夫の召天記念会を子供たちの帰省に合わせ繰り上げてすませたので、当日はいつもの独りでゆっくり過ごす。
「独居老人、私もそうなんだなぁ」なんてつぶやきながら。
いつか、どちらかが独りになることはわかっていても、自分が遺されるとは思いもしなかった私だった。
山にテニスに旅にと、現役時代より忙しい第二の人生をつっ走っていた彼の命が、こんなに短かいものだったとは。
庭の白紫陽花が咲き誇り、裏山の時鳥が激しく啼いた朝、彼は静かに旅立っていった。
あれから12年。「なぜ、病のサインを見落としたのだろう…、私の愛が足りなかったから…」と悔いる想いは何年たっても拭いきれず、決して平坦ではなかった長い道のりだった。
涙を拭い共に歩き続け励ましてくれた見えざる力と、多くの友に心から感謝したい。
残される家族に「アカショウビンになって帰ってくるよ」と言った彼。
義妹が住む丁町は山深い谷合にあり野鳥が多い。
毎年4月末には「カンチャンが(夫の愛称)来たよ!」と。
今年は6月になっても来ないと言う。
そういえば、近くの山から聞こえてくるはずの時鳥の声さえまだ聞いてない。
変わらぬのは雨にうたれ、白く輝く「あじさい」だけ。
1枝を生け、彼の好きだったモーツアルトの「狩」を久しぶりに聴いてみる。
今にもリスニングルームから「おーい、飯はまだか」と顔をだしそうな気がしてくる。
「独居老人、私もそうなんだなぁ」なんてつぶやきながら。
いつか、どちらかが独りになることはわかっていても、自分が遺されるとは思いもしなかった私だった。
山にテニスに旅にと、現役時代より忙しい第二の人生をつっ走っていた彼の命が、こんなに短かいものだったとは。
庭の白紫陽花が咲き誇り、裏山の時鳥が激しく啼いた朝、彼は静かに旅立っていった。
あれから12年。「なぜ、病のサインを見落としたのだろう…、私の愛が足りなかったから…」と悔いる想いは何年たっても拭いきれず、決して平坦ではなかった長い道のりだった。
涙を拭い共に歩き続け励ましてくれた見えざる力と、多くの友に心から感謝したい。
残される家族に「アカショウビンになって帰ってくるよ」と言った彼。
義妹が住む丁町は山深い谷合にあり野鳥が多い。
毎年4月末には「カンチャンが(夫の愛称)来たよ!」と。
今年は6月になっても来ないと言う。
そういえば、近くの山から聞こえてくるはずの時鳥の声さえまだ聞いてない。
変わらぬのは雨にうたれ、白く輝く「あじさい」だけ。
1枝を生け、彼の好きだったモーツアルトの「狩」を久しぶりに聴いてみる。
今にもリスニングルームから「おーい、飯はまだか」と顔をだしそうな気がしてくる。