折にふれて

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有馬 名湯浪漫 続き

2019-01-27 | オトナの遠足

あらためて...

沸くはずのないところに沸くはずのない湯が沸く ──の話。


Sony α99  Planar 50㎜ (f/3.2 , 1/400sec , ISO100) 

 

有馬温泉は神戸市のはずれ、山あいの地に位置する。

泉質の異なる源泉がいくつかあるようだが、一般的には褐色の湯として知られている。

地下水がマグマで温められ、様々な鉱物が溶け出した結果、湯が色を帯びる。

そのような泉質は、とくに山間部にあってはよく見かけるのだが、

ところが、有馬の湯はそれだけではなく、しょっぱいのである。

海の水!?  ...こんな山の中に!?

石川県でもしょっぱい温泉は数々ある。

和倉温泉、片山津温泉などがその代表格だが、いずれも海に近いことが共通していて、

おそらく、全国の温泉でしょっぱい湯が沸くのは海水が混入するからだろう。

いや、ひとつだけ、海から遠く離れた山間部にありながら、しょっぱい湯を知っている。

新潟県の松之山温泉がそれで、太古の昔、地殻変動で日本列島が作られた時、

地層に閉じ込められた海の水が、マグマの熱で温められ、地中の圧力で噴出しているのだと聞いた。

いったんは、有馬温泉も「それだな」と思ったのだが、さらに調べて見たところ、

奇怪なことに近くに火山が存在しない。つまり温泉の熱源となるマグマ溜りがないのだ。

つまり...。

沸くはずのないところに沸くはずのない湯が沸いているのである。

 

有馬の湯の正体は、地下60キロの地中に沁み込んだ600万年前の海水。

そして、その組成には、プレートテクトニクスという地球の表面を覆う岩盤の動きが関わっている。

地震メカニズムでよく解説されるところだが、

日本列島が乗っているプレートにフィリピン海プレートが沈み込んでいる。

そのプレートが沈み込むときに海水も一緒に巻き込んでいて、

その海水がマントルで温められ、熱水となって地表に噴出してくる。

それが有馬の湯で、しかも、その湯は600万年前に沈みこんだ海水、

つまり、我々は悠久の恩恵に預かっているのだ。

 

大阪へと帰るバスの車中。

朝浸かった湯のぬくもりが覚めやらず、うつらうつらする中で、

街並みの情緒、宿のもてなしに美味しかった食事、

そして、壮大な大地のダイナミズムなど、

名湯のロマンを思い返さずにはいられなかったのだった。


 

一泊二日で訪れた有馬温泉。

初日は雲ひとつない快晴の空模様。

ホテルに荷物を置いて、早速、散策へと繰り出したのだが、

着いた時間がすでに夕刻、食事の予約時間もあったので、下見程度で早々に切り上げた。

そして、たっぷりと時間を取ってあった二日目。

それがなんと、朝から渋々と雨模様。

...なんてこったい!

いったい誰が雨をこの雨を止めてくれるんだい!

 
  Creedence Clearwater Revival :  Who'll Stop The Rain

 

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