3(日) 12:43配信

  札幌市の複合商業施設モユクサッポロで、北海道の作家によるアイヌ工芸品の販売会が行われています。

 大きなお皿に施されているアイヌ文様。

 札幌市中央区のモユクサッポロでは、道内の作家が作った工芸品、約200点が販売されています。

 この販売会では、アイヌ工芸品を生活の中で使ってもらおうと、食器や帽子、ノートなどの生活雑貨が揃っています。

 土日には工芸作家が作品を作っているところを間近で見ることができたり、刺繍などのワークショップが開かれます。

 アイヌ工芸品の販売会は12月14日までで、2024年1月からは東京でも行われます。

https://news.yahoo.co.jp/articles/47fec0c03430c6ce964570f574d52238fed5c71e


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映画『ゴールデンカムイ』怒涛のバトルシーンを収録! ACIDMANによる主題歌『輝けるもの』を使用した最新予告映像が公開 【今週の人気記事】

2023-12-04 | アイヌ民族関連

パッシュプラス2023年12月03日(日)20:00

 2024年1月19日(金)全国公開となる映画『ゴールデンカムイ』の主題歌がACIDMANによる書き下ろしオリジナル楽曲『輝けるもの』に決定。第2弾予告も公開されました。

https://www.youtube.com/watch?v=JfQLBf2dL80&embeds_referring_euri=https%3A%2F%2Fwww.excite.co.jp%2F&source_ve_path=OTY3MTQ&feature=emb_imp_woyt

大木伸夫さん(Vo&G)を中心に、“生命”、“宇宙”をテーマにした壮大な世界を表現し続けている3ピースロックバンド・ACIDMAN。精力的に活動を続け昨年は結成25周年、メジャーデビュー20周年イヤーとなる節目を迎え、とどまることなく進化し続けている彼らが手掛けた『輝けるもの』は、『ゴールデンカムイ』の情景がそこに浮かび上がるような、大自然の中で抗いながら命を燃やす人々の生き様を、ロックサウンドに乗せてエモーショナルに歌い上げた楽曲となっています。

 これまで解禁されていた特報・予告映像からさらに迫力が増した、新しい本編映像がふんだんに盛り込まれた最新予告映像も到着。北海道に隠されたアイヌの埋蔵金。その謎を解くカギは、24人の脱獄囚に刻まれた刺青――。「試してみるか?俺が不死身かどうか」と杉元が放つ一言で埋蔵金争奪戦の火蓋が切って落とされます。

 「刺青人皮(いれずみにんぴ)をどこに隠した?」と鋭い眼球で杉元に迫り寄る鶴見中尉、元新撰組・鬼の副長、土方歳三の華麗な刀捌きといった新カットも続々登場……! 凄まじい勢いで突進して来るヒグマの迫力、そして ACIDMAN の疾走感のある主題歌に乗せて、命がけのサバイバル・バトルが展開されていきます!

 クセの強いキャラクターが次々と登場する中で、エゾオオカミの生き残りであるレタ(ラ)もついにお目見え。そして、「俺は、不死身の杉元だ!」という杉元の台詞には、抱えた想いを言葉に込め、生命力に変えているかのような渾身の叫びを感じるカットに。迫力が増し、公開が待ちきれなくなるような期待高まる予告映像となっています。

 埋蔵金の在りかを示すカギとなる刺青模様が入った黄金の背景に、各キャラクターの特徴をとらえた躍動感のあるポージング、各キャラクターのキャッチコピーを添えた、印象的なキャラクタービジュアルも解禁。

 山﨑賢人さん演じる杉元佐一、山田杏奈さん演じるアシ(リ)パ、眞栄田郷敦さん演じる尾形百之助、矢本悠馬さん演じる白石由竹、工藤阿須加さん演じる月島基、栁俊太郎さん演じる二階堂浩平・洋平、大谷亮平さん演じる谷垣源次郎、勝矢さん演じる牛山辰馬、玉木宏さん演じる鶴見篤四郎、舘ひろしさん演じる土方歳三の全10種のキャラクタービジュアルとなっています。

『ゴールデンカムイ』キャラクタービジュアル画像(10種一枚画)(web用)

 さらに、本作の公開日1月19日(金)に、IMAXでの同時上映が決定。最新鋭の映像制作技術を最大限に駆使したIMAXは、床から天井、左右の壁から壁まで広がる大スクリーンに映し出される鮮明な映像と、高精度なサウンドで、北海道の広大な大地の豊かさと、生死をかけた迫力のサバイバル・バトルの臨場感を感じることが
でき、制作陣がこだわり抜いた映画を最高峰のクオリティで余すところなく映画館で体感することができます。

ACIDMAN 大木伸夫さんコメント

このお話を頂いたのは、とあるライブ出演の20分前。

大好きな漫画の実写化の主題歌というお話だったので大興奮!

すぐにイメージが沸き、(オソマのフリをして、、、)トイレに駆け込み、一気にボイスメモにアイデアを吹き込みました。

自然と共に生きるアイヌの人々の美しい生き様、土を忘れ欲望を追い求めてしまう僕達の儚い生き様。

正しさに揺れながら、迷いながらも強く生き抜く力になる楽曲として、この映画を支えられたら嬉しいです。

あらゆる一瞬の明滅の命が、『輝けるもの』になりますように。

大木伸夫(ACIDMAN)

※“オソマ”とは、アイヌ語で「うんこ」や「うんこをする」という意味。「ゴールデンカムイ」の作中にたびたび登場する単語です。

杉元佐一役・山﨑賢人さんコメント

 今回、映画のために書き下ろしてくださったということで、本当に「ゴールデンカムイ」にピッタリな歌詞でした。

 そして、エンドロールで流れた時の、それぞれのキャラクターたちの旅、冒険、そして物語がこれからも進んでいくような力強さだったり、切なさだったり、疾走感みたいなものが感じられてすごく素敵な曲だと思いました。

アシ(リ)パ役・山田杏奈さんコメント

 始めて楽曲を聞いた時に、すごく疾走感がある曲なのに大木さんの声の優しさがとてもいいなと思いました。

 作品としての力強さにもなっていますし、歌詞の中で『何かを得て、失って、それでも旅は続いていく』というような表現があって、それもすごく、「あぁ、ゴールデンカムイだな」と、じんわりと、いいなと思いました。

プロデューサー・松橋真三さんコメント

 本作は、皆に楽しんでもらえるエンターテイメント大作ですが、冒頭、日露戦争二〇三高地の激戦から始まります。様々な苦難を背負った杉元佐一が、主人公として背負う「重み」が必要であると、ACIDMAN大木さんにお伝えし、作曲をお願いしました。

 甘いだけではない人生を歩んできた、いろいろ背負って生き抜いてきた大人のアーティストでないと作れないような歌を希望しますと無茶なお願いをしました。

 作っていただいた『輝けるもの』は、激しくて、美しくて、胸が熱くなり、目頭が熱くなる素晴らしい主題歌となりました。物語の最後、熱い情熱と愛を感じながら劇場を後にしてほしいと思います。お楽しみに!

実写映画『ゴールデンカムイ』作品概要

【公開】
2024年1月19日(金)全国公開
【スタッフ】
原作:野田サトル「ゴールデンカムイ」(集英社ヤングジャンプ コミックス刊)
監督:久保茂昭
脚本:黒岩勉
音楽:やまだ豊
アイヌ語・文化監修:中川裕、秋辺デボ
製作幹事:WOWOW・集英社
制作プロダクション:CREDEUS
配給:東宝
【出演者】
山﨑賢人
山田杏奈 眞栄田郷敦 工藤阿須加 栁俊太郎 泉澤祐希 / 矢本悠馬
大谷亮平 勝矢/高畑充希
木場勝己 大方斐紗子 秋辺デボ マキタスポーツ
玉木宏 ・ 舘ひろし

※アシ(リ)パの(リ)は小文字が正式表記。
※レタ(ラ)の(ラ)は小文字が正式表記。
(C)2024映画「ゴールデンカムイ」製作委員会

https://www.excite.co.jp/news/article/pashplus_EXCITE_316390/


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パレスチナと他国の先住民族の抱える問題の違い…SNSを通じて広がる抑圧される側が生む連帯の輪が示唆するもの

2023-12-04 | 先住民族関連

集英社12/3(日) 13:00配信

11月29日、スペイン・マドリード:マドリードで行われた親パレスチナ集会

「パレスチナ」という言葉には「無数のトラブル」「支配の歴史」「土地の略奪」が内在化している。すべての人がそうだというわけではないが、世界各地にいる先住民たちの間には新パレスチナ派が目立つ傾向がある。

【写真】世界の先住民たちによる抗議活動

パレスチナ人の「先住民性」とは?

10月、筆者はノルウェーにて北欧で暮らす先住民サーミたちの抗議活動を連日取材していた。彼らは今、ノルウェー政府によるグリーン・コロニアリズム(緑の植民地主義)が人権違反だと抵抗している。10月7日、ハマスが野外音楽フェスを襲撃したということも、同時に大きな注目を浴びていた。サーミの若者たちは抗議活動を追えた翌日から一気にSNSの投稿内容を変え、ガザ解放を訴え始めた。

インスタグラムやTikTokなどのSNSでは日々、親パレスチナ派であることの表明や「沈黙」「中立」という立場を選ぶことの矛盾が指摘されている。パレスチナ連帯と他国の先住民性に関する記事や文献は何年も前からいくつも掲載されている。なぜ、世界各地の先住民の彼らはパレスチナ人やガザの人々を気にかけるのだろうか。

10月にボストンで行われたパレスチナ抵抗を支持するデモ集会では、先住民主導の組織「ユナイテッド・アメリカン・インディアン・オブ・ニューイングランド(UAINE)」の共同リーダーであるマトウィン・マンロー氏が「シオニスト国家による大量虐殺に対するパレスチナの抵抗は、入植者による植民地虐殺に反対し、完全な民族自決を求める世界的な先住民族の闘いの一部である」と発言した(Workers World)

オーストラリアの先住民アボリジニの活動家でもあり、オーストラリア初の先住民青年気候ネットワークSeedの元共同設立者、オーストラリア先住民の公正な扱いを求める独立運動「GetUp!」最高経営責任者でもあるラリッサ・ボールドウィン・ロバーツ氏は現地の番組で、「先住民の間には信じられないほど強固な連帯の基盤があり、私たちはパレスチナの自由な未来について話をしています。パレスチナ人はハマスではありません。だから暴力行為を非難することはできますが、同時に、私たちはここで平和的な解決をする未来に目を向ける必要があります」と話した(オーストラリアの公共ニュース配信サービスABC News In-depth)

ノルウェーの先住民サーミの活動家エッラ・マリエ・ハエッタ・イーサクセンさんは、ガザで起きていることが「複雑」で自分は勉強不足だからと発言を避けるなら、「不正義に立ち向かうことなく墓場まで行くことになるでしょう。

実際には、あなたは一生を加害者の側で過ごすことになるのです」と、「ガザ地区では大量虐殺が行われています。介入するのは私たちです。教育を受けていなくても、本心から話すことはできます」と「沈黙しないように」呼びかける投稿を続けている。

国境を超えて連帯する先住民コミュニティ

土地やアイデンティティを奪われてきた共通の背景を持つ先住民たちは国境を越えて連帯する傾向がある。各国の「少数派」だけでは、訴求することに限界があるため、先住民たちは国境を越えて手を取り合い、「先住民」というコミュニティをもって、さらなる搾取に抵抗しようとしている。

そのつながりはSNSとともに育ってきたミレニアム世代やZ世代によって、さらに可視化・強化されている。インスタグラムの24時間限定のストーリーや、TikTokの動画投稿では日々、先住民とパレスチナの連帯を示す投稿が流れている。

彼らは「イヌイット」などのそれぞれの民族名よりも、「先住民」を意味する英語「インディジネス(Indigenous)」をあえて用いて連帯を示している。そして、その連帯を世界的な動きであることも強調する。

パレスチナ人の「先住民性」とは

「パレスチナ人は先住民なのか」という問いに意見はわかれるだろう。

ここで注目すべきはパレスチナ人のもつ「先住民性」(Indigeneity)だ。パレスチナ人がいた土地をイスラエル人の土地だと主張することで、パレスチナ人の先住民性は剥奪されている。各国の新パレスチナ派を表明する先住民は、パレスチナ人の「先住民性」に共鳴をしているのだ。

先住民性という言葉の解釈はさまざまだが、テリトリー、文化、コミュニティ、伝統に関連した自分たちの固有性、アイデンティティ、先住民らしさに関係している。国家や国際社会が先住民族に対して行ってきた非人道的、植民地化的、抑圧的な扱いに注意を喚起するものでもあり、世界的に「先住民」の共通意識を表すものでもある。

民族間同士で歴史的に、また現在においても差別・迫害・抑圧を体験し、今も不平等な状態が続いていること。あるいは、植民地侵略に遭い、その後に続く排除の構造に苦しみ続ける人々、自分たちの権利のための闘い、解放運動、植民地支配、殺人的な歴史、失われる土地と命、征服と支配の抵抗、資本主義、新自由主義的な帝国主義というようなものとの闘いの意味合いが含まれることもある。

かたや、「先住民らしいもの」として、先住民自ら、または外部の者がスピリチュアルな世界観や食生活をゲームなどに商品化することを「先住民性」(Indigeneity)のビジネス化・商品化・資本主義化という意味合いで話されることもある。

ここでは「先住民性」は前者の、植民地状態が歴史的に今も続く不平等な状態という意味合いで用いている。

パレスチナと他国の先住民族の抱える問題の違い

先住民族とパレスチナ人との対話は1960年代以降、アメリカインディアン運動の活動家とブラック・パンサーが世界的な解放運動に着目して以来、プエルトリコ民族解放運動、アメリカインディアン運動、ブラックパワー運動、南アフリカのアパルトヘイト撤廃運動などと関係を築き、帝国主義に対する共通の闘いとして続いてきた。

パレスチナと他国の先住民族の抱える問題の違いは、イスラエルには世界中に無数の強力な支援者がいることだ。

白人至上主義と植民地主義をバックとした欧米を後ろ盾とするイスラエルに各国の先住民たちが「先住民性」を感じることはない。パレスチナを圧倒的弱者にさせる力学を、他国の先住民族たちは黙って傍観することができないのだ。

「パレスチナ人の先住民性」という共通の闘いの新たな主軸

イスラエルは今「抑圧者」として、ガザで壁の中に市民を閉じ込め、逃げることができない場所で攻撃を続け、欧米の権力者たちはその行為を傍観している。

まるで「存在しない」かのように命が消され、土地が奪われていく光景は欧米の植民地時代を嫌というほど先住民に思い出させる。

「みんなが自由になるまで、誰も自由ではない」というフレーズはフェミニズム運動でよく聞かれるが、今SNSで新パレスチナ派を自称する先住民の若者たちの投稿には「パレスチナ人の自由なくして、先住民の自由はない」「先住民ならば、パレスチナ派であるべきだ」という言葉が頻繁に登場する。

相互連帯によって生存のための戦術と戦略を互いから学び、互いに起こっていることをSNSなどで拡散するのには意味がある。先住民の闘いは国会内で抑えこまれ、他国にその問題が知られることに限界があった。

だが、SNSの登場によって、今先住民やパレスチナの世代は世界に向けて「何が起きているのか」を発信できる。「黙って奪われること」を抑圧者に強制されてきた者たちは、新しい抵抗手段を手に入れた。

抑圧者は抵抗する者を「黙らせ」「国際社会に何が起きているかを知られない」ことが狙いでもあると「抑圧されてきた側」の先住民たちは歴史的に十分承知している。だからこそ、SNSを使う世界中の若者に「中立や沈黙、SNSの投稿が減ることこそがネタニヤフ首相の思惑だ」「声を上げ続けることには意味がある」と繰り返し言い続けている。

こうしてパレスチナ人の先住民性は現代の共同闘争における新たな主軸として、各国の先住民に新しい概念的な道筋を示している。

「自分の特権を利用して、空間を破壊しているイスラエル政府のイデオロギーに抵抗しよう」

そのような「先住民コミュニティ・ケア」の輪は拡大を続けている。「先住民性」によって共鳴しあう先住民族間のグローバルネットワークによって、互いの闘いは拡大・強化を続けるだろう。

文/鐙麻樹

【参考文献】

『Indigenous Solidarity Testimonies and Narratives』 Foreword by Hamid Dabashi Edited by Suzannah Henty & Gary Foley

Toronto Star “ Why some Indigenous advocates and Palestinians feel they’re ‘natural allies’”

Chronique de Palestine “ Se servir de l’indigénéité dans la lutte pour la libération de la Palestine “

『Decolonization: Indigeneity, Education & Society』“American Indian studies and Palestine solidarity: The importance of impetuous definitions” by Steven Salaita

Queen’s University “Decolonizing and Indigenizing”

https://news.yahoo.co.jp/articles/79c3e7ca72786561c978ccabc0f0845eb2bda707


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暮らし、食 ALTら異文化紹介 夕張で初「国際交流フェス」

2023-12-04 | 先住民族関連

会員限定記事

北海道新聞2023年12月3日 18:45

オーストラリア先住民族の楽器の模型を作る子ども

 【夕張】夕張、滝川、南幌の外国語指導助手(ALT)ら5人が自国の文化や食を紹介する初の国際交流フェスが3日、市拠点複合施設りすたで開かれた。アイスランド、モンゴル、オーストラリア、中国、シンガポールの5カ国のブースが設けられ、来場者は先住民族の表意文字を石に描くなどして異文化交流を楽しんだ。

■ゲル模型展示、火鍋試食も

 ゆうばり国際交流広場実行委の主催。滝川市の国際交流員ドゥゲルジャブ・ノミンチメドさんは、遊牧民族が暮らすゲルやラクダに乗った隊商の模型などをモンゴルブースに飾った。

 ノミンチメドさんは「男の子は皆、モンゴル相撲を習う」「今も国民の3割が遊牧生活をしている」などと暮らしぶりを紹介。「国を統一したチンギスハン(ジンギスカン)は神様のような存在」と話すと、市民が「義経がジンギスカンになったという話は知っているかい」と冗談交じりに発言し、笑いの輪が広がった。

 夕張市のALTアシュリー・メリルさんはオーストラリア先住民族の大きな縦笛をビデオで紹介。来場者は、紙筒に民族文様を描いた紙やシールを貼り付けて楽器の模型を作った。

 試食では、中国の火鍋やシンガポールのチキンライスが特に人気を集めた。ゆうばり小3年の小野寺一葉(いちは)さん(9)は「ゲームや塗り絵をやって楽しかった。コアラやパンダを見に外国に行ってみたい」と話していた。(高橋浩志)

https://www.hokkaido-np.co.jp/article/948378/


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女性はどのように月経と向かい合ってきたのか? 古代エジプトではパピルスを利用

2023-12-04 | 先住民族関連

ナショナルジオグラフィック12/3(日) 11:30配信

偏見たどると聖書にまで、月経にまつわる沈黙と羞恥の歴史

紀元前2250年頃に砂岩に刻まれた女神イシスと息子のレリーフ。古代エジプトの女性は経血の処置にパピルスを使用したことが確認されている。(PHOTOGRAPH BY LEEMAGE, CORBIS/GETTY IMAGES)

 古代エジプトでは、経血を吸収させるために柔らかくしたパピルスが使用された。いわば、タンポンの原型のようなものだ。これが生理用品の最古の記録だが、これ以外の記録は数少ない。長年にわたって月経がタブー視されてきたからだろう、と専門家は考えている。

ギャラリー:写真で見る避妊具の歴史、古代ローマ時代の品も

 米イリノイ大学の文化人類学者であるアルマ・ゴットリーブ氏の話では、月経に関する歴史資料は乏しく、情報源は先住民族コミュニティの証言などの口述記録とわずかだ。さらに、生理用品として使われた素材は有機物なので、歳月の経過とともに分解して失われてしまった。

 専門家によれば、女性たちは手に入る材料で自分の着衣に合うものをなんでも活用していた。多くの女性は、長めの布切れ(rag)を折って衣服にピンで止め、使用後は洗って再使用した。米ノースウェスタン大学の月経と生理用品に関する歴史学者であるシャーラ・ボストラル氏は、「『on the rag』が『生理中』を意味する俗語表現は、こうした使用法に端を発している」と話す。

「誰がどのような経験をしたか、取り巻く社会の姿勢はどうだったか、それは場所によっても時代によっても異なります」とボストラル氏は言う。例えば、19世紀後半の米国には、月経を病気とみなす医師もいた。エドワード・クラークという医師は、生理中に登校すると生殖器の発達が妨げられると考えた。

 コケや樹皮など吸収性がある植物も、入手できる地域では利用されていた可能性がある。一部のバイキングがミズゴケを使用していたという説もあるが、そのような記録は確認されていない。インターネット上では、生理用品に関する複数の説が広がっている。だが、月経への対応に関する推論を立証することは非常に困難であり、米イリノイ大学の人類学者であるケイト・クランシー氏は、「ほとんどの説はでたらめです」と話している。

 経血をそのまま着衣に吸収させるやり方もあった。欧米では数世紀にわたって、幾重ものアンダースカートやドレスで経血を吸収していた。19世紀末頃には、ガーターベルトに似た生理用品が編み出された。伸縮性のあるウエストバンドで、ベルトには布切れを留める穴が前後に開いていた。

 当時は大きくふくらんだスカートから細身のスカートへの移行期であり、この工夫は役立ったかもしれないが、「満足できるものではなかった」とボストラル氏は言う。「女性たちは、もっと使いやすい生理用品を求めていました」

月経にまつわるデマ

 多くの文化では、長年にわたって月経を否定的にとらえてきた。

 拍車をかけたのは理解不足だ。例えば、体液説。中世には、人間の体は血液と黄胆汁、黒胆汁、粘液という4種類の体液から成るという説があり、健康を維持するにはこれらの体液のバランスが重要とされた。英リーズ大学の歴史学者であるレイチェル・ジリブランド氏の話では、女性は男性よりも弱くて体液のバランスを維持できないため、月経で毎月、血を失うことで体液が安定するとされていたという。

 こうした考えは「ビクトリア朝時代まで続いた」とジリブランド氏は話す。ほかにも、生理中の女性は毒素を排出して病気の原因になる、経血はけがれている、さらには経血が農作物を全滅させるという説まであった。

 月経に対する偏見をたどると、聖書にまでさかのぼる。イブは、唯一の神に背いた罰として苦痛を伴う出産という呪いをかけられたとされている。その後、この呪いという解釈が拡大され、月経も含まれることになった。

「月経への差別的な対応や認識は、文明の誕生以来ずっと続いてきました」。こう語るのは、ネパールの「Global South Coalition for Dignified Menstruation(尊厳ある月経のための途上国同盟)」の設立者であるラダ・ポウデル氏だ。

 こうしたスティグマ(差別や偏見)は、人々に恥の意識をもたらした。20世紀初頭に入っても欧米社会では月経について話題にすることはほとんどなかったため、「思春期の少女の多くは、自分の体に何が起きているのか、理解できませんでした」。ノルウェーのアグデル大学で月経の文化を研究しているカミラ・ロストビク氏はこう話す。

 そして「(初めての月経で)自分は死ぬのだと思った少女がたくさんいました」とロストビク氏は続ける。「当時を考えてみると、多くの少女にとって、非常に衝撃的な体験だったに違いありません」

根強く残る恥の意識

 1930年ごろの米国では、最初の現代的な生理用ナプキンの広告にクーポンが付いており、薬局で黙ってこのクーポンを差し出せばナプキンを購入できるようになっていた。数十年にわたってスリランカからカナダに至るまで各国の文化における月経の認識を調査してきたポウデル氏は、「月経に対する沈黙と羞恥の態度は世界の多くの地域で今も根強い」と話す。

 しかし、クランシー氏は「すべての文化が月経をネガティブに受け止めているわけではない」と強調する。例えば、西アフリカ地域に住むベング族の人々は経血を神聖なものと考え、生殖における月経の重要性を認識している。

 一方、ボルネオ島北部のルングス族は、月経を中立的に受け止めている。彼らにとって月経は、神聖でもなく、呪われてもいない。月経中は、住居のすのこ状の床のすき間に身を置いて、床下の青々と茂る緑に経血を落とす。「実に淡々とした自然な対応です」とゴットリーブ氏は話している。

 今日では生理用品が進化し、タンポン、月経カップ、そして月経ディスクなど、経血を体内でコントロールする製品も出回っている。

 しかし、いまだに月経を隠すことが重視されており、「月経に伴う症状など、そのほかの問題に関する対応は不十分だ」とクランシー氏は指摘する。例えば、辛い生理痛では日常生活に支障をきたすこともあるが、こうした問題についてはほとんど議論されていない。

「私から見れば、こうした現状は、いまだに相当なスティグマが存在している証しです」とクランシー氏は話している。

文=JUDE COLEMAN/訳=稲永浩子

https://news.yahoo.co.jp/articles/988e841d4b4f9a307fb7bc676b3fe04e08d61950


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チェロキー族の指導者を称えるバービー人形は複雑な感情を抱いた

2023-12-04 | 先住民族関連

キムズ12月 3, 2023 28 madmin

チェロキー族の象徴的な酋長であるウィルマ・マンキラーは、早期教育と地方の医療を拡大した強力だが謙虚なリーダーとして、数え切れないほどのネイティブ アメリカンの子供たちに影響を与えました。

彼女の活動範囲は現在、典型的なアメリカの栄誉によって拡大している。玩具メーカー、マテル社の「Inspiring Women」シリーズの一部として、故マンキラーに似せたバービー人形が登場した。

マンキラーの功績を讃える公開式典が火曜日、チェロキー・ネイションの本拠地であるオクラホマ州北東部のタレクアで予定されている。

マンキラー氏は全米初の女性首席酋長として、1995年までの10年間部族を率いた。彼女は合意を通じて社会状況を改善し、先住民の伝統に対する誇りを回復することに重点を置いた。 彼女は3人の米国大統領と会談し、民間人としては国内最高の勲章である大統領自由勲章を受賞した。

彼女はまた、軍人の称号である自分の姓についての卑劣な発言にもユーモアを交えて対応し、しばしば「マンキラーというのは実際にはよくついたあだ名です」と率直な返答を返した。 彼女は 2010 年に亡くなりました。

部族の現在のリーダーであるチャック・ホスキン・ジュニア校長は、マテル社がマンキラーを追悼したことを称賛した。

「先住民の女の子たちがそれを見れば、それを達成できる。ウィルマ・マンキラーは、無数の若い女性たちが恐れを知らず、先住民と人権のために声を上げることを示した」とホスキン氏は声明で述べた。 「ウィルマ・マンキラーはチェロキー族、インディアンの国、そして私の娘のチャンピオンです。」

マンキラーさんの肖像は、2021年発行の米国四半期報に掲載されており、バービー人形を授与された2人目のネイティブアメリカン女性となる。 黒人とチェロキー族の祖先を持つ有名な飛行士ベッシー・コールマンが今年初めに描かれた。

シリーズの他の人形には、マヤ アンジェロウ、アイダ B. ウェルズ、ジェーン グドール、マダム C.J. ウォーカーなどがあります。

https://mujihi.jp/チェロキー族の指導者を称えるバービー人形は複/


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人工知能、DMOの活動に影響 米調査 コンテンツ作成や分析への活用予測

2023-12-04 | 先住民族関連

トラベルジャーナル2023.12.04 00:00

 世界の約300のDMOらを対象に実施した米国の調査で、AI(人工知能)が今後のデスティネーションマーケティングに影響を及ぼす可能性が明らかになった。チャットGPTなど生成AIの登場で誰もが簡単に利用できるようになり、活用の領域が広がっている。DMOの事業戦略の面では、環境の持続可能性や社会的多様性への適応が進む傾向が見て取れる。

 調査は観光産業のデジタルマーケティングを手掛ける米ソジャーンとデジタルツーリズムシンクタンクが共同で実施。ブランドUSA、カナダ観光局、欧州旅行委員会(ETC)が協力した。

 AIが影響を及ぼす領域はさまざまだが、特にコンテンツ作成は約半数の49%が大きく影響すると回答した。予測分析(40%)、データ分析(38%)、マーケティングコンテンツのパーソナライゼーション(37%)も比較的高い。

 一方、メディア制作やキャンペーンの制作に関しては影響が比較的少ないと予測する。しかし、DMOの71%はAIの活用に現在あまり自信がないと回答しており、使いこなせるだけの知識がまだ備わっていないようだ。

 DMOの目下の事業戦略では、42%が男女平等、35%が性的指向、34%が社会的・経済的多様性の促進を重要視している。ただ、多様性への施策は国によって違いが見られた。

 米国とカナダはDMOの50%超が人種や民俗の多様性を尊重することが優先事項としているのに対し、欧州は23%。先住民の文化やコミュニティーの尊重ではカナダが71%と極めて高かった。一方、アクセシビリティーへの取り組みは欧州が45%に上るが、カナダはわずか12%。

 これらの状況を踏まえ、調査報告はDMOの戦略を見直す余地があると助言している。

https://www.tjnet.co.jp/2023/12/04/人工知能、dmoの活動に影響%E3%80%80米調査%E3%80%80コンテンツ/


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NGO、日本に「化石賞」 石炭火力の方針批判―COP28

2023-12-04 | 先住民族関連

時事通信2023年12月04日00時58分

 【ドバイ時事】アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開かれている国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)で、国際的な環境NGO「CAN」は3日、地球温暖化対策に消極的な国に贈る「化石賞」に日本と米国、ニュージーランドを選んだ。

 日本の授賞理由は、岸田文雄首相が1日の首脳級会合で、アンモニア混燃による石炭火力発電を積極活用しようとしている点。温室効果ガスの排出削減効果が疑問視されているため、CANは環境にやさしいと見せかける「グリーンウォッシングだ」と批判。「国内だけでなく東南アジアにも広めようとしている」と批判した。

 米国は気候変動による「損失と被害」対策を支援する基金への拠出が1750万ドル(約26億円)にとどまった点を問題視。「イスラエルやウクライナへの軍事支援と比べ少な過ぎる」とした。ニュージーランドは政権交代により、先住民の意向を無視して海域での石油やガスの採掘を念頭に調査する計画が非難された。

https://www.jiji.com/jc/article?k=2023120400023&g=soc


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集団的に起こる心因性反応、病の背景には社会状況―スザンヌ・オサリバン『眠りつづける少女たち――脳神経科医は〈謎の病〉を調査する旅に出た』養老 孟司による書評

2023-12-04 | 先住民族関連

オールレビュース12/3(日) 6:00配信

『眠りつづける少女たち――脳神経科医は〈謎の病〉を調査する旅に出た』(紀伊國屋書店)

◆「身体を介した言語」社会を反映

著者はアイルランド出身の英国の神経科医で、主題は集団的に起こる心因性反応である。著者も注意するように、この場合の用語の使い方は難しい。うっかりすると読者に偏見を与えてしまう。古い人なら集団ヒステリーというかもしれない。はっきりした医学的所見、つまり生物学的な徴候が捉えられず、検査の結果「なんでもありません」と言われてしまうような状態である。老人の私が日本で思い出す例と言えば、光化学スモッグで、女子高校生が多く発症した事件くらいか。医学生の時、東大医学部の精神科の授業でアイヌの集落に生じた事例を習った記憶がある。本書では日本の例は挙げられていない。ほぼ各章が世界各地での類似した「事件」を扱っている。著者はそれぞれの地元に赴き患者や家族に直接インタビューする。その行動力は驚くべきもので、まずそこに敬服する。各地の症例をなにより自分の目で直接に見ようとする。効率を重視する現代では、利口な研究者はこうしたやり方は採用しないと思う。病の背景にはその時の社会状況があるという著者の思考からすれば、現地に旅行しその雰囲気を知ることが肝要なのである。

第一章はスウェーデンに難民申請者として入国した家族の二人の娘で、数年にわたり眠ったままの状態が続いている。この家族はヤズィーディーというイラク、シリア、トルコに住む少数先住民族で、伝統的な宗教的信条のため、故国で長らく迫害を受けてきた。いまは難民申請が受け入れられるかどうかという半端な状態に置かれており、娘たちは学校に通い、スウェーデン語を話す。

“私は神経科医としてふたりを訪問したが、彼女たちについて考えれば考えるほど、また、さまざまなことを学べば学ぶほど、それだけふたりの問題を神経学的問題として、あるいは医学的問題としてさえ見なくなった。ふたりの寝室に立っていたときに自分の無力さを感じたのも、まさにそれゆえだった。あきらめ症候群という言語の話しかたを、私はまだ習得できていない。この言語は、発病した少女たちに自分の話を語ることを可能にしている。それなくしては、彼女たちは声なき存在になってしまうだろう。”

著者は眠り続けるという二人の症状を、身体を介する言語に類した表現としてとらえており、それが自分には十分に解読できないと嘆いているのである。

第二章はグリシシクニスと題され、米国に住むミスキートと呼ばれる人たちの病。元来はニカラグアのモスキート・コーストに住む先住民で、グリシシクニスはこの人たちに固有の疾患、震え、呼吸困難、トランス状態、けいれん等の症状を呈する。著者はテキサスに移住したミスキートの病を丹念に調査報告する。

第三、四章はカザフスタンのクラスノゴルスキーとカラチで、旧ソ連時代に鉱山町として国家の保護を受け栄えたが、今ではひどくさびれつつある町での「奇病」について語る。

第五章はキューバの米国大使館での音響兵器事件、集団心因性疾患がストレスを受けている閉鎖集団で生じやすいので、いわゆる「少数の」人たちの集団のものと思われやすいことから、そうではなく、米国国務省のエリートたちにも同様の疾患が生じることを示す。

[書き手] 養老 孟司

1937(昭和12)年、神奈川県鎌倉市生まれ。1962年東京大学医学部卒業後、解剖学教室に入る。1995年東京大学医学部教授を退官し、2017年11月現在東京大学名誉教授。著書に『からだの見方』『形を読む』『唯脳論』『バカの壁』『養老孟司の大言論I~III』など多数。

[書籍情報]『眠りつづける少女たち――脳神経科医は〈謎の病〉を調査する旅に出た』

著者:スザンヌ・オサリバン / 翻訳:高橋 洋 / 出版社:紀伊國屋書店 / 発売日:2023年04月28日 / ISBN:4314011971

毎日新聞 2023年5月27日掲載

https://news.yahoo.co.jp/articles/cc3f5f95307df7b46bbd4f2dec941befebfb8a1c


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1920年代の米国「オセージ族連続殺人事件」…偶然豊かになった先住民を殺戮した特別ではない人々を暴く傑作(レビュー)

2023-12-04 | 先住民族関連

ブックバン12/4(月) 6:00配信

『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン: オセージ族連続怪死事件とFBIの誕生』デイヴィッド・グラン[著]倉田真木[訳](早川書房)

 マーティン・スコセッシ監督の映画を観て、原作の『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』(デイヴィッド・グラン、倉田真木訳)のことを知り、飛びつくようにして読んだ。映画も重厚なつくりで圧倒されるが、原作はさらにすごい。

 映画も本も、一九二〇年代のアメリカで起きたオセージ族連続殺人事件の謎に迫る。先住民のオセージ族はもともと「何ひとつ所有せず、何者にも所有されなかった」と言われた人たちだ。合衆国政府によりもといた場所から無理やり押し込められた土地に石油が出て、その結果、欲にかられた悪漢に命を狙われる。

 映画ではディカプリオとデ・ニーロが演じていることもあり、甥とおじ、甥とオセージ族の妻との関係に焦点が当たっているが、本の方は捜査官のホワイトや上司のフーヴァーにも紙数が割かれ、この事件がFBIという、近代的捜査機関の誕生に利用されたことがわかる。

 そして最大の驚きは殺人事件が解決を見る、映画的クライマックスのあとに訪れる。著者は、徹底的な調査で、この事件が特別ではなく社会を構成するほぼすべての集団が殺人システムに加担していたという歴史の暗部を探り当ててしまう。数年前に『大草原の小さな家』の作者ワイルダーの名前を冠した文学賞の賞名が変更されたのも、この本の影響があったという。

『月』辺見庸[著](KADOKAWA)

 相模原の障害者施設殺傷事件を題材にした辺見庸『月』(角川文庫)は、もの言わぬ人の思念をつづった小説をどう映像化するのだろう? という興味から映画を観た。

 小説では事件を起こす職員ではなく、入所者で、見えず話せず身動きできない「きーちゃん」が主な語り手になる。映画は語りえない者に語らせる小説家の意図ごと取り込み、正面から原作に挑んだ。

『異人たちとの夏』山田太一[著](新潮社)

 山田太一の名作『異人たちとの夏』(新潮文庫)が、現代のロンドンを舞台にした映画『異人たち』(アンドリュー・ヘイ監督)として、来春公開される。十二歳で死別した両親との再会という、これもまた「見えないものを見せる」作品だ。

[レビュアー]佐久間文子(文芸ジャーナリスト)

協力:新潮社 新潮社 週刊新潮

https://news.yahoo.co.jp/articles/13a5f6be29459f606943357f1741bdb09927a565


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