友人の、松田悠八さんの『長良川』シリーズ、第3巻目がご出版されました。
小島信夫賞を受賞された『長良川 スタンバイミー1950』、『円空流し』に次ぐご本です。
岐阜の高校時代から演劇をおやりになっていた松田さんが、今回は進学した早稲田大学の劇研での様子が前半の中心に描かれています。
舞台がこれまでの岐阜から、東京に移ります。
60年安保の時代、哲学用語を多発させながら、自らの存在理由を問いかける学生たちの、痛々しいまでに純粋な姿が瑞々しく描かれています。
また特筆すべきは、松田さんは昔からフェミニストだったのだなということ・・・。
この『長良川』シリーズには、印象的な女性が必ず登場します。その人たちが物語を進める鍵のような存在であることも確かです。
女性への敬意をこめた、松田さんらしいやさしい眼差しや、魅力的な女性の描き方にも、それは現れています。
大学を卒業し、編集者になった彼が、取材で、作品の後半、十年ぶりに出会うのが、島の伝説の美女、早稲田の劇研の先輩である美恵乃さん。
そこに「飛騨んじい伝説」や「秩父困民党」など農民一揆の話も絡みながら、1960年代という時代を描写しています。
今日は夕方から、そんな松田さんの『長良川』ご出版をお祝いするために、親しい友人たちが集まります。
お祝いのパーティは神楽坂の出版クラブで行われます。
恥ずかしそうな松田さんのお顔が、いまから思い浮かびます。