親しい友人の作家、国松俊英さんが新刊をご上梓されました。『信長とまぼろしの安土城』(ぶんけい)です。
国松俊英さんといえば、いまや日本の子どもの本のノンフィクションでは第一人者でいらっしゃいます。
ご著書も100冊をゆうに越え、すぐれた創作物語やさまざまな角度からのノンフィクションをお書きになっていらっしゃいます。
個人的にも、二十年近く親しくおつき合いいただいている、だいすきな友人です。
私はずっと以前から、国松さんの作品を拝読するたびに、そこから国松さん特有のこだわりというか、美意識を感じておりました。
抽象的ないい方ですが、その美意識こそが国松俊英だ、と私はひそかに思っておりました。
ですから新刊をお送りいただいて、いつもわくわくするのはその美意識に裏打ちされた国松さんの問題意識に出会う瞬間です。
国松さんは、今度はどんな切り込み方を見つけられたのかしらと。
今回の美意識は、安土城と信長をめぐる、美しく壮大なるロマンチシズムです。
そう、このご本は、信長が築城したまぼろしの「安土城」をめぐっての歴史ノンフィクションなのです。
琵琶湖に突き出して築城され、たった3年で明智光秀の手によって焼失させられてしまった、まぼろしの安土城。
はたして、安土城というのは、どんな城だったのでしょう。
そして信長はどんな思いで、安土という場所に城を築いたのでしょう。
どきどきしながら読んでいくと、絡まった糸が次第にほどけていくように、謎が解明されていきます。
その昔、歴史教科書で狩野永徳の「安土山屏風図」についての記載があったことを、うろ覚えに覚えています。
その「安土山屏風図」が、このように重要な屏風絵だったということを、私ははじめて知りました。
そしてこの屏風図が、どのように世界を航海し、その後、行方不明になっていったかということも。
昨年亡くなられた美術史家の若桑みどりさんたちも、その謎を求めてイタリアにいらしたということをこのご本で知り、感慨深い思いがいたしました。
昨年の秋、国松さんから、京都国立博物館にいらして狩野永徳展をご覧になったお話をうかがいました。
「すごくよかったよ」と。
その狩野永徳の「洛中洛外屏風」が本文の最後に出て行きます。
この『洛中洛外屏風」は、網野善彦の中世に関する本などにも、いつも多用されている屏風絵です。
しかしこのご本を拝読し、あらためて、永徳の屏風絵がどれほど時代の風俗や空気、匂いを細密に描写しているのかを知りました。
とにかく、わくわくします。
このご本を読みながら、私はいつしか、信長の築いた安土城を、異国のモン・サン・ミッシェルと重ねて空想しておりました。
おもしろいです。ぜひ、お読みになってください。
国松俊英さんといえば、いまや日本の子どもの本のノンフィクションでは第一人者でいらっしゃいます。
ご著書も100冊をゆうに越え、すぐれた創作物語やさまざまな角度からのノンフィクションをお書きになっていらっしゃいます。
個人的にも、二十年近く親しくおつき合いいただいている、だいすきな友人です。
私はずっと以前から、国松さんの作品を拝読するたびに、そこから国松さん特有のこだわりというか、美意識を感じておりました。
抽象的ないい方ですが、その美意識こそが国松俊英だ、と私はひそかに思っておりました。
ですから新刊をお送りいただいて、いつもわくわくするのはその美意識に裏打ちされた国松さんの問題意識に出会う瞬間です。
国松さんは、今度はどんな切り込み方を見つけられたのかしらと。
今回の美意識は、安土城と信長をめぐる、美しく壮大なるロマンチシズムです。
そう、このご本は、信長が築城したまぼろしの「安土城」をめぐっての歴史ノンフィクションなのです。
琵琶湖に突き出して築城され、たった3年で明智光秀の手によって焼失させられてしまった、まぼろしの安土城。
はたして、安土城というのは、どんな城だったのでしょう。
そして信長はどんな思いで、安土という場所に城を築いたのでしょう。
どきどきしながら読んでいくと、絡まった糸が次第にほどけていくように、謎が解明されていきます。
その昔、歴史教科書で狩野永徳の「安土山屏風図」についての記載があったことを、うろ覚えに覚えています。
その「安土山屏風図」が、このように重要な屏風絵だったということを、私ははじめて知りました。
そしてこの屏風図が、どのように世界を航海し、その後、行方不明になっていったかということも。
昨年亡くなられた美術史家の若桑みどりさんたちも、その謎を求めてイタリアにいらしたということをこのご本で知り、感慨深い思いがいたしました。
昨年の秋、国松さんから、京都国立博物館にいらして狩野永徳展をご覧になったお話をうかがいました。
「すごくよかったよ」と。
その狩野永徳の「洛中洛外屏風」が本文の最後に出て行きます。
この『洛中洛外屏風」は、網野善彦の中世に関する本などにも、いつも多用されている屏風絵です。
しかしこのご本を拝読し、あらためて、永徳の屏風絵がどれほど時代の風俗や空気、匂いを細密に描写しているのかを知りました。
とにかく、わくわくします。
このご本を読みながら、私はいつしか、信長の築いた安土城を、異国のモン・サン・ミッシェルと重ねて空想しておりました。
おもしろいです。ぜひ、お読みになってください。