先住民族関連ニュース

先住民族関連のニュース

<室蘭胆振>広がれ体験型観光 小沢弘和

2023-12-26 | アイヌ民族関連

会員限定記事

北海道新聞2023年12月25日 09:42

 アクティビティや自然、文化体験を組み合わせた旅行「アドベンチャーツーリズム(AT)」が、西胆振で広がっている。

 昨夏には登別温泉の第一滝本館がツアーを企画販売する会社をつくり、今年11月には内航海運大手・栗林商船(東京)も登別で新会社を設立。洞爺湖周辺でも、観光ホテルがツアー販売に力を注ぐ。

 ATの市場規模は世界で70兆円とされる。9月には道内で国際イベント「ATワールドサミット」が開かれ、今後、訪日客の増加とともに日本でも大きく成長する分野とみられている。

 海外旅行先のツアーは未知との遭遇があり、旅行者にとってとても魅力的だ。記者も過去に旅先のタヒチ島で、島内を巡るツアーに参加したことがある。

 ・・・・・・

(小沢弘和)

https://www.hokkaido-np.co.jp/article/957340/


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アイヌ伝統の保存食 サケのくん製づくり 白老・ウポポイ

2023-12-26 | アイヌ民族関連

NHK12月25日 18時40分

アイヌの人たちの伝統的な保存食で「サッチェプ」と呼ばれるサケのくん製づくりが、胆振の白老町にあるウポポイで行われました。
「サッチェプ」は、塩漬けなどにしたサケを外の冷たい空気にさらして乾燥させたあと、いろりの煙でくん製にするアイヌの人たちの伝統的な保存食です。
白老町にあるアイヌ文化の発信拠点ウポポイでは、25日、11人の職員が毎年恒例となる「サッチェプ」づくりを行いました。
職員たちは、2匹を尾で縛って1組にしたサケを、屋外に用意した木の柵に次々とつるし、身が乾燥しやすいようによもぎの枝を刺して腹を開くなどして、およそ1時間かけて130匹のサケを天日干しにしました。
来年2月中旬までサケをこのまま干したあと、さらに2か月ほど室内でいろりの煙でいぶすと「サッチェプ」が完成し、▼ウポポイの調理体験や、▼「カムイノミ」と呼ばれるアイヌの人たちの儀式の供え物として使われるということです。
ウポポイの職員の新谷モレウコンレクさんは、「この伝承を途切れさせることなく、次の世代やその次の次までずっと続いていくように行っていきたい」と話していました。

https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20231225/7000063562.html


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【Academic Fantasista 2023】札幌国際情報高校にて出張講義を実施

2023-12-26 | アイヌ民族関連

北海道大学12月25日

「いま学ぶアイヌ民族の歴史:先住民研究で世界をつなぐ」アイヌ・先住民研究センター 教授 加藤博文

北海道の先住民族であるアイヌの人々の歴史を研究している加藤教授は、11月8日(水)に札幌国際情報高校で講義し、礼文島などの遺跡で発掘した道具や種子から、アイヌ民族の文化や、当時の海外との交易ルートなどがわかってきたことを解説しました。アイヌ民族のように国家を形成しない社会は世界中にあり、日本にも多様な歴史があると知ることが大事だと話しました。生徒たちは、発掘された石器や土器の実物に触れながら受講しました。

講義を受けた生徒からは「実際に土器や石器に触れて貴重な体験をした」、「世界とつながりがあったことに驚いた」とアイヌ文化の海を渡る交易にも驚いたほか、「多角的な視点で分析、探求することがとても楽しいと感じた」など、大学での研究に益々興味を深めた様子でした。

日時:2023年11月8日(水)13:20-14:10、14:20-15:10
会場:北海道札幌国際情報高等学校
参加生徒:2年生 44名

(広報・社会連携本部 広報・コミュニケーション部門)

アカデミックファンタジスタとは?

北海道大学の研究者が知の最前線を出張講義や現場体験を通して高校生などに伝える事業、「アカデミックファンタジスタ(Academic Fantasista)」。内閣府が推進する「国民との科学・技術対話」の一環として、北海道新聞社の協力のもと2012年から継続的に実施しています。今年度は北海道の高校等を対象に31名の教員が講義を実施しています。2023年度の参加教員はこちら

本サイトだけではなく、学内向け広報誌「北大時報」やFacebookでも講義レポートを随時更新していきます。合わせてぜひご覧ください。
Facebook
北大時報

https://www.hokudai.ac.jp/researchtimes/2023/12/academic-fantasista-2023-7.html


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明治時代のベンチャー セコマ会長・丸谷智保

2023-12-26 | アイヌ民族関連

日本経済新聞2023年12月25日 14:00 [会員限定記事]

明治15年(1882年)に原生林生い茂る北海道十勝野を開拓した男がいる。依田勉三。彼は大器晩成の「晩成社」を立ち上げ、勇躍開墾に分け入った。資金は彼の一族が出資した5万円、現在の価値で10億円ほど。明治版VC(ベンチャーキャピタル)だ。想像を絶する開墾の努力と苦難。やっと作物が実り光明が見え始めた時、トノサマバッタが襲来し食べつくされてしまう。

しかしその凄(すさ)まじい災禍にも耐え残ったものが...

この記事は会員限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

残り456文字

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD200WH0Q3A221C2000000/


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野田サトル「ゴールデンカムイ」が「この15年に完結したマンガ総選挙」大賞に

2023-12-26 | アイヌ民族関連

コミックナタリー2023年12月25日 12:10 

「この15年に完結したマンガ総選挙」本投票の結果が、本日12月25日に発表された。大賞には、野田サトル「ゴールデンカムイ」が輝いた。

「この15年に完結したマンガ総選挙」結果発表

「ゴールデンカムイ」はゴールドラッシュに沸いた明治後期の北海道を舞台に、アイヌが遺した莫大な埋蔵金を狙う、元軍人の“不死身の杉元”と、アイヌの少女・アシリパを軸に描く冒険活劇。2014年から2022年にかけて、週刊ヤングジャンプ(集英社)で連載され、全31巻が刊行されている。また2024年1月19日には実写映画の公開が控えている。

結果が発表されたコミックナタリーの特設ページでは、野田からの描き下ろしイラストと受賞のコメントを掲載。また1位を記念した野田のインタビューが1月19日に公開されることや、担当編集・大熊八甲氏を招いた授賞イベントが1月20日に開催されることも伝えている。授賞イベントには、応募者の中から抽選で30人を招待。応募の詳細は特設ページで確認を。

「この15年に完結したマンガ総選挙」は、ニュースサイト・コミックナタリーの15周年を記念した企画。2008年7月1日から2023年6月30日までに連載が完結したマンガ作品を対象にしたユーザー参加型のマンガ賞で、ユーザーの投票数が多かった15作品をノミネート作品として選定し、その後、本投票により大賞作品を決定した。

https://natalie.mu/comic/news/554663


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国際フェスタinとかち 2024

2023-12-26 | アイヌ民族関連

JAICA2023年12月25日

  • 日時 2024年2月10日(土・祝)
  • 10:00~15:00 会場 JICA北海道センター(帯広)
    森の交流館・十勝

    (帯広市西20条南6丁目1番地2)
    入場料
    無料 共催
    JICA北海道センター(帯広)、十勝インターナショナル協会 後援
    帯広市 協力
    外国人留学生まちづくりを考える会、札幌出入国在留管理局釧路港出張所、外国人技能実習機構札幌事務所、十勝総合振興局、とかち地域おこし協力隊ネットワーク

十勝にいながら外国を感じられる国際交流イベントを開催

冬の恒例国際交流イベント「国際フェスタ inとかち」を2024年も開催いたします。

英会話学校による子ども向け英語レッスンのほか、JICA留学生や海外協力隊経験者の話が聞けるコーナー、クイズラリー、海外旅行気分が味わえる民族衣装試着・撮影コーナーなど楽しい内容が盛りだくさんです。みなさまお誘いあわせの上、ぜひご来場ください!
※ご来場に際しての事前予約は不要です。お気軽にご来場ください。
※JICAセンター内には個室型授乳室やおむつ交換台もありますので、お気軽にご来場ください。

プログラム

※◇印:JICA北海道センター(帯広)内でのプログラム、◆印:森の交流館・十勝内でのプログラム、◇◆は両会場でのプログラムです。

◇民族衣装で写真撮影

民族衣装を身にまとい、世界の名所を背景に、各国の留学生と記念撮影!
日本にいながら世界旅行が体験できます。

◇世界と十勝のお買い物

十勝産品、アイヌ関連商品、フェアトレード商品などを販売(予定)
JICA海外協力隊経験者や地域おこし協力隊、北海道士幌高等学校による出店も予定しております。
【出展団体(予定)】
・とかち地域おこし協力隊ネットワーク(十勝総合振興局)
・北海道士幌高等学校
※出展団体・内容は決まり次第、随時更新予定
※販売品目は変更になる場合があります。

◇世界のミニコンサート

言葉の壁を越えて、様々な楽器の音色で世界とつながろう!
【演目】
10:30~ 十勝リコーダー協会
13:00~ アフリカンドラム
14:00~ 和楽(尺八、琴、ピアノ)

◇世界の話をきいてみよう

JICA海外協力隊員による体験談やJICA研修員による自国紹介クイズなどを通して、異文化体験を楽しもう!

◇多文化共生☆KARAOKE(カラオケ)大会(13:30~)

農業・建設・介護などの分野で活躍する十勝に住む技能実習や特定技能の方を対象にした初のカラオケ大会!一緒に口ずさみながら歌を通して交流しよう。
歌うことが大好きな実習生や特定技能の皆さん、あなたのエントリーをお待ちしております。
お申込みはこちら

◇外国人無料相談会(がいこくじん むりょうそうだんかい)

※やさしい日本語(にほんご)で書(か)いています。
札幌出入国在留管理局釧路港出張所(さっぽろ しゅつにゅうこく ざいりゅうかんりきょく)による、十勝(とかち)に住(す)む外国人(がいこくじん)のための相談会(そうだんかい)です。
説明会(せつめいかい)も実施(じっし)します。無料(むりょう)で参加(さんか)できます。
※外国人(がいこくじん)の関係者(かんけいしゃ)の方(かた)でも相談(そうだん)できます。
※翻訳機(ほんやくき)により外国語(がいこくご)でも相談(そうだん)できます。
※他(ほか)の人(ひと)に聞(き)かれない部屋(へや)で相談(そうだん)することもできます。

◇◆クイズラリー

会場各所でクイズに答えてクロスワードを完成させよう!正解した方には景品もご用意しています。

◆英語で遊ぼう!

英会話学校(1,2回目)、帯広市国際交流員(3回目)による子ども向け英語レッスンです。
〇1回目/10:20~11:00 未就学児対象 (定員30組)
〇2回目/11:20~12:00 未就学児対象 (定員30組)
〇3回目/13:40~14:20 年中~小学校中学年対象 (定員30組)

※申込期間/1月10日(火)9:00~2月8日(水)17:00(定員に達し次第受付終了となります)
※保護者同伴でお申し込み・ご来場ください。
※事前予約制です。当日の申し込みはできません。
事前予約はこちら

◆世界の料理紹介

普段なかなか食べることができない4か国(予定)の外国料理を紹介します。
11:00からは試食もできます。
(数量限定、10:00より整理券を配布する予定です)

◆ミニ・インターナショナルトーク

帯広市国際交流員による自国紹介。簡単なワークショップも予定しています。

◆その他

森の交流館・十勝では国際交流活動展示、世界の子どもたちのアート展なども開催しております。

会場地図

※駐車場に限りがあります。できる限り公共交通機関や車の乗り合わせでお越しください。

会場図

※会場図は変更となることがあります。

  • お問い合わせ:
    十勝インターナショナル協会(森の交流館・十勝内)電話:0155-34-0122 

  • JICA北海道センター(帯広)電話:0155-35-1210

https://www.jica.go.jp/domestic/obihiro/information/event/1525855_23958.html


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文化庁令和6年度予算は1062億円に。文化財の修理保存や国立文化施設の機能強化に焦点か

2023-12-26 | アイヌ民族関連

美術手帖12/25(月) 19:17配信

 文化庁の令和6年度の当初予算額(案)が12月22日に閣議決定された。6年度予算は1062億円となり、令和5年度に比べ1億円(0.1パーセント)の増額となる。今回の予算で注目ポイントをまとめた。

「継承の危機に瀕する文化財保護の緊急強化」(445億円)

 今回冒頭に挙げられているのは、「文化財修理・整備・活用、防災対策等」(256億円)だ。喫緊の課題となっている、継承の危機に瀕する国宝・重要文化財等の修理・整備の緊急強化、防火・耐震対策による強靱化がよりいっそう推進される。

 また、令和4年度より実施されている文化財の持続可能な保存・継承体制の構築を図るための5か年計画「文化財の匠プロジェクト」もさらなる充実を図り、修理人材の養成や用具・原材料の確保も推進されるという。

12月25日には、京都に設置予定の「国立文化財修理センター(仮称)」の基本構想も発表された。

 ほかにも、「無形文化財の伝承・公開」「文化財保存活用地域計画の策定支援」「地域伝統行事・民俗芸能等継承振興事業」を含む「多様な文化遺産の公開活用の促進等」には188億円が当てられる。

 「グローバル展開やデジタル化などによる文化芸術活動の充実」(219億円)

 2023年度同様実施されるのは、「文化芸術のグローバル展開等による創造的循環の創出」(16億円)や、「舞台芸術等総合支援事業」(94億円)、「文化芸術による創造性豊かな子供の育成」(85億円)などが挙げられる。また、マンガ・アニメ・ゲームなどといった「メディア芸術」の振興・発展を図る「メディア芸術の創造・発信プラン」(9億円)も注目ポイントだ。

 2024年度に新たに予算が確保されるのは、「現代的課題に対応した劇場・音楽堂等の総合的な機能強化の推進」(27億円)。これは後述する「文化振興を支える拠点等の整備・充実」にも準ずるが、世界に向けた創造発信と地域における文化拠点としての役割強化を目指すものとなる。

文化振興を支える拠点等の整備・充実(359億円)

 今年大きな話題となった国立科学博物館が9億円以上を集めたクラウドファンディング「地球の宝を守れ|国立科学博物館500万点のコレクションを次世代へ」

の影響もあり、「国立文化施設の機能強化」(独立行政法人国立科学博物館、独立行政法人国立美術館、独立行政法人国立文化財機構、独立行政法人日本芸術文化振興会)には大部分の323億円が当てられる。さらに、全国の博物館・美術館などといった文化拠点の「機能強化・文化観光推進プラン」には18億円が、そして国語の改善と普及、消滅危機にあるアイヌ語や奄美・沖縄等の方言の保存・継承環境を整備・研究する「国語施策の充実」には2億円が当てられる予定だ。

https://news.yahoo.co.jp/articles/9036ed8abcf19a870201156e49410b0c6214a676


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テレビやラジオでは流れない歌だけど… 反戦、反核、反原発を貫く在日コリアンミュージシャン朴保の生き様

2023-12-26 | アイヌ民族関連

東京新聞2023年12月25日 12時00分

 韓国人の父と日本人の母との間に生まれた在日コリアン2世のミュージシャン、朴保(パク・ポー、68)が来年、デビュー45周年を迎える。ロックをはじめ米国で身につけたレゲエ、ソウル、ブルース、そして韓国の民族音楽と幅広い音楽性を持ちながら、「反体制」を掲げるメッセージ性の強い彼の歌がテレビやラジオに流れることはない。それでも歌いたい歌を歌い続ける朴保とは何者なのか。(佐藤敦、文中敬称略)

ギターを手に熱唱する朴保=東京都台東区の映画喫茶「泪橋ホール」で

 東京都台東区の映画喫茶「泪橋(なみだばし)ホール」で11月にあった朴保のライブ。タイトルは「Debris(デブリ=原子炉内に残る溶けた核燃料)は落ちたまま~海洋放出即刻中止!」だった。

 タイトル曲「Debris」は、東京電力福島第1原発の事故処理は進まないのに、おエライさんは今も原発マネーをむさぼる、と揶揄(やゆ)した歌だ。20人ほどの観客の前で友人のギタリストと2人で2時間を歌い上げた。演奏の後は客と酒を飲み、政治と世相を語る。そんなライブを日本、そして韓国で年間30~50本こなす。

 反戦、反核、そして反原発。ロックミュージシャンとして朴保が訴え続けるテーマだ。

◆デビュー後、ルーツの韓国名に「先駆者になる」

 生まれは山梨県。国籍は日本。10歳でドラムをたたき始め、1979年に韓国のヒット曲「ウエブロ(なぜ呼ぶの)」をカバーしてメジャーデビューした。そのときの芸名は、母の名字を名乗る「広瀬友剛」。翌年の韓国訪問を機に父の名字の「朴」と改名する。

 「ウエブロ」は日本ではまったく売れなかった。

 「そういう時代だったんです。日本で活動する在日ミュージシャンは多かったけど、韓国や朝鮮を下に見る日本社会では本名を名乗れない。認めますよ、そんな世界があることは。でも未来を考えると、ルーツの韓国名で活動する人がもっといてもいいと思った。民族が抑圧されているなら僕が先駆者になると」

◆いばらの道で人生のテーマと出会う

 所属する事務所は「そんな名前で売れるわけがない」と激怒し、最後はさじを投げた。仕事は見事になくなった。「それからは、いばらの道でしたね」

 朴保の名で音楽活動を始めると、さまざまな運動体の人から連絡が来るようになった。反差別の運動だったり、環境保護の運動だったり。「反核」へと傾くのは、81年に丸木美術館(埼玉県東松山市)でフリーコンサートを開き、画家の丸木位里・俊夫妻と出会ったのがきっかけだった。大作「原爆の図」を知り、そこで生まれた核廃絶への思いが、朴保の人生のテーマとなる。

◆渡米して気付いた「アーティストは民衆の代弁者」

 美術館で知り合ったドイツ人アーティストから「あなたの歌は米国でなら受け入れられる」と勧められ、83年に渡米。母の危篤の報を受け、92年に緊急帰国するまでの約10年間、ストリートミュージシャンをしながら、いくつものバンドを組み、ネーティブアメリカンの権利運動(AIM)に加わり、ネバダの核実験場跡で平和コンサートに参加。「HIROSHIMA Day Concert」も開いた。

 「差別や平和のことを音楽にして声を上げようと思ったのは、やはり米国の影響が大きいと思いますね。アーティストは民衆の代弁者ですから、米国では伝えるメッセージがなければ相手にしてもらえません」

 帰国後も朴保は反戦、反核、反原発を歌い続けた。

◆「黙っていても世の中は変わらないから」

 朴保にとって反体制とは何か。「あらがいの歌、ということですかね」と答えた。「今の政治体制をいいと思って音楽をやってるやつがいたらバカでしょう。ロックは生き様、主張ですからそもそも反体制です。でなけりゃ、意味がない」

 さらに言う。「日本人は沈黙の民衆です。マスクをしてスマホばかり見ている。声を上げない習慣が身についた。反体制だと生きにくいのはその通りですよ。仕事も限られる。原発に反対すると貸してくれない会場がある。おかしいんですよ、この国が。でも黙っていても世の中は変わらないから歌い続けるしかない」

◆視線はいつも虐げられた人々に

 朴保は実力派のミュージシャンだ。これまで多くのバンドを組みながら14枚のアルバムを発表。映画や演劇に多くの楽曲を提供し、映画「夜を賭けて」(金守珍監督、主演・山本太郎)では音楽監督を務めた。

 作家の梁石日(ヤンソギル)は「60年代のボブ・ディランを思わせる反権力的な意識を込めて歌うのは現在、朴保をおいて他にいない」とメッセージを寄せている。繊細なラブソングも多いが、視線はいつも沖縄、アイヌ民族、戦争に人生を奪われた朝鮮・韓国人ら虐げられた人々に向けられている。

◆戦後補償のない在日コリアン「まだ戦争は終わっていない」

 昨年発表したアルバム「雨に咲く花」に「傷痍(しょうい)軍人の歌」という曲がある。代表作のひとつだ。「傷痍軍人、従軍慰安婦、松代大本営」というフレーズが何度も繰り返される。いずれも先の大戦の際、日本が残した傷痕の象徴だ。

 戦後、日本人の軍人・軍属には恩給や障害年金が支給されてきた。だが日本軍に徴用され「皇国国民」として戦争に駆り出された在日コリアンたちは、サンフランシスコ講和条約の発効で日本国籍を失い、補償の対象から外された。「日本にとって彼らは何だったのか。手足を失い、目を失っても、何の補償もない。これはおかしい、まだ戦争は終わっていない。そういう歌なんです」

◆「勇気を与えることならできると思う」

 2013年に発表したソロアルバム「IMAKOSO」に収められた「今こそ流れを変える時」は、朴保の静かな慟哭(どうこく)の歌だ。

 「咽喉(のど)を枯らし叫び続けた言葉は 今 空(むな)しくも風に舞う」

 その2年前、福島第1原発はメルトダウンを起こした。「反原発を歌う自分の歌は届かなかった」という痛切な思いが歌詞になる。次の世代に、こんな世界を引き渡すわけにはいかない。「暗闇の中を光を探す人」たちに「核よ さようなら」「今こそ流れを変える時」と呼びかける。

 こうして歌い続けることが「大人の責任、ロッカーの責任」だと朴保は言う。「歌だけで世の中は変わらないでしょう。ただ誰かが何かを変えたいと思ったときに、勇気を与えることならできると思う」

◆「来年は憲法をやりますよ、戦争を放棄した9条は宝」

 デビュー直後の改名騒動以来、朴保は大きな事務所に所属したことがない。現在の「オフィスPoe」はマネジャーの池葦華(チィウィーファ)との二人三脚の運営だ。池は「会社組織にもしないまま、ここまできてしまった」と苦笑するが、それも歌いたい歌を歌うために選んだ道なのかもしれない。

 「来年は憲法をやりますよ」と朴保が言う。「自民党が変えたいのは9条でしょ。戦争を放棄した9条は宝。とんでもない話です。でも国民も、そのありがたさを感じなくなっている」。デビュー45周年の新しい年は「憲法いいね!の会」が主催する「講演とライブの集い/非戦の見晴らし台から」(1月28日)に始まる。

 朴保には「Constitution No.9(憲法9条)」という曲がある。「人を殺すなんてまっぴらだ 自分も死ぬなんてとんでもない」と歌い、怒りの叫びで終わる。「そうやって騙(だま)されてきたんだぜ いつまでそんな奴(やつ)らに舵(かじ)を取らせているんだ」

◆デスクメモ

 今こそ流れを変える時。文中に登場する曲名の一つだ。そう感じる時期が長らく続く一方、ここに来て局面が動きそうな状況も。政治とカネの問題を巡り、権力の中枢も素知らぬ顔をできなくなってきた。悪弊をただす空気が広まる今、積み重なった問題の数々も改めて世に問いたい。(榊)

https://www.tokyo-np.co.jp/article/297975


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2024年は、1874年の台湾出兵から…

2023-12-26 | 先住民族関連

八重山毎日新聞2023年12月25日 不連続線 

 2024年は、1874年の台湾出兵から150年の節目だ。この3年前、台湾島の南東海岸に漂着した琉球人が殺害され、これを理由に台湾出兵が行われる。後の琉球処分につながる重要な事件だ▼初夏の6月、この海岸付近の村を訪ねた。台湾島のなかでも特に自然豊かな場所だが、思いがけないことに、軍が演習中だった。この演習のことはいずれ記事で読者のみなさんにお伝えしようと思う▼台湾紙によると、この演習について、付近の先住民族(原住民族)が「私たちの伝統的な領域で訓練を行うのに、事前の告知が不十分」と訴えていた。演習に反対しているのではなく、冷淡に扱われたように感じたというのだ▼伝統的な領域とは、祭事や聖地、集落・狩猟・農耕など先住民の文化や伝統的な習慣に基づいて囲われる公共的な土地のこと。2018年6月施行の原住民族基本法により、伝統的な領域で土地の開発や学術研究などを行う場合には、地元の先住民の同意などが必要と定められた▼台湾は多民族・多文化の国だ。衝突や対立を経ながら仕組みを築き、多様性を保ってきた▼かつて琉球人が漂着した海岸は、少し無理をすれば、台北から新幹線やローカルバスを利用して日帰りできる。台湾は近く、そして遠いと実感すること請け合いである。(松田良孝)

https://www.y-mainichi.co.jp/news/40132


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「KYOTOGRAPHIE 2024」のテーマは「SOURCE」。写真を通じてオルタナティヴな未来の在り方を示す

2023-12-26 | 先住民族関連

美術手帖12/25(月) 10:25配信

Claudia Andujar, Collective house near the Catholic mission on the Catrimani River, Roraima state, 1976.

 2013年より毎年、京都市内各所を舞台に開催されている写真に特化した芸術祭「KYOTOGRAPHIE 

京都国際写真祭」。その第12回目を迎える2024年のテーマが「SOURCE」に決定した。

 今回のテーマについてKYOTOGRAPHIEの共同設立者/共同代表のルシール・レイボーズと仲西祐介は、次のようなメッセージを寄せている。

 源は初めであり、始まりであり、すべてのものの起源である。それは生命の創造であり、衝突が起きたり自由を手に入れたりする場所であり、何かが発見され、生み出され、創造される空間である。人生の分岐点にかかわらず、私たちは岐路に立っており、原点に戻るか、新しいことを始めるかの間で揺れ動いている。生命、愛、痛みのシンフォニーが響き渡るのは、この神聖な空間からなのだ。その源で、無数の機会が手招きし、何か深い新しいものを約束してくれる(プレスリリースより一部抜粋)。

 同写真祭は12の会場で13の展覧会を開催予定。生命、コミュニティ、先住民族、格差社会、地球温暖化など、10ヶ国13組のアーティストらがオルタナティヴな未来を提示するものとなる。

 参加アーティストは、クラウディア・アンドゥハル、ヴィヴィアン・サッセン、ティエリー・アルドゥアン、ルシアン・クレルグ、川田喜久治、柏田テツヲ、ジェームス・モリソン、Iranian 

citizen and photographers、ヨリヤス(ヤシン・アラウイ・イズマイーリ)、川内倫子、潮田登久子、ジャイシング・ナゲシュワラン。

 例えば、スイス出身でブラジルにて写真家のキャリアをスタートさせたクラウディア・アンドゥハル(1931~)は、京都文化博物館 

別館で展示を行う。ブラジルのアマゾンに住む最大の先住民グループのひとつ、ヤノマミ族をテーマに、シャーマンであり人々の代弁者であるダビ・コペナワの言葉や、ヤノマミ族のアーティストたちによるドローイングや映像作品を展示。これらを通じて彼らのストーリーが語られるとともに、先住民族以外の脅威や暴力から守るための、ヤノマミ族の世界観や政治も紹介される。キュレーターはチアゴ・ノゲイ、セノグラファーはおおうちおさむ。

 京都市京セラ美術館 本館で展示を行う日本の写真家・川田喜久治(1933~)は、1955年に新潮社へ入社。退社後は奈良原一高、東松照明

、細江英公、佐藤明、丹野章らとともに写真エージェンシー「VIVO」(1959~61)を設立した。敗戦という歴史の記憶を記号化するメタファーに満ちた作品《地図》(1965)を発表して以来、現在に至るまでつねに予兆に満ちた硬質で新しいイメージを表現し続けている。近年はインスタグラムにて写真への思考を巡らせながら、日々作品を投稿している。キュレーターは高橋朗、セノグラファーはおおうちおさむ。

 2022年9月13日、当時22歳であったマフサ(ジナ)・アミニがヒジャブの着用を巡って逮捕・勾留中に死亡した事件をきっかけに、街頭では市民による抗議活動が行われた。フランスの新聞ル・モンド紙が2022年の蜂起を報道するために製作した写真集『You 

don’t die』(2023)は、匿名のイラン市民ら(Iranian citizen and 

photographers)が撮影し、SNSに投稿された写真や映像を引用して製作されている。今回は、マリー・スマラ、ガザル・ゴルシリによってキュレーションされた「You 

Don’t Die─The Story of Yet Another Iranian Uprising」で、その写真を見ることができる。

 ほかにも、これから活躍が期待される写真家やキュレーターの発掘と支援を目的に2013年より実施されているサテライトイベント「KG+」も京都市内各所で実施予定のため、あわせて足を運んでみてほしい。

https://news.yahoo.co.jp/articles/106c7c1f94f80b179551df7c74f8c37d69efc7ea


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米エネルギー省、2023年のクリーンエネルギー利用の主な取り組み紹介(米国)

2023-12-26 | 先住民族関連

ジェトロ2023年12月25日

米国エネルギー省(DOE)は12月21日、バイデン政権と同省による2023年のクリーンエネルギーに係る主な取り組みを発表した。主な内容は次のとおり。

(1)クリーン水素ハブの立ち上げ(2023年10月16日記事参照

(2)送電網への歴史的な投資

  • 以下のプロジェクトをはじめ、送電網に関して約80億ドルを投資。
  • グリッド・レジリエンス・イノベーション・パートナーシップを通じ、送電網の現代化と強化のために、44州の58プロジェクトに対して35億ドルの投資を発表
  • 3.5ギガワット(GW)の送電容量の増量や、1万3,000人を超える直接・間接雇用を創出することを目的とした送電促進プログラムに、13億ドルの送電投資を実施
  • 送電網の回復力を高めるべく、州、部族、準州・地域に対して、補助金として7億5,000万ドル強を投資
  • 水力発電のインセンティブとして3,700万ドルを投資

(3)全米電気自動車(EV)充電ネットワークの構築

(4)米国民のコスト削減

(5)環境正義の重視

  • インフレ削減法(IRA)のクリーン電力への投資に対する税額控除(48e)で、財務省と内国歳入庁(IRS)と共同で規定した低所得地域ボーナス・クレジット・プログラムの受け付けを開始し、十分なサービスを受けられていない地域のコスト削減に尽力
  • 先住民族のコミュニティーに7,500万ドル以上を投資し、これらのコミュニティーでのクリーンエネルギー技術のアクセス拡大、エネルギーコストの削減、部族のエネルギー主権(注2)の改善に貢献

(6)次世代のクリーンエネルギー人材の育成

  • 過小評価されているコミュニティーで太陽光エネルギー人材を育成するべく、12の研修パッケージに1,350万ドルを投資
  • 住宅の脱炭素化を推進できる専門家を養成するべく、州の住宅エネルギー効率化トレーニングプログラムを支援(1億5,000万ドル)するほか、商業用・住宅用建築物のエネルギー監査を行う人材を訓練するエネルギー監査員プログラムを支援(4,000万ドル)

(7)国内製造とサプライチェーンの強化

  • EVやバッテリーなどへの投資として55億ドル、先端技術車両製造(ATVM)ローンプログラム(2022年12月13日記事参照)へのコミットメントに130億ドル、全国15カ所で行われる電気ヒートポンプの製造加速への投資として1億6,900万ドル、太陽光発電、風力発電、自動車の国内製造の拡大に3億9,000万ドル以上を投資

このほか、国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)で発表された、プエルトリコの脆弱(ぜいじゃく)性の高い家庭(注3)へのコミットメント強化(2023年12月15日記事参照)や科学技術面での取り組みの進展、DOEの所有地での取り組みなども紹介されている。

(注1)12月にオハイオ州とニューヨーク州で初めて開設された。

(注2)エネルギー関連の権利を市民やコミュニティーが取り戻すこと。

(注3)超低所得者世帯の割合が高く、頻繁かつ長期にわたる停電が発生する地域に住んでいるか、移動に電動車いすを使用したり人工透析器を使用したりしているなど障害を持つ家庭。

(加藤翔一)

(米国)

ビジネス短信 218f1764b0fc0db3

https://www.jetro.go.jp/biznews/2023/12/218f1764b0fc0db3.html


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気候正義への取り組みは必要不可欠だ

2023-12-26 | アイヌ民族関連

アラブニュース25 Dec 2023 09:12:37 GMT9

Short Url: https://arab.news/jzst7

気候変動の影響は世界に均等に分散されているのではなく、往々にして気候変動の要因としては最も規模の小さい脆弱なコミュニティがその矢面に立たされている。だからこそ、気候正義の確実な実現が必要不可欠である。

気候変動による世界の気温上昇に伴い、熱波の頻度と強度が増している。

だが世界の中でも特定の地域は、気温上昇の影響をより大きく受けやすい。たとえばサハラ以南のアフリカの多くの国が、気温上昇、降水パターンの変化、干ばつの頻度増加による影響に対して脆弱だ。こうした要素は水の利用可能量、農業、食料安全保障に影響を及ぼしている。

中東と北アフリカも気温上昇、水不足、熱波の増加に見舞われている。こうした要因が、水資源、農業、人の健康といった課題を深刻化させている。キプロス研究所気候・大気研究センターおよびマックス・プランク化学研究所による2022年の報告書によると、乾燥地帯および半乾燥地帯に属する中東・北アフリカ地域の気温は世界の他の地域のほぼ2倍上昇しているという。だからこそイラク、シリア、ヨルダン、イランといった国で大規模な砂漠化が起きているのだ。既にこの地域の水不足は、世界で最も深刻化している。

インドやバングラデシュを含む南アジアも、気温上昇、モンスーンのパターンの変化、異常気象の頻度増加に見舞われており、農業、水資源、数百万人の暮らしにとりわけ影響が及んでいく可能性は高い。

こうした急速な温暖化は海の氷の融解、永久凍土の喪失、先住民および沿岸コミュニティの生態系への影響といった事態を引き起こしている。太平洋やカリブ海などに位置する海抜の低い島国は、海面上昇と激しい熱帯性低気圧に対して特に脆弱だ。

現代の気候変動の主要因は、地球の大気における温室効果ガスの濃度増加だ。アフリカは二酸化炭素排出量が最も少ない大陸だが、不釣り合いなほどに気候変動の影響を受けている。アフリカは世界人口の約18.2%(約15億人)が暮らす世界で2番目に人口の多い大陸だが、世界の二酸化炭素排出量に占める割合はわずか4%だ。比較すると、世界人口のわずか7.5%に過ぎない北米は、世界の二酸化炭素排出量の約18%を占めているのである。

米国と欧州は、現在世界の二酸化炭素排出量のほぼ3分の1を占めている。世界人口の約5%である米国だけでも、世界の二酸化炭素排出量の14%を占めている。

人口1人あたりの二酸化炭素排出量で言えば、マリ、ソマリア、エチオピア、ニジェール、コンゴ民主共和国といったアフリカの国々が気候変動に対して与えている影響は最も小さい。アフリカは二酸化炭素排出量が最も少ない大陸であるにもかかわらず、地球温暖化の影響を最も大きく受けているのである。たとえば、モザンビーク、ジンバブエ、マラウイ、南スーダン、ニジェールは、2019年に気候変動による悪影響を最も大きく受けた上位10カ国に含まれている。

私たちは、先住民、周縁化されたコミュニティ、気候変動に最も大きな影響を受ける人々の権利を尊重し、保護する気候政策を確立すべきである。

マジッド・ラフィザデー博士

だからこそ、気候正義への取り組みが必要不可欠なのである。気候正義を実現させるためには、脆弱なコミュニティが不釣り合いな気候変動の影響を受けていることに対応し、歴史的責任を認め、気候アクションにおける公平・公正を促すための包括的かつ協力的なアプローチが必要だ。

気候正義実現への取り組みとして国際社会が採用しうる戦略としては、過去および現在においてとりわけ温室効果ガス排出量が多い国や地域での排出量削減に向けた政策や実践の導入が挙げられるだろう。

第2に、国際社会はコミュニティ、とりわけ脆弱なコミュニティが現在の気候変動の影響に対応できるよう、適応戦略の開発と導入を行わなければならない。

これには気候変動への適応および影響緩和、持続可能性実践のための教育およびトレーニング、気候科学や実践的な適応戦略の導入などに関して、先進国が開発途上国に金融支援や技術提供を行うことも含まれる。

金融支援には、異常気象、海面上昇、その他気候関連の課題に対する復元力の強化に繋がる、開発途上国のインフラへの投資も求められる。脆弱なコミュニティの復元力強化や低炭素経済への移行を支援する気候ファンドや仕組みを作ることで、これは実現できるだろう。国連のアントニオ・グテーレス事務総長はドバイで行われた国連気候変動会議COP28にて、「気候正義の実現はあまりにも遅れています。開発途上国は、自分たちの責任ではない災害によって被害を受けています。法外な借入コストが彼らの気候アクション計画を阻んでいます。支援はあまりにも乏しく、遅れに遅れています。先進国は、2025年までに年間の適応予算を2倍の400億ドルに引き上げるという公約をどのように実行するのか、公約している1000億ドルの資金提供をどのように行うのか明確に示さなければなりません」と述べた。

こうしたファンドは、地域コミュニティ、とりわけ開発途上国が気候アクション関連の意思決定プロセスに参加するためのキャパシティ確立に活用できるだろう。

最後に、先進国は再生可能・持続可能エネルギーへの移行と化石燃料依存の縮小を促進すべきだ。これには各産業、運輸、建築物におけるエネルギー効率施策の推進が含まれる。

結論として、私たちは、先住民、周縁化されたコミュニティ、気候変動に最も大きな影響を受ける人々の権利を尊重し、保護する気候政策を確立すべきである。国際社会は気候正義を通じ、公正なソリューションを推進し、周縁化され影響を受けているコミュニティの権利を重視し、気候変動にとりわけ大きな影響を与えている者たちにしっかり責任を取らせることで、気候変動の不平等な分散と影響に取り組んでいくことを模索すべきだ。

  • マジッド・ラフィザデー博士はハーバード大学で教育を受けた、イラン系米国人の政治学者。

https://www.arabnews.jp/article/no-category/article_107876/


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2023年に注目を集めた「ビジネスと人権」、その最前線で起きている新しい議論

2023-12-26 | 先住民族関連

JBPress2023.12.25(月)玉井 仁和子

気候変動、AIの台頭などから生じる新たな人権問題に企業はどう向き合うべきか

 2023年11月27日から29日にかけて、ビジネスにおける人権尊重の取り組みについて議論する最大規模の国際会議「国連ビジネスと人権フォーラム」がスイス・ジュネーブで開催された。

 本フォーラムは、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」(以下「指導原則」と記載)が採択された2011年以降、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)を主催として毎年開催されている。企業の取り組みが急務となっているビジネスと人権。最前線で起きている議論をレポートする。

(玉井仁和子:オウルズコンサルティンググループ コンサルタント)

 今年は世界人権宣言の採択から75周年となる節目の年にあたる。第12回目である今年のテーマは「義務、責任、救済措置の実践における効果的な変革(Towards effective change in implementing obligations, responsibilities and remedies)」とされ、指導原則の採択以降の「ビジネスと人権」分野における実践の方向性と今後の期待について、合計39個のセッションが開催された。

 参加人数は現地参加とオンライン合わせて約4000人(昨年比1.6倍)。ビジネスセクターとソーシャルセクターからの参加者がそれぞれ30%を占めた。

「指導原則」の先にある、ライツホルダーを中心に据えた人権対応

 2023年も激動の一年であったが、本フォーラムでは、世界が現在直面する課題に対して「ビジネスと人権」の側面から多角的な議論がなされた。

 初日の開会セッションでは、ヴォルカ―・ターク国連人権高等弁務官が、現在世界中で起きている紛争、気候危機、AIを含むデジタル技術の革新による人権への影響について強調し、より多くの企業や市民団体の対応が不可欠だとした。

 また、今年8月に調査団として訪日した国連「ビジネスと人権に関する作業部会」のダミロラ・オラウィ議長は、指導原則に基づいた実践の重要性を述べた。「ビジネスと人権」への対応が形骸化してはならないという意図だ。

 フォーラム全体を通じて、指導原則は「目指すべき天井」ではなく、すべての取り組みの「ベースライン」であるという点が繰り返し伝えられ、権利保持者(ライツホルダー)を中心に据えた企業の「ステークホルダーエンゲージメント」の重要性が強調された。

 ステークホルダーエンゲージメントとは、サービスやプロダクトを通して企業の活動に関わる利害関係者の意見や関心事を自社のガバナンスや意思決定に反映させるプロセスのことで、近年、大きく注目を集めている。

 また、全体的にグローバルサウスのライツホルダーや有識者のスピーカーも目立ち、多国籍企業の人権への取り組みに先住民を含む「グローバルサウスの視点」を効果的に含めるための議論がなされた点も特徴に挙げられる。

 その中でも最注目のアジェンダは、気候変動により引き起こされる人権リスクといっても過言ではないだろう。関連するセッションは6つ開催された。

「環境」問題は「人権」問題という世界の共通認識

 気象災害による人々の生活への悪影響の深刻さが増す近年、「気候変動への対策を怠ることは人権に深刻な影響が及ぼす」という考え方はもはや通説となっている。

 国連開発計画(UNDP)は、2020年に「安全を脅かされた」ために移住を余儀なくされた4050万人のうち、約7割が気象災害(荒天、洪水、山火事等)により移住を強いられたと報告した。その多くは途上国等の貧困層である。

 世界の1割に満たない富裕層が温室効果ガスの半分以上を排出しているにもかかわらず、排出量の少ない貧困層がその生活に欠かせない食糧や住居に被害を受けているという不平等な構造は、国際的な人権問題となっているのだ。

 このような状況において、2022年7月、国連総会で「クリーンで健康、かつ持続可能な環境へのアクセスは普遍的人権である」と宣言した決議が初めて採択された。

「アフリカのCOP」と呼ばれたCOP27でも、気候変動に脆弱な国が被る気候変動リスクに注目が集まり、損失と損害(ロス&ダメージ)が大きなテーマとなった。今年開催のCOP28では、初日に損失と損害の基金の運用に関する議案が採択されたことは注目に値する。

 今回のフォーラムで気候変動に関連して引き起こされる人権リスクに注目が集まったのも、このような背景によるものだろう。

 現地では、「クリーンで健康、かつ持続可能な環境へのアクセスの権利」をすべての人が享受できるようになるためには、企業によるステークホルダーエンゲージメントと救済へのアクセスの確保が不可欠であると、複数の有識者が議論の中で述べた。

 例えば、UNDPのリビオ・サランドレア氏は、「環境への影響は国境により区切ることができないため、国境によって制限されない形で、企業はライツホルダーとのエンゲージメントを実施することが重要である」と語った。

 また、効果的な救済メカニズムが機能するためには、国家の司法レベルでの苦情処理メカニズムと企業による取り組みの必要性も強調された。

世界最大の洋上風力事業者が直面する環境と人権の両立

 気候正義の文脈においては、再生可能エネルギーへの移行に伴う人権リスクと「公正な移行(Just Transition)」に焦点があてられた。

 再生可能エネルギー技術には銅、コバルト、ニッケル、リチウムなどの鉱物が不可欠だが、その採掘の現場では劣悪な環境下での強制労働や児童労働、採掘現場の周辺地域の汚染による地域住民の健康への悪影響など、様々な人権リスクが指摘されている。

 こういった「環境立てれば人権立たず」の状況を防ぐために、企業が気候変動対策として実施する環境デューディリジェンスに人権の観点を組み込む必要性が説かれた。

 その中で、世界最大の洋上風力発電事業者オーステッドが公正な移行に関するセッションに登壇したことは注目に値する。再生可能エネルギーで世界をリードするオーステッドであるが、そのバリューチェーンにおける人権侵害の可能性についての議論がなされたのだ。

 洋上風力技術においてニッケルは不可欠な原材料となっているが、埋蔵量や生産量は途上国に偏在している。その中でもインドネシアは世界の埋蔵量のうちの2割、生産量では半数近くを占めるニッケル大国であり、採掘の過程で、先住民コミュニティの破壊などの深刻な人権侵害が発生しているとの主張がライツホルダーの代表者から語られた。

 オーステッド自身はインドネシアでニッケルを直接採掘しているわけではない。しかし、サプライチェーンに連なる人権リスクとして認識し、鉱物採掘会社と連携した対応が必要であるということは、オーステッドおよびライツホルダー当事者団体の共通見解であった。

 指導原則は、自社が直接的に引き起こす人権問題のみならず、サプライチェーンで間接的に起こる人権問題への対応を求めている。まさに、オーステッドの事例は、気候変動対応が引き起こす人権リスクに関わるものであり、「環境立てれば人権立たず」にどう対応するかを問いかけるものであった。

急速な生成AIの発展がもたらす人権リスク

 気候変動と同様にフォーラムで注目されたのは、AI技術がもたらす人権リスクだ。

 ChatGPTが急速に広まった今年、生成AIの革新的な発展による様々な人権リスクが指摘されている。

 例えば、偏重したデータセットに基づいてAIが下した判断が人種や性別による差別を助長してしまうリスク(歴史的な社会バイアスに起因するケースが多い)や、AI開発時のインプットデータを取得する際に個人のプライバシーを侵害するリスクなどだ。

 一方、AIに対する包括的なガバナンスの枠組の議論も急ピッチで進められている。G7各国が「広島AIプロセス」で生成AIの活用・規制に関する共通ルールの作成を目指している他、欧州ではAIの用途やリスクに応じた管理等を罰則付きで義務化する「欧州AI規則案」の策定が進められている。

 本フォーラムでも、生成AIによる差別やプライバシー侵害等の人権リスクの危険性について、複数のセッションで議論された。

 特にAI開発時点のデータインプットが一部の欧米諸国の言語に偏っていることで、欧米諸国の価値観に従った政治的・社会的なバイアスが強化され、デジタルプラットフォーム上でグローバルサウスがより脆弱な立場に置かれるリスクが指摘されたことは注目に値する。

 グーグルの人権グローバルヘッドのアレクサンドリア・ウォルデン氏は、AI開発者・技術提供者の立場から、AI技術の管理方針である「Google AI Principles」を紹介。技術開発の前提に人権尊重を置き、人権デューディリジェンスを継続的に行う重要性を強調した。

 また、今後業界全体で指導原則に基づいたAIの開発、提供を実現するために、政府や国連等による企業責任の明確化や管理ガイドラインの策定を求めた。

AIについて示された人権尊重の方向性

 テクノロジー業界に特化したOHCHRのチームであるB-Tech Projectは、生成AIに対するガバナンスの枠組の検討が複数同時並行で進んでいることを評価する一方で、その多くが指導原則に基づく人権の観点が欠けている点について警鐘を鳴らした。

 そのうえで、このフォーラムに合わせての生成AIの開発、展開、利用に関連する人権リスクのタクソノミー(分類法)の案を発表した。

 タクソノミーは、生成AIのバリューチェーンにおいて、「誰により、誰の、どのような権利が侵害される可能性があるか」について整理するものだ。今後この分類を精緻化することで、企業が生成AIによる人権リスクを網羅的に把握し、人権デューディリジェンスを実行しやすくなることが期待されている。

【参考資料】
Taxonomy of Human Rights Risks Connected to Generative AI(B-Tech Project)

 一方で、参加者からは人権に関するこのような分類法やフレームワークが乱立していることに対する指摘もあり、企業による実践が現実的となるようフレームワークの一貫性を担保するよう求める声が上がった。

各国のAIに対する法整備や規制強化の潮流に対して、AI開発者から「イノベーションを阻害する」との懸念が出ている点についても触れられたが、AI技術のバリューチェーン全体に対する「責任あるイノベーション」が前提となるべきであるとのメッセージも示された。

 コントロールできない速さでAI技術が発展する中、本フォーラムでは改めて人権尊重を主軸に置いた規制の重要性が強調された形だ。

フォーカスがあてられた日本の外国人技能実習生制度

 フォーラムでは、移民労働者に関するセッションも複数実施された。

 一般的に脆弱な立場に置かれる移民労働者は、就労先で劣悪な環境での長時間労働や強制的な労働を課されてしまうリスクある他、入国までの手数料等の負担を強いられ、借金から抜け出せなくなる例も見られる。

 この文脈で、日本に関しては、外国人技能実習生制度の課題にフォーカスがあてられた。

 外国人技能実習制度に対しては長年人権侵害のリスクが指摘されてきたが、今年に入り政府は新制度の素案を作成し、一定の要件を満たした場合に転籍を可能とすることや送出機関等への手数料の一部を受入企業の負担をすることなどが検討されている。

 直近では、制度の名称を「育成就労制度」とする政府の有識者会議による最終報告書が11月下旬に発表された。

 フォーラムではこれらの政府の最新の検討状況に関しては触れられず、現行の技能実習制度が抱えるリスクの指摘にとどまった。また、日本企業の取り組み事例として、ANAによる人権デューディリジェンスの一環で実施された外国人技能実習生とのステークホルダーエンゲージメントが紹介された。

 全体を通じて、ステークホルダーエンゲージメントを通じたサプライチェーンのより上流で発生しうる移民労働者の搾取の実態把握や、移民労働者がアクセス可能な言語や手段での救済メカニズム設置が企業に求められており、日本企業も例外ではない。

ビジネスにおける本質的な人権尊重とは

 今年は、「ビジネスと人権」のキーワードが日本メディアでも多く取り上げられた一年となり、ビジネス界でも注目度は高まっているが、日本企業はどのように人権対応に向き合うべきであろうか。

 欧州では、企業による人権デューディリジェンスを義務化する「欧州企業持続可能性デューディリジェンス(CSDD)指令」の策定に向けた議論も進み、ビジネスセクターが「人権」をないがしろにすることはもはや不可能になってきている。

 企業の人権に対する取り組みへの要求が法規制によって一層強化されていく中、グローバルに展開する日本企業にも影響が出ることは明らかである。このように、ルールへの対応の必要性から取り組みを始めることも一案だろう。

 一方で、指導原則に立ち返れば、本来の企業の責任は法規制への対応にとどまらない。自社による直接的な人権侵害や、間接的に助長あるいは関与している人権侵害への対応、そして人権侵害に直面する当事者を救済する責任があるのだ。

 その点では、本フォーラムの中でネスレが「法規制による自社の人権尊重の取り組みへの影響」を問われた際の回答が興味深い。「我々は法規制が入る前から児童労働等の人権問題に対応し、救済策も講じていた。法規制が策定されたからといって、我々が人権対応で行うべきことは変わらない」。

 日本企業も、法規制への後追いでなく、指導原則に則った主体的な人権対応が求められるはずだ。

https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/78558


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ニッケル工場の溶鉱炉が爆発 13人死亡、38人負傷 インドネシア

2023-12-26 | 先住民族関連

CNN2023.12.25 Mon posted at 11:13 JST

(CNN) インドネシアにある中国資本のニッケル工場で24日、溶鉱炉の爆発があり、当局によると作業員少なくとも13人が死亡、38人が負傷した。

爆発は、スラウェシ島のモロワリ工業団地内にある中国の鉄鋼・ニッケル大手、青山控股集団の工場で起きた。青山控股集団は現地法人を通じてインドネシアのニッケル鉱業に出資している。

モロワリ警察がCNNインドネシアに語ったところによると、13人は現場で死亡し、複数の負傷者が近くの病院に搬送された。現場には警察が出動して捜査を行っている。

動画には巨大な炎と黒煙が立ち上る様子が映っている。

ロイター通信によると、死亡した作業員のうち8人はインドネシア人、5人は中国人だった。

爆発は溶鉱炉を修理している際に発生したとされる。同社の発表としてロイター通信が伝えたところによると、これまでの捜査の結果、炉の底にまだ爆発を引き起こす液体が残っていたために爆発が起きた可能性があることが分かった。

警察によれば、近くにあった酸素ボンベ数本も爆発したことから、火災が一層激しくなった。

インドネシアは世界最大のニッケル輸出国で、電気自動車(EV)用バッテリーの原料となる銅やコバルト、ボーキサイトの産出量も多い。世界でEV需要が急拡大する中、インドネシアは中国のような国からの投資を積極的に呼び込んでいる。

一方で、政府がニッケル加工やEV市場の拡大を急ぐ代償として、環境や農業経営者、先住民などが犠牲になっているという批判もある。

https://www.cnn.co.jp/world/35213191.html


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経済の起死回生策として万博が開かれたが…

2023-12-26 | アイヌ民族関連

毎日新聞 2023/12/25 東京朝刊 615文字

明治維新後、日本が本格的に参加した最初の博覧会である1873年のウィーン万博。アイヌの人たちの生活道具などが展示されたという。

 経済の起死回生策として万博が開かれたが、開会8日後に金融危機が起こり、さらにコレラの大流行で多くの死者が出た。当然、来場者数も振るわない。半年間で1500万人以上を見込んでいたが、実際は730万人と大赤字に終わったという▲今から150年前、1873年のウィーンでの出来事である。衰亡へと向かうオーストリア・ハンガリー帝国の中心都市で翌年4月に初演されたのが、ヨハン・シュトラウス2世作曲の喜歌劇「こうもり」だ▲高揚感ある序曲に始まり、笑いあり風刺あり、人生のほろ苦さも感じさせる。友人が復讐(ふくしゅう)で仕掛けたいたずらは「すべてはシャンパンのせい」と歌う大団円も、ウィーンの年末の定番として愛されるゆえんだろう▲日本の師走を彩る風物詩といえば、ベートーベン交響曲第9番「合唱付き」だ。今年は新型コロナウイルスが「5類」に移行し、合唱本来の姿が戻ってきた。「フロイデ(歓喜)!」と歌う声が各地で響いている▲落語「芝浜」もこの時期の定番だ。財布を拾った飲んだくれの魚屋が、女房に「夢だ」と言いくるめられて改心する。3年後の大みそか、うそだったと明かした女房が勧める酒を「よそう。また夢になるといけねえ」と思いとどまるオチに、ささやかな幸せの景色が見える▲思えば、芸能界は長年にわたってたまりにたまったひずみが一気に露呈した。こればかりはシャンパンのせいや、夢にしていいものではない。現実を直視することが求められる、この年の瀬だ。

https://mainichi.jp/articles/20231225/ddm/001/070/099000c


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