北海道新聞 03/31 05:00
ウポポイ・国立民族共生公園にある施設の一つ「イカラ ウシ 工房」では木彫や刺繍(ししゅう)、織物などの展示、実演見学、製作体験などを通してアイヌの手仕事に触れることできます。
アイヌ民族は、かつては、親の手仕事を見て学び、日常の中で手仕事に必要な感性や技術を受け継いできましたが、江戸時代後半から広まった「場所請負制度」により、各漁場の労働者として酷使され、文化の伝承どころか、生活することも厳しい状況となりました。
その時の凄惨(せいさん)な状況を1845年(弘化2年)から6度に渡り、北海道を踏査した松浦武四郎(1818~88年)は日誌に記しています。
そんな中、先人たちは「製品」という形で文化を守ってきました。この時代の交易品には、それ以前の干サケや干ナマコ、獣皮に加えて「細工物」が加わるようになり、役人に献上した品物目録にはさじや筆立て、糸巻き、盆、茶たく、花ゴザなどが記載されています。漁場労働の傍らで作り伝えてくれた木彫品が現在の工芸品の一つとなっています。
ウポポイの職員も先人たちや資料から学び、さまざまなものづくりに挑戦しています。資料は技術以外にも多くの事を読み取ることができます。写真のマキリ(小刀)も見た目の美しさだけではなく、機能性も兼ね備えたデザインとなっており、作り手が使い手のことを思って作ったことがわかります。これからも少しでも多くの技術や思いを受け取り、人から人へ伝えていける場を目指していきたいです。
(文・写真 山道ムカラ=民族共生象徴空間運営本部工房担当)
◆イカラ ウシ 工房のラは小さい字
◆山道ムカラさんのラは小さい字
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/527788
ウポポイ・国立民族共生公園にある施設の一つ「イカラ ウシ 工房」では木彫や刺繍(ししゅう)、織物などの展示、実演見学、製作体験などを通してアイヌの手仕事に触れることできます。
アイヌ民族は、かつては、親の手仕事を見て学び、日常の中で手仕事に必要な感性や技術を受け継いできましたが、江戸時代後半から広まった「場所請負制度」により、各漁場の労働者として酷使され、文化の伝承どころか、生活することも厳しい状況となりました。
その時の凄惨(せいさん)な状況を1845年(弘化2年)から6度に渡り、北海道を踏査した松浦武四郎(1818~88年)は日誌に記しています。
そんな中、先人たちは「製品」という形で文化を守ってきました。この時代の交易品には、それ以前の干サケや干ナマコ、獣皮に加えて「細工物」が加わるようになり、役人に献上した品物目録にはさじや筆立て、糸巻き、盆、茶たく、花ゴザなどが記載されています。漁場労働の傍らで作り伝えてくれた木彫品が現在の工芸品の一つとなっています。
ウポポイの職員も先人たちや資料から学び、さまざまなものづくりに挑戦しています。資料は技術以外にも多くの事を読み取ることができます。写真のマキリ(小刀)も見た目の美しさだけではなく、機能性も兼ね備えたデザインとなっており、作り手が使い手のことを思って作ったことがわかります。これからも少しでも多くの技術や思いを受け取り、人から人へ伝えていける場を目指していきたいです。
(文・写真 山道ムカラ=民族共生象徴空間運営本部工房担当)
◆イカラ ウシ 工房のラは小さい字
◆山道ムカラさんのラは小さい字
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/527788