はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

晴れ女

2007-06-26 07:51:24 | アカショウビンのつぶやき






 はがき随筆で御縁ができた、姶良町のNさんご夫妻が鹿屋の霧島が丘バラ園に来てくださった。お互いに多忙な身、3年越しの約束の日である。
ところが前日からの予報は雨の確率70%ところによっては激しい雨となるでしょう…と。予報どうりの激しい雨に「どうする?」と電話すると「私、晴れ女だから大丈夫!」。
それでも心配性の私はタオルや着替えまでリュックに詰め込んで到着を待ったが、次第に空は明るくなり、軽やかな服装のお二人が我が家に着いた時は小雨になって、バラ園に到着すると、あら不思議! 雨は止んでしまった。
「ねっ私晴れ女でしょ」でも「傘だけは持っていくね」と私。
今春最後のイベントも雨で中止になったのか、日本一とも言われる広い園内は人影もまばらでゆっくり回ることができたのは幸いだった。
「バラはやっぱり赤ねぇ、存在感がある」と彼女らしいが、私は淡い色に惹かれる。でも激しい雨に打たれ盛りを過ぎた花々はちょっと寂しい。
歩き疲れ、名物のバラのソフトクリームをなめながら空を見上げると、怪しい雲行き…。車に乗り込むと間もなく大粒の雨がフロントガラスを打ち始める、さっすが「晴れ女!」恐れ入りました。
疲れた体を温泉で癒し、次は同じエッセイ仲間のお二人が待つ夕食の席へ。
話はつきず楽しいひとときを過ごす。でも姶良町までは遠い。お二人を見送って間もなく大粒の雨が降り出し、最後は雨のドライブとなった。

はがき随筆5月度入選

2007-06-26 07:50:59 | 受賞作品
 はがき随筆5月度の入選作品が決まりました。
▽鹿屋市札元、神田橋弘子さん(69)の「それぞれの暮らし」(2日)
▽出水市高尾野町柴引 、山岡淳子さん(48)の「陽ちゃん桜」(31日)
▽出水市武本、中島征士さん(62)の「野の花の記憶」(14日)
の3点です。

緑美しい5月は植物との出会いをしみじみと述べた文章が多くありました。いいものですね。さて、狭い私の家の庭も、いくつかの紫陽花の花が美しい広がりを見せてくれました。6月は紫陽花の月ですね。
 「それぞれの暮らし」で、神田橋さんは妹さんたちがバラなどを丹誠こめて育てている様子を描きました。また、山岡さんは高校生の甥御さんが小学校入学記念に植えた桜を今も「陽ちゃん桜」と呼んで楽しんでいます。中島さんの「野の花の記憶」は、小学生時代の娘さんが、学校の帰り道に摘んできた野の花の名前を聞いたと思い出し、それから30年がたった今、植物図鑑を見て思い出に浸っている話。
 上村泉さんの「シンボルツリー」は、歴史のある小学校の庭にそびえる椋の巨木にまつわる思いやエピソードを描いた文章です。本当に、植物との出会いを述べた文章が多く、楽しいことでした。萩原裕子さんの「メッセージ」は、春の海辺を弟や娘さんと楽しむ様子が描かれ、波の音が聞こえてくるようです。鵜家育男さんの「チャレンジ・挑戦」は長年のサラリーマン生活を終えて、体験したことのない様々な仕事をしようと誓って実現。ファイト満々の暮らしがうかがえます。清田文雄さんの「老いと共に」は老いをユーモラスに描きました。
 5月度は、思い出話が続きます。寺園マツエさんの「花まつり」、谷山潔さんの「平和の願い」は、自分のこと、竹之内美知子さんの「石榴の木」と徳丸伸子さんの「父の親指」は父親のこと、道田道範さんの「たまゆらさん」は母親のことなど、人生の過去、現在、未来に思いを馳せて、じっくり暮らしを味わっていく大切さを描いたすばらしい文章です。
(日本文学協会会員、鹿児島女子短大、名誉教授・吉井和子)

係から
入選作品のうち1編は30日午前8じ40分からMBC南日本放送ラジオで朗読されます。「二見いすずの土曜の朝は」のコーナー「朝のとっておき」です。

父の日

2007-06-26 07:22:47 | はがき随筆
期待していたわけではないが、父の日も無事に終わった。いつものことだが、母の日ほどの感動もなく、文字通り恙なくと言った感じである。元来、私は亭主関白で自分の思った通りに行動してきたから、いつも父の日であった。
 しかし、年を取ってくると、馬力もなく仏心もわいて周囲に妥協してくる。難しいことは言わずおとなしくなる。息子がおくってくれた酒を飲みながら、娘から届いた胡蝶蘭の花を眺めていた。残り少ない人生。あるいはそれでいいかも知れない。
 父の日も終わって元の粗大ゴミ
   志布志市 小村豊一郎(81) 2007/6/26 毎日新聞鹿児島版掲載