晦日の朝、我が家恒例の年末買い出しで金沢の台所、近江町へ。
混みあう時間をさけるため、朝8時には正月用の買い物を始める。
この時間にも関わらず、すでに人気の回転すしの前には行列ができていて、
さらに海産物の店の前にはこの通り、山盛りのカニ。
地元の人が朝早くからすしを食べるわけでもなく、
また、年末年始だといって特別にカニを求めるわけでもない。
それもこれも観光客に対応してということだと思うが、
新幹線が開業してやがて2年、これがその効果の現れならたいへん喜ばしい話だ。
さて、近江町での我が家恒例の話題をもうひとつ。
年末の締めは年越し蕎麦ならぬ「うどん」。
それも、近江町市場内にある「百万石うどん」で朝食を兼ねて食べるのが我が家のしきたり。
稲庭や水沢、讃岐など日本を代表するうどんには遠く及ばないが
いわゆる「金沢うどん」は「金沢カレー」や「ハントンライス」と並んで金沢のB級グルメのひとつだ。
そして、その特長は...。
金沢に縁のある作家、五木寛之氏の文章を引用してみた。
金沢のうどんは、関西のように殊にコクがあるわけでもなく、関東のように濃い味でもない。
ちょうど中間の、ややたよりない味なのだが、そこが持ち味ではあるまいか。
うどんそのものもコシがあるような、ないような、いかにも前田家ゆかりの町らしいうどんなのだ。
たよりないところが旨い、といえば身びいきと取られそうだ。
ネギも中途半端である。京都のように青いネギでもなく、東京ふうの白ネギでもない。
どっちつかずの金沢のうどんは、まことにその土地の気風をよく反映しているように思われる。
要するに、どっちつかずで特長がないのだが、
長年、それを食べてきた金沢人なら、皆が「言い得て妙」と手をたたいて喜びそうな文章だと思う。
今朝の気温は1℃。
陽がさしたと思ったら急に雪が散らつくという、
これまた冬の金沢らしいどっちつかずの天候。
そんな中で、舌が火傷しそうな揚げたての海老天とともにすするコクのないダシとコシのないうどん。
そのどっちつかずの味も、一瞬で寒さを忘れるほど、金沢人にとってはおいしい。
最後に冬晴れの青空を。
今年もあとわずか。
コメントをくださった方はもちろん。
のぞいていただいた方にも心から感謝申し上げます。
どうかよい年をお迎えください。
来年もぜひよろしくお願い申し上げます。
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